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第32話 拒否られ、拒否ります




「嫌だね」


私がラファエルにお願いとして提案した案は却下されました。

………だよね!!

知ってた!!

でも、引き下がるまい!!


「どうしても?」

「どうしても」

「何でも一つラファエルの言うこと聞くって言っても?」

「ぐっ………………………ダメだね」


チッ…

やっぱりダメか……


「どうして俺がソフィア以外に色目使わなきゃいけないんだ……」


ですよね!

アマリリスを誘い出して欲しかったんだけどね。

嫌がられました。

………ま、まぁ……ソフィア溺愛ラファエルですから、ね。

………ぐっ……心臓にダメージが……

自分で溺愛って言って、痛い女よね私って…


「じゃあライト」

「嫌です」


天井に顔を向けてライトにお願いしようとしたら、即答されました。

天井の板を少しだけ開けて見下ろしてこないで。

目だけは怖いから。


「まだ何も言ってない!」

「内容は同じでしょう。私は影ですから情報収集と姫を守る以外は拒否します」

「むぅ…」


頬を膨らませてライトを睨むけど、フッと馬鹿にしたような笑み(をしたように感じた)をして、天井板を元に戻した。

くそぉ!!

ホント生意気影!!


「あと囮に出来そうな知り合いっていないのよね……」

「ソフィア、囮ってハッキリ言わない」

「………じゃあ餌?」

「もっと悪いから!」


ラファエルに突っ込まれるって新鮮。

なんか楽しい。


「仕方ない……当日ターゲットになった男には犠牲になってもらうことにして、男爵令嬢の動きを探りますか……」

「犠牲って言葉も使わない!」

「はぁい」


軽く返事すると、ラファエルに苦笑いされる。

おお、またまた新鮮!

………なんか、私ここに戻ってきてからホント余裕が出来たよね。

ランドルフ国を何とかしようって意気込んでたからかな?

あちらではホント自分を追い込んでいたように感じる。

大事だよね。

自分にゆとりがあるのって。

ご機嫌でカップに口を付けると、ラファエルにじっと見られていた。


「………ぇ……な、に?」


ラファエルに真顔で見られると、何だか緊張するんだけど……

わ、私なんかやらかした!?


「いや、ソフィアがなんかリラックスしていい顔してるから」

「………あ、そう…?」

「うん。学園であった課外授業の時のようだなぁって。懐かしいね」

「即記憶消してくれません!?」


あんな光景何故見せた私!?

一生そのこと言われそう!


「ぁ~………やっぱり留学中に話したかったな……」

「………ぇ?」

「学生の時のソフィアは、留学中でしか会えなかったでしょ。それにランドルフ国に行っても、ここに帰ってきても、常にソフィアは王女の心得をリラックスしてても忘れてないし」


ラファエルに言われて自分を見下ろすと、確かに王女っていう感じの座り方を崩していない。

崩しているのは顔や口調など、一部だけ。

課外授業の時は、本当に下町少女に見えるように色々街の女の子の姿勢とか観察して崩してたもんね…

でも、前世思い出してから結構崩れてると思うよ?

けれどそんな事は、ラファエルに言えるはずもなく…


「………まぁ、これからはラファエルと共に過ごすし…」

「………よし、頑張ろう。これからのソフィアの時間も貰えるように」


暗に借金返済の目処を付けると意気込んでいるラファエル。


「ダメ」


それを却下する。


「なんで」

「ラファエルが倒れる」

「倒れないよ」

「倒れるよ。これ以上新しいことをしないこと。今のが目処ついたら新しいことに手を出して良いよ」

「え~……」


むぅっと頬を膨らませないで!!

私がやるより断然可愛いから!!

ここ重要!!

男のラファエルが女の私より可愛いって、屈辱以外の何物でもないから!!


「言うこと聞いてくれないなら、考え直すから」

「うん、今やってることを頑張らないとね!」


何を考え直すか聞きもせず、ラファエルはすぐさま態度を翻した。

脅したつもりはないんだけど、結果オーライ?

苦笑しながらお茶のおかわりを頼もうと立ち上がろうとすれば、サッとラファエルが立ち上がって侍女を呼んだ。

その素早い動きに、私は中腰のまま少し唖然とし、座り直した。

………なんだろう、あの反射神経は……

なんだか悔しく思ったのは気のせいにしておこう。

侍女が新しいお茶を入れて出て行く。

いてくれた方がおかわりしやすいんだけど、ラファエルが二人きりでいたいって言うから…

………天井の二人は除外するらしいけど…


「そうだソフィア、パーティのドレスは――」

「買わなくて良いから」


ラファエルの言葉を最後まで聞かずに言うと、またラファエルがムッとした。


「言ったでしょ。民が潤っていなければ、私は贅沢しないって」

「………」

「今のラファエルから、何かを貰おうなんて思ってない。私に何か買う余裕があるのなら、それは民に返して」

「ソフィア…でも」

「婚約発表だからって見栄張りたいのは分かる。でも、私は豪華なドレスはちっとも嬉しくない」

「………だが…」

「借金を返して、ランドルフ国が潤ってきたら欲しいもの買って貰うから」

「………その時は贈らせてくれるのか?」

「ええ」


私が頷くと、ラファエルは渋々頷いた。

………私はその時になったら何を強請るのだろう……

自分が男の人に何か買って貰う事なんてなかったから分からない…

でも、ドレスとか宝石とか興味ない。

………やっぱり、食べ物になるのだろうか…

そんな事を思って苦笑した。

………でもホント、婚約発表なんてよく王が許したものね…

王妃はどうやって王を頷かせたのだろうか…

そっちも気になるけど、ね。

私は何やら考え込んでいるラファエルを見ながら、ゆっくりとお茶を飲んだ。


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