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第349話 ここに女の敵が潜んでいた




「お、コレ美味うま! 食ってみろよ!」

「あれも美味いぞ!」

「あっちはランドルフ国にもあったやつだな! 訓練の合間に食うと格別なんだ!」


足のリハビリも順調で、今日から少しの遠出はいいと許可が出た。

早速ラファエルにおねだりして城下町へ連れてきてもらった。

もちろんお忍び服で。

ゆっくりと歩く速度に合わせてくれるラファエルの腕に捕まりながら、私は街の雰囲気を観察しながら歩いていたら、聞き覚えがある声が聞こえてきた。

街はいつの間にか食べ物の屋台が数カ所に出来ており、何故か今回もひっつき虫のようについてきたお兄様を見上げる。

ニッコリと微笑まれました。


「今ある食物で出来そうな物ピックアップして、簡易屋台でやってもらって反応見てるんだ」


それは成功しているようで、結構な列が出来ていた。

価格設定は現在位置からでは分からないけれど、平民が美味しそうに頬張っているのが見えるから、格安提供しているのかもしれない。

………で、その屋台を見ていたら、あの声が聞こえてきたのだけれど。


「………前にデートの定義が分からないと喚いていた男が、立派にデートしているねぇ…」


屋台で食べ物を買っては食べて、美味いからと一緒にいるフィーアに渡している上機嫌のアルバート。

けれども一緒にいるフィーアはゲッソリしている。

………確かにアルバートは先日、食べ物のねだりはいいと言っていた。

だけど…


「………女の敵…」

「ソフィア?」

「………何でもない」

「わけないよね?」


………2人の王太子が私の顔を覗き込んでくる。

2人とも、好奇心旺盛な顔をしているんだよね…

別にそんなに面白い話でもないのに…


「あれ」

「アルバートとフィーアだよね」

「それがどうしたの」

「フィーアの腕にあるのは全てアルバートが買い与えた物でしょ?」

「そうだろうね。さっきから食べてはフィーアに渡してるし」


フィーアの細腕に大きな袋。

顔が隠れてしまいそうな程に山積みになっている食べ物。

アルバートは買った物を直ぐさま食べているから、手ぶら。

………男としてどうなの。

それに――


「………お兄様。実現できた食べ物の材料は?」

「えっと………」


お兄様の口から出てきた食材に、私は思わず遠い目になった。

そんな私を見て首を傾げる2人。


「アルバートシメる」

「物騒だよソフィア」

「王女が事件起こさないでよ? どうしたの」

「どうしたじゃないわよ」


私は屋台を指差す。


「屋台の食べ物っていうのは手軽に歩きながら食べられるけど、大量摂取するものじゃないのよ! それなのにあんなに買って!!」


アルバートの買っている量は、一般人と比べて5倍ぐらいなのだ。

フィーアの分、と言っても1つずつでいいのに、自分が食べている量と同じ量を渡しているからタチが悪い。


「しかも材料は女の敵ってくらいに、カロリーが高い物が多い!!」

「「………カロリー?」」


カルチャーショックだよ!!

カロリーって言葉も無かったか!!


「女にとって永遠の天敵って言えるぐらい、太る元!! 美味しいけど食べたら身体に蓄積されて、運動する習慣がない女性達はどんどんふくよかになっていくのよ!!」

「「………へぇ……」」


反応薄いよ!!

いいよね男は!!

訓練毎日してカロリー消費してるもんね!!

これはアマリリスと協力してダイエット食品を開発しなければ!!

………その前にあの女の敵をどうにかしなければ!!

グッタリしているフィーアに気付かず、どんどん食べ物を購入していっているどうしようもないダメ男を回収するために、私は後方で見守ってくれていたオーフェスとジェラルドに合図を送って、回収するように指示をした。


「え、なんでソフィア様がここに?」


アルバートはオーフェスに首根っこを掴まれながらキョトンとしている。

フィーアはジェラルドに荷物を持ってもらえて、ホッとしていた。

………仮にも公爵令嬢で婚約者に荷物を持たせるなよ。

そして女に大量に食べ物を与えるんじゃない。

私は腹立ちを抑えられずに、アルバートの耳を引っ張って、地味なお仕置きをしたのだった。


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