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第317話 1人だけ違いました




王宮に戻り、改めてラブレ……いやいや、手紙を見る。

この手紙の主は、私がラファエルの何に騙されていると思っているのだろうか?

ラファエルは私に黙っていることはあるだろうけれど、嘘など嫌いだから騙すようなことはないだろうし。

ただ単に私をラファエルから離そうとして、それっぽく書いた?

………やめてよ?

またナルサスみたいに、私がラファエルに相応しくないとか言うとか。

どれだけラファエルモテるのよ…

私以外を魅了するの、いい加減にして欲しいよ。

………って、べ、別に嫉妬してないから!


「姫様、少しよろしいですか?」

「ソフィー?」


背後からソフィーが私の手の中にある手紙を覗き込み、話しかけてくる。

眉間にはシワが寄っていた。

………何か気になる点があったのかしら?


「こちらですが…」


ソフィーが手紙の1点を指差した。


「この字のこのクセは、サンチェス国独特の書き方だと思いますが」

「え……」


私もよくソフィーが指差した字を見てみる。

………見てみたのだけれど…


「………私には分からないわ…」


というか字のクセなんて人それぞれで、国とかで教える字が――クセとか書き順が変わるとは思えないけど…


「ランドルフ国の書き方は、最後のハネが内側です」

「え……最後のハネは外側でしょう?」

「ですから、ハネを外側に書くのがサンチェス国、内側に書くのがランドルフ国。こちらに書かれているハネは外側。サンチェス国の人間が教えられて覚えますから」

「………だから、この手紙の主はサンチェス国の人間…」

「はい」


全然気付かなかった……

よく見てるわねソフィー……

同国の人間が書いているから、私は気付かなかったのか…

それで覚えているから。

………って、ちょっと待って…


「ラファエルはサンチェス国の人間にもモテるの!?」

「「「「「は……?」」」」」


頭を抱えて思わず叫ぶと、部屋にいた全員が私を奇妙な目で見てくる。


「だって結局は、ラファエルから離れろっていうことでしょ? 私がラファエルに相応しくないからって…」


途端に全員が残念な子を見るような顔をする。

私主!!

っていうか、これ久しぶりだな!!


「………ソフィア様……どうみてもこれは、恋文では……」

「………こ、いぶ…み……?」

「そうですね。明らかに姫様へ想いを寄せている殿方からの手紙かと」

「ラファエル様から離して、自分のモノにしようという」

「………へ……?」


みんなの言葉に、私は唖然と全員を見渡した。

みんなの顔は、相変わらず呆れたような顔で…


「………ええぇぇぇええぇぇえ!?」


私は1拍後、声を上げてしまった。


「どうしたのソフィア!?」


私の声に、慌てた様子のラファエルが入ってくる。

近くまで来ていたみたい。


「ら、ラファエル! これ、てっきりラファエルファンからだと思ってたら、みんなが私を好いている男からの恋文だって言うの!」

「………」


ラファエルの顔の前に手紙を近づけ、私が主張すると、ラファエルが固まった。

………何故固まるの…


「ナルサスみたいに、私からラファエルを引き離そうとしている人からだって、私は思ってるのに!」


続いてラファエルが呆れた顔をする。

………デジャブ……

ついさっき同じ表情を向けられた気が……


「…………ソフィア……気付いてなかったの……?」

「へ?」

「………だから俺いつも言ってるよね。ソフィアは可愛いって。ちゃんと自覚してって。ソフィアの魅力に惹かれる男は無数にいるって何度も言ったよ。ソフィアはそんな事ないって否定して全然相手にしてくれないけどね」


半目になったラファエルが私を見てくる。


「………スミマセンデシタ…」


私はすごすごと手紙をラファエルの顔の前から避け、頭を下げた。

これだけの人数に恋文だと言われれば、私の方の考えが間違っているのだろう。

ラファエルにため息をつかれ、私はいたたまれない気持ちになった。


「まぁ、これでソフィアも自覚しただろうし……大体、俺から離れないでって言ったでしょ。君が狙われてるんだから」

「ね、狙われ……」


体験した事がないから、恋文をもらったのも、私が誰かに……その……異性として好かれていることも、まだ実感がわかない。

けれど、みんなが言うのだから間違いはないと思う。

だから私はちゃんと警戒しなくちゃ…

でも、何処の誰なのだろう……


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