第386話 悩みどころです
誤字報告ありがとうございます!
私は医者に少しは動けと言われて、自分の部屋でゆっくりと動いたり、ソファーまで自分で歩いたりしている。
そんな私には今悩みが…
うぅん……
ソファーに背を預け、頭を悩ませる。
「姫様、お茶が冷めます」
ソフィーに言われて頷くけれど、口を付ける気にはならない。
………どうしよう…
「………もう悩まれるなら、ファーストからファイブにしたらどうですか…」
………ぇ…
ソフィーに冷ややかな目を向けられていた。
ぁ、お茶飲まないから怒ってるんだ…
急いでお茶を飲み始めると、ソフィーの表情がいつも通りになる。
………あれ?
私主人のハズでは……
なんで侍女に従ってるんだろうか…
………って、ファーストからファイブ…
………もうそれでいいか…
大体ね、私も人のこと言えないぐらいに名前付けるの下手なんだって!!
いきなり付けろって言われるのこれで2回目だよ!!
人生で大量に人の名前付けろって言われることはないよ!?
究極精霊然り、影然り、私に何を期待しているのよぉ!!
………そう、私が悩んでいたのは新たに来た影の名前付けだ。
付けろって言われても困るし!!
前の名前を名乗ればいいじゃないの!!
精霊契約じゃあるまいし!
ファースト・セカンド・サード・フォース・ファイブ……
ソフィーの言うとおり、簡単に付けるならこれよね…
影だから、No.名っていうのも有り?
………でもそれじゃあ囚人をイメージしちゃうのは私だけだろうか…
それにしても日本みたいに漢字で書いて、読み方変えたり出来たらいいのに…
………和風月名っていうのはどうだろうか?
1月が睦月
2月が如月
3月が弥生
4月が卯月
5月が皐月
………う~ん……
和名になるから無いな……
………誕生石?
1月がガーネット
2月がアメシスト
3月がアクアマリン
4月がダイヤモンド
5月がエメラルド
それを短くして……
【影一・影二・影三・影四・影五。これどう!?】
ソフィーにタブレット(ラファエルが持っていったものとは別のもの)を見せる。
「………まぁ、いいんじゃないでしょうか」
淡々とした返答ありがとう…
これじゃダメかな…
ショボンとしながらタブレットの画面を消そうとして、手元が暗くなった。
「レオポルド様よりいい名前なのではないでしょうか」
「私は影五がいいです」
「あ、ずる! じゃあ俺は影三で」
「お前もか! じゃあ私は――」
………あれ。
何故か一気に騒がしくなったぞ。
いつの間にか私は影に囲まれていた。
………っていうか、何気にお兄様が付けた名前が、これより酷かったっていう事が判明したぞ…
気になる…
すっごく気になる君達の前の名前が…
取りあえず結構話しやすそうな影達だということは分かった。
………まぁ彼らが活躍できる場面は、そうそう無いことにこしたことはないんだけれど…
「では改めまして。私は影一。一応この者達のまとめ役です。17歳でソフィア様より1つ年上ですが、学園の2年に編入します」
「影二です。16歳でソフィア様と同じ学年に同じく編入します」
「影三です。同じく16。以下同文」
「影四です。以下同文です」
「影五です。私は影一と同じ歳ですが、2年に編入します。影一のサブ的存在です」
………あ、あれぇ……?
なんだか想像してなかったことを言われたぞ…
【編入!? 影が学園に通うって事!?】
「はい」
「常に傍にいます」
「王命ですので」
わ、私の自由時間が削られる!?
拒否したい!!
物凄く拒否したいけれども、王命ですと!?
【もう私の影なんだから、私の言うこと聞くことが最優先じゃないの!?】
「“学園でソフィア様の傍にいられる年齢の者”との指定派遣命令でしたので」
断れない状況!?
ってか影自体も拒否したいんですけれど!?
それが出来ないから甘んじて影を受け入れたのに!!
学園では鬱陶しい騎士から解放されていたのにっ!
「騎士が目を離すと、ソフィア様は平民になりますから」
態度がね!?
「いや待て影二、ソフィア様は事情を知らない人物達の人目がなければ、常に平民だ」
「ぁぁ…」
何その納得の仕方!?
こっちは納得しかねるんですけど!?
「『というわけでこれ以上失態見せないで、少しでもちゃんとした王女になるんだよ』との伝言です」
「あ、それと『さすがに拾い食い教育はしてないから、意地汚い真似を王女がしないでね』とも仰ってました」
お兄様ーー!!
私は大声で叫びたくなったけれど、頭を抱えるだけとなった。




