第390話 情報が早いです
「ソフィア。今日貴族はともかく、侍女に絡まれたって?」
部屋に入ってきて、開口一番がそれなの?
突っ込みたかったけれど、あまりにラファエルの顔が怖かったので、突っ込みませんでした。
………誰かが今、私のことをチキンと言った気がする。
………気のせいか。
「何処の誰」
「………さぁ?」
首を傾げると、ラファエルの眉間にシワが…
って、ホントに知らないから仕方なくない!?
「私、この王宮の侍女と殆ど接点無いし。ソフィー達が全て私のことをやってくれてるから」
「………それもそうか…」
納得してくれて嬉しいです。
あらぬ誤解はして欲しくないし。
「でも、その侍女の名前とか言ってなかったの?」
……何か言ってた気もするけど……覚えてない…
どうでもよくて。
………あ、すみません、嘘です。
あの先輩侍女らしい彼女が教育してくれるだろうと思って、心の中で丸投げしました。
だって、私の侍女じゃないから、私が注意する必要ないし。
私はここでは選定者ではないし。
「カーナ、だったっけオーフェス?」
「いえ、確か『カーラ』と呼ばれていた気がします」
ジェラルドが首を傾げ、オーフェスが答えてくれた。
あ、そうそう。
そんな名前だったなぁ。
「………カーラ、ね。分かった。調べる」
ラファエルがメモして、私の隣に座った。
1度しか会ってないけれど、ご愁傷様、と心の中で思った。
ラファエルに目を付けられたら最後、侍女ではいられないよ。
私は心の中で合掌した。
「あ、そのカーラって人を諫めた先輩侍女は良い人だから、お咎めはなしにしてくれる?」
私が言えば、ラファエルがまじまじと私を見てきた。
………ぇ……何……?
「………珍しいね。ソフィアが王宮の侍女を褒めるなんて」
「………へ?」
ラファエルの言葉に首を傾げる。
………珍しいも何も…
「………さっきも言ったけれど…そんなに接点無いし……」
その時私はハッとする。
………これ、王女としてどうなの…
ランドルフ国の王宮侍女はラファエルは勿論、私の管理下では…?
サンチェス国とは違い、この国のトップはラファエルで、次が私ってことになる…んだよね…
私が接点無いって、マズくない…?
ラファエルに聞けば、ラファエルも少し考え苦笑いを返してくれた。
………あ、うん…
専属侍女だけと接するのは、良くないよね…
「………頑張る…」
「ごめん。俺もそこまで考えてなかった」
首を横に振り、私はこの機会に侍女との交流を何とか増やそうと、フィーア達と共に対策を練った。
………まぁ、対策と言っても、筆頭侍女に話を聞くとかしかないんだけれど。
ソフィーは勿論、フィーアもアマリリスも王宮侍女と接点がなかった。
………今さらだけどヤバめだと思う…
ラファエルと結婚する前に気づけて良かったと思う…
信頼がないままに国母になっても、王宮内をまとめられない…
………こ、国母…
って、照れてる場合じゃない!!
「………」
あ、すみません。
真面目にやります。
フィーアとアマリリスの視線に私はまた思考を元に戻したのだった。




