表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
405/740

第405話 空に咲く花




ラファエルに翌日案内されたのは、四方を全てコンクリートのような壁で覆われた広い空間の部屋だった。

何故こんな所に連れて来られたのか。

何も物がない殺風景な部屋で、一体何をするつもりなんだろう。


「さて、と」


扉をしっかりと閉めたラファエルはニッコリ笑って私を見る。

………はっ!!

み、密室で2人きり!?

従者が1人もいないから、文字通りに!!

ちょ、まさか私の貞操の危機ですか!?

誰にも邪魔されない場所で、私はラファエルに頂かれてしまうの!?


「じゃあソフィア」

「な、なななに!?」

「? どうしたの?」

「べ、別に!?」


ドキドキする心臓。

何とか落ち着かせないと!!

頬も赤くなってしまいそう!


「そう? じゃあ始めようか」


ラファエルが上着を脱ぎ始める。

ちょ、ちょっと待って!?

ホントに待って!?

べ、ベッドもないこんなところで、さすがにダメだって!!


「ソフィアの言う夜空に咲く花ってどういうの」

「………へ?」


ラファエルの言葉に素っ頓狂な声を出してしまう。

思考が止まった。


「へ、って……教えてくれないと俺も習得できないでしょ? 正確には精霊が表現できない、だけど」


高鳴っていた心臓が一気に冷えた。

………で、ですよねー!

ラファエルが私の貞操を、結婚前にどうこうするはずないですよねー!!

わ、私、いつの間にこんなに破廉恥な事を考えるようになったのだろうか!

違った意味で顔が赤くなる。


「ソフィア? 顔赤いよ。まさか、毒がまだ残ってた!?」


慌てて私の頬に手を当てるラファエルを、まともに見られない!!

自分の考えに恥ずかしすぎる!!

純粋に心配してくれるラファエルに、申し訳なさすぎる!!


「な、何でもないよ。ここが少し熱いからかな…?」


へらりと笑って、誤魔化そうとする。


「ああ、密閉空間だしね。完全に外部と切り離すようにしているし。改良する余地あるね」


あ、あれ……?

ラファエルを誤魔化せてしまった。

普段のラファエルならもうちょっとこう、疑うっていうか…真意を探るはずなのに。


「ちょっとだけ我慢してくれる? 外に漏れたらマズいから、相当厚く壁を作ってもらってるんだ」

「あ…う、うん。こ、ここって前に言ってた精霊の力を存分に発揮できる場所?」

「そうだよ。ようやく連れて来られた。ソフィアの精霊は優秀すぎて練習する必要なかったからね」


だいぶ前に作ると言ってて、でも完成したって話は出なかったよね…

それは私が必要ないぐらいに精霊と連携? が取れていたから、かな?

あの火山の森で。


「さて、ソフィア。どの精霊が必要なの?」

「あ、うん」


私はまず部屋を見渡す。


「まず空間を暗くしなきゃね」


密閉空間で、電気なんかないのに部屋は明々としている。


「じゃあ闇だね。それから?」

「光と……炎でも出来るかも。やってみていい?」

「うん。よろしく」


私は闇精霊ダークネスに空間を真っ暗にしてもらう。

そして光精霊コウ火精霊ホムラで花火を演出してもらった。

彼らは私の記憶を読める。

だから表現自体は簡単なはずだ。

そう思ってやってみてもらえば、見事な花火が真っ暗な空間に広がった。

それも何種類も。


「わぁ……凄いねソフィア!」

「凄いのは精霊だよ」

「でもソフィアのアイデアがないと出来なかった事だよ!」


花火でラファエルの横顔が見え、興奮気味に花火を見つめているラファエルは、可愛い。


「俺もやってみる!」


そう言ってラファエルも精霊にお願いしていた。

精霊も見ていたからか、すぐに実現できていた。

私はそれから、花火の形を動物にしたり人の顔にしたりと、楽しんでいた。

そしたらラファエルも面白がって、色々な形に変えていた。


「うん、これをそれぞれの属性精霊達にやってもらったら、空いっぱいになるね」

「え? みんなにやってもらうの?」

「だって究極とか眷属にしてもらったら、常に気にしてないといけないだろうし、契約精霊の力を使いすぎると倒れるってソフィアは学んでないのかな?」

「うっ……で、でも、私のアイデアなのに…」

「ソフィアのアイデアを別の者が手がけているのは、知ってるハズなんだけどねぇ?」


………結論は、言いくるめられましたとも。

究極精霊が下の階級達にやらせるということで落ち着きました。

私は苦笑して、暗い空間に咲く花をラファエルと共に、気が済むまで眺めていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ