表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
332/740

第332話 仲直り?




屋台用の道具を紙に書いてラファエルに渡し、ラファエルが後でお兄様に渡すことになった。

チラチラと私の顔色を窺ってくるラファエルに、私は怪訝な顔をしてしまった。


「な、なに…」

「………もう怒ってない?」

「え……最初から怒ってないけど…」


私が首を傾げると、ラファエルは困った顔をする。

………ぇ…


「いえ……ソフィア様、怒ってらっしゃいましたよ…」

「怒ってたねぇ」

「確実に」

「怒ってたな」


………私の護衛に1人もフォロー役がいないのは何故だ…

………日頃の行――いやいや、そんなはずはない。

私は日頃大人しくていい子だ………すみません調子乗りました。


「ごめんね」

「怒ってないよ」

「うん。でもごめんね」


………この場合どうしたらいいのだろうか…

私はもう気にしてないから、ラファエルも気にしないで欲しいのだけれど…


「………ん、いいよ」


………これでいいのだろうか…

不安だ…


「ありがとうソフィア」


あ、いいんだ…

良かった…

ラファエルがソファーに座り、ポンポンと隣を叩く。

私は車イスを操作してソファーに横付けし、腕をソファーにつくのと、ラファエルに脇の下を支えてもらう感じで移った。


「凄いね。小回りもきくんだ」

「アマリリスが凄いんだよ」

「だね。それだけに惜しいな」

「ん?」

「罪人じゃなかったら引き抜いたよ」

「………ぁぁ…」


やっぱりラファエルもそう思うよね…

アマリリスの再現能力は評価に値するだろう。

けれど、評価と罪は関係ない。

どんなに良くても、罪は消えない。


「まぁ、アマリリスがソフィアの好きな物、便利な物を生み出しても、俺は許す気は無いけど」

「………嫉妬はしても?」

「うん。だって俺はソフィアの喜ぶ顔を、自分で引き出したいからね」

「そういうもの?」

「そういうものだよ」


ラファエルが困ったように笑う。

私とラファエルの思いがすれ違っている……?

………う~ん…


「………あ、私がラファエルとナルサスが話してて、ラファエルが笑ってると嫌な気分になるのと一緒?」

「そうだよ。って、嫉妬してたのソフィア?」

「………まぁ……」


何故だろう。

物凄く認めたくなかったんだけど……

相手がナルサスだから?

………よく分からない。


「今度は俺がソフィアが喜びそうなもの作りたいな」

「ん~……じゃあ、ラファエルの新作甘味がいい!」

「甘味か。ソフィアが作ったプリンとか越えられるかな」

「越えるとかじゃなくて、私はラファエルの考えた甘味がいい。1番に食べさせてもらえるのが特別って感じで好き」

「分かった。頑張る」


ニッコリと笑ってくれるラファエル。

………ああ、もうその笑顔だけで満足しそうな私がいるのは内緒だ。

だってラファエルの甘味美味しいから食べたいもん。


「どんな果物使ったのがいい?」

「えっと……というより、色んなのが入った物がいいな」

「成る程ね」


ん~っとラファエルが考え込んでしまい、私はしまったと思う。

せっかくのラファエルとの時間を…

私が道具のことを書くために時間を費やした上に、今度はラファエルの時間が…

クイクイとラファエルの服を引くと、ん? とラファエルは私の方を向いてくれる。


「ラファエル、もうお話終わり?」


首を傾げてラファエルを見ると、ラファエルは速攻考えるのを止めてくれたらしい。


「何の話する?」


嬉しそうに私を見るラファエルに、ちょっと照れてしまう。

自分で言っておいて…

誤魔化すように私はラファエルに向かって口を開いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ