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第312話 日本食を所望します




アマリリスが作ってくれた雑炊をご機嫌で食べていた。

ラファエルの食事はいつも通りで、隣り合わせで食べていたんだけど…

じぃっと両隣から視線を感じる……

食事し難いんですけど…


「………何?」


取りあえずラファエルに声をかけてみる。


「それ、ゾウスイ、って言ったっけ。野菜と卵が入っているのは分かるんだけど、その白い粒みたいのは何?」

「ああ、これ…?」


米を掬ってラファエルを見る。


「それ」

「………」


言ってもいいのだけれど……

そういえば、アマリリスは何処からこれを調達してきたのだろうか。

確かこれは…

チラッとアマリリスを見る。


「ミルンクの餌を拝借しました」


ですよね~…

確か会議後にガルシア公爵達と話している時に見た餌リストにあったはず、と記憶に残っていた。

密かに別便で送ってもらえないかと交渉する予定だったのだけれど…


「………え……餌を…」


ほら、やっぱりラファエルが固まった。

護衛達も聞いて固まっちゃったぞ。

………よし、取りあえず…

ススッとラファエルの対面側のソファーに移動して、はしたないけれど雑炊の器を持って、取り上げられないように素早く口に入れていく。

取り上げられたら私泣く!!

絶対に泣く!!


「アマリリス、今度炊きたてご飯食べたい」

「承知しました。炊き時間研究します!」

「………やっぱりアマリリス、料理人に…」

「なりません!」

「………あ、そう……」


キッパリと断られてしまった。

そんなに私の世話をしたいのかな…


「コッコの卵で卵焼きも作りますか? 目玉焼きはさすがに大きすぎますし…」

「そうね。味噌もあったら味噌汁も作れるのに…」

「見つけます作ります」


………た、頼もしい…


「大豆を見つけて豆腐も作って……ああ、野菜でお漬物も作れたら…ぬか漬け………学園で真面目に勉強しておくんだった…サンチェス国にどんな食物があるか覚えておくんだった…」


………ぁぁ、ブツブツとアマリリスが自分の世界に入ってしまった。

日本食は今後もアマリリスに任せよう。


「あ、アマリリス~。俺の婚約者に正式になったから宜しくぅ」


………え?

今のこのタイミングで言うのジェラルド!?


「………あ、はい」


………えぇ!?

アマリリス、返事が軽いよ!?


「あ、アマリリス! そんな簡単に!」

「ですが姫様、私はもう公の場で唇を奪われましたし、ジェラルドと結婚すれば貴族階級になり、姫様の侍女になれますよね?」

「な、なれるけど…」

「それにジェラルドが強引なのはもう分かってますし、姫様のためなら」


………アマリリス、遠い目になってるよ。

何もかも諦めたねこれ…


「それに、私は罪人ですから。罪人を喜んでもらうというジェラルド、貴族階級が欲しい私。利害一致の政略結婚でも問題ないかと」

「………恋愛はもうしないってこと?」

「私の罪は死ぬまで許されませんから。そんな私が恋愛しようとは思えません」


アマリリスが顔を横に振って否定した。

………本人がそれでいいならいいけどさ…


「公爵家がそれでよろしいなら…私を受け入れても構わないと仰ってくれるなら、喜んで受け入れます」

「………そぅ…」

「許可もらったよぉ。勝手にしろって~」


………それは許可とは言わないのでは…


「って、ソフィア。呑気に話してるけど、それ身体に影響はないの?」


あ、ラファエルが復活した。


「ないよ。幸せ」


ニッコリ笑うとラファエルが拗ねてしまった。

………しまった……

私は慌ててラファエルの隣に座り直し、機嫌を直してもらうことに奮闘することとなった。


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