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第388話 私のせいではないでしょう




医者に王宮内であれば動いてもいいと許可を貰い、私は嬉し気に歩いていた自覚はある。

あるけれども…

ちゃ、ちゃんと護衛を連れてたよ!?

1人でのこのこ出歩いてたわけじゃないよ!?

私の前には庇ってくれるオーフェスの後ろ姿が映ってるし、両脇もジェラルドとアルバートが固めてくれてるよ!?

決して警戒心がなかったわけじゃないよ!?

あ、因みにヒューバートは非番なので、デートしてこいとソフィーと共に城外へ半ば無理矢理――いやいや、あれは照れ隠しで遠慮してただけよ。

ちゃんと少しは進展しなさいよ、と送り出しました。

私はいいことをしたと思う。

2人が帰ってきたら、どれだけ進展したか聞きゃなきゃ。

楽しみだわ。

………っと、内心ニヤついている場合じゃなかった。


「どけ!! 邪魔だ!」

「いいえ。王宮内で刃物を手にしている貴方の前に、大事な主君を放り出したりしません」


王宮内の通路だからって、もう油断したりしないし!

だから前から歩いてくる男の纏っていた空気が可笑しいことに気付いたんだし!

私が止まったことで、後ろを歩いていた3人も気付いてすぐに取り囲んで守ってくれてる。

騎士の方が先に気付くべきだけれども、私今、人から向けられる負の感情に敏感なんだよね。

精霊たちも警戒心強まってるし。


「全部、全部お前が悪いんだ!!」


男が私を睨みつけ、そう叫ぶ。

………ぁぁ、もしかして…ラファエルに粛清された貴族位落ちの1人かな。

旧国派で私の改国案を受け入れられない者からすれば、確かに私は彼にとって悪者になるだろう。

………というか指紋認証が必要ない場所で、私がずっと姿を現すまで待ってる執念が凄いんですけど…

そんなこと出来るなら、少しでも仕事に情熱を……

………って、それが出来たら旧国派でいるはずもなかったわね…


「お前のせいで俺は! 平民同然の男爵に落ちた!!」


………いや、平民と男爵の間には大きな差があるけれども…?

今までの地位からしたら、あれかもだけれども。


「………そうですか。それはご愁傷様です」


ニッコリ笑って彼に言った。

聞く価値もない話でした。

さっさと退場してもらいましょう。

丁度通りかかった皆様が、顔を真っ青にしてこちらを窺っていますからね。

王宮内で殺傷事件とか、シャレにならないからね?

なんでこう次々と……

私はトラブルメーカーではない……多分。


「な、なんだと!?」

「平民を馬鹿にしている時点で、貴方には貴族地位は過ぎたことでしょう。ラファエル様に進言し、貴方の地位を考え直してもらいましょう」

「は!?」


男爵から降格、というと……ねぇ?


「刃物を持ってわたくしに向かってきた瞬間、貴方は国に貢献できる人ではないと判断いたしましたし」


スッと私が手を上げると、騎士達が男の手を捻り床に押さえつけた。

素早い動きでさすがです。


「貴方が降格された原因は全てご自身の行い。ラファエル様が与えた仕事をこなせず、それを棚に上げてわたくしのせいだと吠えるのは結構ですが。……ご自分が努力すれば地位は戻ってきたかもしれませんのに」

「っ!?」

「感情的になるのは結構ですが、わたくしはまだ療養中故、サンチェス国王の条件はまだ有効でしてよ?」


親切に教えて差しあげたのに、何故彼の者は顔を真っ青にしているのだろうか?

逆に感謝して欲しいよね?

微笑んだまま首を傾げると、何故か騎士も周りの野次馬も顔色を無くす。

可笑しいですね?

私はちゃんと説明しているのに。


「アルバート、彼をラファエル様の元へお連れしてもらってよろしいでしょうか?」

「畏まりました」


おお!?

アルバートの口からまともな言葉が出たよ!?

ビックリするよ。


「事の次第は脚色せず、ありのままをご報告して下さいましね?」

「心得ております」


本当にどうしたアルバート!?

内心驚くけれども、顔には出さない。

彼に連れられ、名も知らぬ男爵は私の前から消えた。

………ぁれ?

私が彼の処分に進言しちゃダメだよね…

………やってしまった…

と、取りあえず……気付かなかったことにしよう、うん。

ラファエルなら、察してくれるだろう。

オーフェスとジェラルドを連れて再び王宮内の散歩を始めた。


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