表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
353/740

第353話 もはや知らない場所




カランカランと扉を開けたら音がした。

扉の上を見ると、扉が動くと音が鳴るように呼び鈴に似たものが付けられている。


「「「「「いらっしゃいませー」」」」」


音が鳴ると同時に、中の店員が声を上げた。

中の雰囲気は、私が知るものとはかけ離れていた。

前の店は木製だったために白に塗られていたけれど、木の模様そのままだったし、陳列棚も木製だった。

けれども私の知らない間に増築された店は、かつての面影は何処にもなかった。

しっかりとした石製で、陳列棚も同様で、お金がかけられているのがよく分かる。

そして上階もある。

1階はまさかの被服コーナーだった。

私のリメイク店は何処いずこへ……

ここまで面影がないと、やっぱりここはもう私の店ではないと思い知らされる。


「あ、ここに地図があるよ」


唖然とする私には気づかず、ラファエルは入り口近くにあった地図を視界に入れ、私の手を引いたまま覗き込む。

私とラファエルは話していたとおりに、私の買いたい物を探すためにここへ来た。

過去には囚われないようにしなきゃね…

もうここは私の管理地とは違うのだから。


「1つ上はソフィアが作った鞄とかを置いてるみたいだよ」

「………私が提案した案の物、ね」


ラファエルの言い方だと、まるで私が作っているようじゃないか。

そんな事は出来ません。


「もう1つ上は……装飾品か…ここじゃない?」

「そうね。行ってみよう?」

「うん。お前達はここで待て」

「ですが……」

「ここは大丈夫だよ」


私とラファエルの護衛達を外で待たせて、私達は3階へと向かった。

3階へ到着すれば、煌びやかで目が眩んだ。

………こ、こんなに変わってしまって…

ここは金持ちが来る部屋だと一瞬で分かった。

高価なショーケースが並び、厳重な鍵がついている。

ショーケースの中には高価な宝石類。

宝石を加工された装飾品。

思わず後ずさってしまう。


「ば、場違い……」

「何言ってるの。ソフィアが来るのが1番相応しい場所でしょ王女様」

「………ぁ……」


わ、私王女でした!!

思わず呟いた言葉にラファエルが突っ込みハッとする。


「きょ、興味なかったから……」

「………なんでソフィアってそう慎ましいのかな…」


た、ため息をつかれてしまった。

慎ましい……というより……そういう事に興味が無い…というか畏れ多く思ってしまう平民感情持っている女、って言われた方がしっくりくる……


「ソフィアが気に入るのがあるかなぁ」

「わ、私が気に入るのじゃなくて…」

「………もう俺がソフィアに贈り物するの、解禁して欲しいんだけど?」


トンッと肩を軽く押され、壁に背をつくことになった。

そして顔の横にラファエルの手が――

………あれ?

なんで私ラファエルに壁ドンされているのだろうか…

………壁ドン…?

ソレを理解した瞬間、私の顔がカァッと真っ赤になるのを感じた。

ラファエルの顔が近い。

吐息が顔にかかって――わ、私はどうしたら…!?

ラファエルと何度もキスしているし、この距離慣れているはずなのに…!!

恥ずかしくてたまらないのは何故……!?


「ねぇソフィア? 俺に贈り物させてくれるよね?」


耳元でソッと囁かないで!!

ここお店の中!!


「ソフィア、返事」

「っ………ひ、1つだけなら!!」


早く解放して欲しくて、そう言ってしまった。

ハッとしたときには、ラファエルが満面の笑みで離れていく所で……

………ぁぁ……やってしまった…

願わくば、うんっと豪華な物を贈られませんように…!!

愛する人からの贈り物にヤキモキするのは、私だけかもしれないけれど…

身分はともかく、私の性格に合った…普段の私が身につけられる物を、と切に願いながらラファエルの後を追った。

………って、本来の目的忘れてるよ…!!

気づいて私は慌てて足を動かしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ