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第327話 どうしてこうなった




ラファエルが呼んできたソフィーに着替えさせてもらった私。

心の中でソフィーを呼べばよかったとハッとして、慌ててラファエルを追いかけようとベッドから降りようとすれば、ライトがすぐさま降りてきて睨まれた。

………すみませんでした…

蛇に睨まれた蛙の如く、動けなくなっていたらソフィーが入ってきたのだ。

近くにいたらしく、お茶のセットを持っていた。

外で待ってると一旦退出したラファエルを呼んで、私はソファーへと運ばれる。

ソフィーのお茶を2人で飲んでいると、朝食の用意が出来たとアマリリスが料理を運んできたのだけれど…


「………アマリリス、それ、何人分……?」


給仕用のカートに乗せてあるお皿が多すぎて、思わず私はそう聞いた。

聞きたくない、知りたくなかったけれど、聞いてしまった。


「それが……」


アマリリスが言い淀んでいると、勢いよく扉が開いた。


「おはようラファエル殿、ソフィア。邪魔するよ!」

「お兄様! ノックをして下さいといつも! それに優しく開け…て………」


振り向きざまに言っていたら、お兄様の後ろに来るはずない人が入ってきていて、思わず頭を抱えそうになった。

ラファエルもその姿を見て、サッと立ち上がった。

私は立つことを禁止されているからその場で固まるしかなかった。


「おはようございます。サンチェス国王、王妃」

「ああ」

「おはよう。ソフィア、傷の具合はどう?」

「だ、大丈夫ですわお母様……お父様、おはようございます…」

「おはよう」


お母様はともかく、何故お父様がここに来るわけ!?

初めてじゃないかな!?


「ソフィアが怪我してるから、食堂に来られないでしょう? だから来たのよ」


いや、ニッコリ笑って言われても…

アマリリスが用意した皿が多いのはこのせいか。

けれど、何故お父様とお母様の分が私達と同じなのだろうか…


「ほら、わたくし妊娠してますでしょう?」


………え?

懐妊は当たってたの?

それ、聞いてないし…


「アマリリスに聞いたら、妊婦にも優しい食事が作れると言うから、お願いしちゃったの。ついでにお父様も食べてみたいと仰ったから全員同じ内容の食事になっちゃった」


………なっちゃった、って何……


「それにソフィアの顔も見たかったし、全員で食事しましょうって事になってね」


やめてー!!

これまた料理長の心を折ることになるわよ!?

って、お父様の背後にドンヨリ顔の料理長が!!

しかも侍女達もいるし!!

やめて!!

ホントにやめて!?

この部屋にそんな大人数入れないで!!

私の唯一の癒し部屋がぁ!!

ピンク一色だけど、自分になれる部屋はここしかないから!!

ここで王女仕様辛いから!!

心の叫びは表に出ることなく、私はニッコリと笑うしかなかった。

部屋の主である私が動かねば誰も動けないので、取りあえずお父様達に座るように促した。

ソフィーとアマリリスが給仕していく。

ここの主は私だから私専属が配膳担当は仕方ないけれど…

………ぁぁ……壁に並んでいる者達の視線が痛い…

机には、THE和食! っと言っていい食事が並んだ。

ご飯にお味噌汁、焼き魚にスライスハムとサラダ、卵焼きに漬物に牛乳…

これ、納豆欲しくなるやつ!!

それか味付けのり下さい!!

………はっ!!


「アマリリス、白米炊けたのですか?」

「研究致しました」


すました顔で少し頭を下げるアマリリス。

………これ、絶対身内しかいなかったらガッツポーズして、キラキラ輝いた顔を見せてくれていたはずだ。


「姫様以外の方はナイフとフォークですが、姫様は…」

「当然箸ですわ」


アマリリスと視線を合わせる。

おそらく効果音が付くとすれば、今私とアマリリスの目はキラン、だろうね。

アマリリスは用意していた自作だろう箸を置いてくれる。

本格的な箸で、色はシンプルな黒。

………アマリリス、技術者でもいいかも…


「………嫌ですからね」


ぉぉぅ……アマリリスまで私の心を読むようになってしまった…

私は誤魔化すように笑った。


「ソフィア、それは?」


ラファエルが私の前に置かれた箸を覗き込む。


「ナイフとフォークの代わりです。この料理はこちらの方が合うのですよ」

「ふぅん。俺のはあるの?」


アマリリスにラファエルが聞くけれど、アマリリスは首を横に振った。


「も、申し訳ございません…用意しておりません…」

「そっか。謝らなくていいよ」

「ラファエル様がお使いになるのは難しいかもしれません。コツを掴むのが難しいものですから……」

「そうなの? じゃあ、今度用意してもらって、練習させて? ソフィアが教えてくれるでしょ?」

「分かりましたわ」

「じゃ、その時私も」


………何故入ってくるお兄様…

好奇心旺盛だな…


「珍しい食事だ。早速頂こう」


お父様の言葉を合図に、私達は食事を始めた。

ナイフとフォークではやや食べにくそうにするみんなを尻目に、私は箸を使ってご飯を頬張った。

ん~~~~~~~!!

こ、コレです!!

コレですよアマリリスさん!!

モグモグと口を動かしながら、アマリリスをチラ見すれば、目が合う。

目で互いに語り合い、私は心の中で親指を立てた。

それが分かったのかアマリリスが嬉しそうに目を細めた。

そのまま私は食べ進めたのだった。

みんなの視線が痛くても、私はこの食事を堪能させていただきます!!


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