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第333話 色々出てきます




「コレが精霊を縛り付ける道具」

「コレが精霊に強制的に力を出させる道具」

「コレが精霊に力を使わせずに拘束する道具」

「コレが精霊を強制的に他人に見せられる道具」

「コレが強制的に精霊と契約できる道具」

「コレが一時的に自分の存在を消す道具」

「コレが他人を意のままに操る道具」

「コレが――」


どんどん机に積み上がっていく道具に、私は頭を抱えた。

どんだけいらない物を量産しているのよあの男は!!

姿を消せる道具って!

薬だけじゃなかったの!?

今日ランドルフ国の技術者と騎士が薬品を運び出して行く予定だ。

薬品は何の能力を持っているのか怖いんですけど!!


「………アマリリス」

「は、はい……」


私は青い顔をして壁に立っているアマリリスを手招きした。

見覚えがある道具があったから。

恐る恐る近づいてくるアマリリスが、私の傍で止まったときに机に視線を向ける。


「………コレ」


私はその道具を指差した。


「貴女が使っていた物よね?」

「………ま、ちがい……ありません……」


私が指差したのは、アマリリスが私の身体を奪ったときに使用されたネックレス型の道具。

そして精霊に付けられていた道具。


「貴女もロードから買ったの?」


感情のない目で見る私にビクつき、アマリリスは泣きそうな顔をして、頷いた。

………やっぱりか…


「じゃ、この購入者の1人が判明した、っと」


お兄様が販売リストに書き込んでいく。

ロードはあの隠れ家的場所なのに、かなりの量を販売していた。

几帳面でリストがあるのはいいが、何処の誰が購入したのか分からないので厄介だ。

誰にも気付かれないのなら、国境も素通りし放題だっただろうから、世界中の何処へでも行き放題だ。

他国の王の精霊が操られていないように、今のところ祈るしかない。

私の精霊が、探し出せるかどうかも分からない。

本当に厄介だ。


「ちなみにいくらだったの?」

「………わ、私がソレを買ったときには、最初の1人だったみたいで……実験に協力するならタダでくれる、と…」

「………それはどっち」

「ひ、姫様を……」

「………そう」


私の身体を乗っ取る道具は、私が最初の実験相手だったってことか。

皮肉なものね。

ロードが手に入れたがっていた私が乗っ取られるなんて、ロードは思ってもいなかっただろう。

………いや、中身がアマリリスでも、私の立場があれば良かったのかも知れない。

ロードが愛したのは私じゃない。

私という王女の立場だ。

………女として何か複雑……


「………こっちは?」


精霊を操る道具を指差す。


「そ、ちらは……お、およそ………家、1軒分……」

「え!?」

「は!?」

「ち、ちなみに……平民の?」

「っは、はい……」


恐る恐るといった感じでラファエルが聞くと、アマリリスが頷き、私達は息を吐く。

もし貴族の家、と言われたらどれだけの金銭が必要になるか分からない。

平民の家も決して安くはないのだけれど。


「………因みに平民落ちしていた貴女が良く手に入れられたわね」

「だ、男爵家を追放される前に、密かに持ち出してましたから…」


震える手を握りしめ、アマリリスは俯き加減で話す。


「………貴女、この滞在期間中に男爵家に謝罪の文をしたためなさい。自らの清算は自らつけなさい。罪は罪でちゃんと告白なさい。返済も何年かかってもしなさい」

「………はい…」

「貴女、ジェラルドと婚姻することを受け入れたのでしょ。犯した罪は消えないけれど、ちゃんと償う意思を見せなさい。公爵家の一員になり、私の正式な侍女になりたいのなら、なんとしてでも自分で周り少しでも綺麗に掃除なさい」

「はい……申し訳ございません」


アマリリスが頭を深く下げた。


「御前を失礼してもよろしいでしょうか…」

「ジェラルド、ついて行きなさい」

「はぁい」

「ひ、姫様……」

「監視じゃないわよ。護衛よ」

「は、はい……」


2人が部屋から出て行って、私は息を吐く。


「厳しいねぇソフィア。あれじゃあアマリリスはいつまで経っても婚姻できないんじゃない?」

「簡単に私の侍女になれると思ってたら大間違いだし。私の侍女になるのは簡単じゃないわよ。ね?」

「はい」


ソフィーが同意し、私は微笑む。


「アマリリスは最近緊張感に欠けてるからねぇ…」

「ソフィアに言われたくないと思うよ」

「どういう意味よお兄様!?」

「そのまんまだよ」


笑うお兄様に私は頬を膨らませ、ラファエルは苦笑していたのだった。


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