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第395話 聞いてみよう




ラファエルに話があるからと、仕事が一段落したら時間をもらえないかと影一ガーネに伝言を頼んだ。

すぐさま仕事を切り上げ、ラファエルがルイスを伴って私の部屋へと来てくれた。

さすがラファエル。

私が重要事項を相談したいと気付いてルイスも連れてきてくれたのね。

思わず抱きつきそうになって、仕事だと思いとどまる。


「ラファエル」

「ソフィア、話って何?」


その時にはもうヒューバートもソフィーもデートから戻ってきていた。

私としてはもうちょっとゆっくりしてきていいと思ったけれど、王女わたしとしては2度説明しなくて助かる。

ラファエルが対面のソファーに座って、ルイスがその後ろに立った。

私の騎士も侍女も壁に並んだ。

全員揃ったところで、私は口を開く。


「筆頭侍女にリストを一式持ってきてもらって、目を通していたのですけれど」


私は購入品リストをまず開く。


「残念なことに、必要な購入品用金銭の一部を懐に入れている侍女がいたようです」

「………何?」


ラファエルとルイスが険しい顔になる。


「更に私目的の物を必要経費として落としてもいたようですね」


ラファエルがリストを取り、ルイスがそれを覗き込んだ。

………あ、絵になる2人。

2人が確認し終えるまで、目の保養をさせていただきましたとも。

そっち系の人から見たらキャーキャー言ってるかもしれない。


「………チッ」


………うん、そんな私のピンク思考もすぐさま元に戻されました。

だから本気の舌打ち怖いんだって。


「大切な民からの税になんて事を」


ルイスも静かに怒っている。


「ありがとうソフィア」

「あ、いえ」


ラファエルがルイスに渡し、すぐさま出て行こうとしているのを慌てて引き留める。

待ってー!!

まだ話は終わってない!!

仕事モードのラファエルはキビキビしてて格好いいですけれども!!

私の話を最後まで聞いてー!!


「ちょ、ちょっと待って下さいませ!!」


思わず背を向けているラファエルの腕を抱きしめてしまう。

………ぁぁ!!

自分のやらかしにカッと顔が熱くなる。

う、腕に抱きつくなんてはしたない!!

慌てて離れると、ラファエルが逆に私の腰を抱いてくる。


「もう終わり?」


あ、あの…ニヤニヤしないで下さい…

瞬時に通常モードにならないで下さい…


「………ラファエル様、顔」


ルイスに小声で言われるが、ラファエルは気にせず私を見ている。

う……は、話しにくい!!


「ま、まだ話は終わってませんわ…」

「ん。ごめんね」


ラファエルが素直にソファーに戻る。

………私を膝に乗せて、ですけどね!!

あれ、ひょっとしなくても演技だったんですかね!?

引き留めさせようとしたラファエルの罠にかかったんですかね!?

おかげで顔が真っ赤になっている自覚ありますけれども!!

恥ずかしさはどうしようもないですよ!!

そして身体が硬直してしまってて、動けませんよ!!

従者の前で止めて下さい!!

まだ付いたばかりの影達が、普段を知らない人達が天井にいるんですよ!!

こんな早々に見られたくない姿いっぱいあるんですよ!!


『………あれ、誰?』

『………王女ソフィア様、だと思う』

『誰かが入れ替わってるんじゃねぇ?』


ほら!!

上から何か聞こえますから!!


「で、何?」


面白がって顔を覗き込まないで!!


「え、えっと…」

「うん」


あ、死んだ…

なんでそんなとろけそうな顔で私を見るの。

久々すぎて対応できないんですけれども!!


「………ラファエル様」


あ、ルイスの額に青筋が。

さすがにマズいと思ったのか、ラファエルが覗き込むのを止めてくれた。

膝の上からの移動はなかったですが。

それでも幾分か落ち着いてくる。

完全に落ち着くことはないけれども…


「ひゅ、ヒューバートに確認したいのですけれど…」

「………私にですか?」


静観していたヒューバートが少し目を見開いて私を見る。


「ええ。騎士の階級に準副長と準々副長、という階級がございましたけれど、どういう役割をするのですか?」


リストを取って開きながら聞く。

騎士階級の欄を見て、改めてヒューバートを見ると、ポカンという顔をしている。

………え……


「………何ですかその階級は」


………現役騎士が知らない!?


「………うん、俺も知らないけど?」

「………私も…」


ラファエルとルイスも同意する。


「え……でもここに書いてありますし、配属リストにも名前が…」

「失礼致します」


ヒューバートが配属リストの名前を確認する。

見ていって段々と眉間にシワが寄っていく…

………い、イケメンが険しい顔をすると怖いっていうのは、ヒューバートも対象だったらしい。

思わずラファエルの服を掴んでしまう。


「………コレらは今配属されていませんね」

「え……」


っていうか同じ騎士を“コレ”って…


「おそらく今頃暗い場所で精神が壊れているのではないでしょうか」


ヒューバートの言葉に暫く考え、牢の事だろうと察する。

つまり、元王か元王子達の味方だった騎士達だろう。


「リストが古いようです。申し訳ございません。現在の騎士総隊長に最新版を作るよう催促しておきます」


ヒューバートが直角に頭を下げ、謝ってくる。

いや、私の騎士になった時点で所属は別になるからヒューバートのせいではない。


「貴方が謝ることではありませんよヒューバート」

「ありがとうございます」


ヒューバートが元の位置に戻り、ラファエルを見上げると頷く。


「王宮内の所属階級全て見直そう。ルイス」

「はい」


ルイスが私が持っていたリストを回収し、部屋を出て行った。


「ありがとうソフィア。これでまた1つ改政できる」

「いえ。ラファエルの手伝いが出来てよかったです。侍女に関しては任せていただけますか?」

「いいよ。そっちはソフィアの管轄だしね」


ラファエルの言葉に胸が熱くなった気がする。

彼が……私に任せてくれるなんて…


「でも、進捗状況は必ず毎日報告すること。いいね?」

「はい」

「ん。いい子」


ラファエルが私の唇を優しく奪い、同じく優しくソファーに下ろしてくれて、名残惜しそうに出て行った。

ハッと気付いたときには、ポフッとソファーにうつ伏せで顔を伏せる。

影’sの前で早速醜態をさらしてしまったことに、恥ずかしくて死んでしまいそうだった。


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