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第314話 新たなる教科




学園に登校し、授業を受ける。

また休んじゃったから、授業が難しいと思っていたのだけれど、思っていたよりかは大丈夫だった。

………ラファエルにちょっとでも教えてもらったおかげ?

休み時間になり、少しぶらつこうかなと思っていたとき、ラファエルが教師に呼び止められた。

こういう場合勝手に移動したら怒られるよね…?

と思っていたら教師と共に教室を出て行った。

私に向かって手を合わせて罰の悪そうな顔をして。

別に約束してたわけじゃないから気にしなくていいのに。


「ソフィア」

「………あ、何です?」


後ろから声をかけられ、一瞬止まってしまった。

考え事していたのもある。

振り返ると、ローズが困ったような顔をしていた。


「………どうかなさいましたか?」

「あ、の……少し話をしても?」

「構いませんけれど、ここでよろしいのですか」

「えっと…」


ローズらしくない。

何かあったのだろうか。

ルイスがまだ怒ったままだとか?

今日会ったときは普通に見えたけれど…


「………怒っていらっしゃらないのです?」

「怒る? わたくしがローズに対してですか? ありえませんけれど」

「そ、そう…」


少し悲しそうな顔をして微笑むローズ。

私にはその原因が分からなかった。

この教室で、大勢の生徒がいる場所で理由を聞く言葉を口にするのはダメだろう。

だから私は口を噤むしかなかった。


「ソフィア様!」

「はい」


また声をかけられて顔を向ける。

マーガレットとスティーヴンが立っている。


「どうかなさいましたか?」

「お願いがあるのですけれど…」

「何でしょう?」

「きょ、今日のお昼、ご一緒しても…」


何故かモジモジしているマーガレット。

………あのね。

美人がソレしたら周りがぽわんってなるでしょ。

私霞むでしょ。

止めて欲しい。

可愛いから。


「宜しいですわよ。ラファエル様に伝えておきますね」

「本当ですか!?」

「嘘は言いませんよ。ローズも勿論一緒ですし。わたくしとラファエル様2人きりで食事ではありませんしね」

「え…」


何故かローズに驚かれた。

………どうしてだろうか。

王の養女となった以上、公の場では王族として扱われるでしょ。

貴族や平民の食堂で食べるわけにはいかないでしょ。

今更驚く事じゃないでしょ。

いつもの事なのだから。


「良かったなマーガレット」

「はい。良かったですわ」

「スティーヴン殿はラファエル様と仲良くなれるといいですわね」

「え…お――私今、顔か態度に出ていましたか?」

「いいえ? けれど、ラファエル様とお話ししたいと思っていたのでは? あの時かなり興奮なさっていたので」

「うっ…」


最初に食堂で一緒に食事した後、課題を見るためにラファエルの精霊を出した。

それにかなり食いついていたから。

恥ずかしそうにするスティーヴンに、私は笑う。


「ごめんソフィア、お待たせ」

「お帰りなさいませ。お昼、マーガレット嬢とスティーヴン殿もご一緒に宜しいですか?」

「いいよ。ソフィア、ちょっと確認したいことがあるのだけれど、いい?」


ラファエルに手を差し出され、私は頷く。

2人で廊下に出て、人気のないところに向かう。


「教師の話は何だったの?」

「うん。教科のことでちょっとね」

「?」

「それより、どう?」


ラファエルが私の手首と自分の手首をくっつけた。

腕時計の動作確認だったらしい。

ラファエルと私の時計の針は同じ時を刻んでいる。


「まだ大丈夫だね」

「うん」

「追加したい教科はね、経営学」

「経営…学生の時から経営をどういう風にするのか基礎を学ぶのね? 今までは世襲制…店を継ぐのが義務だけれど、今後は好きな仕事に就けるように」

「ソフィア、本当に君は国政や世間を知らない王女だったのかな…」

「こっちではね」


私は笑ってラファエルに返した。

日本むこうでは数学とかあったし、ある程度の計算は暗算で出来るようにした方がいいしね。


「ガルシア公爵を通して街の店の人間に一通り聞き取りしてもらって、それを元に本を作るよ」

「分かった。私も見ていい? 何かいいアイデア浮かぶかもだし」

「いいよ」


ラファエルと笑い合って、私達は教室へと戻った。


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