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第311話 初めてをいただきます




「ぅ……ん……?」


ふと意識が浮上して、目を開いた。

なんか、ベッドの柔らかさとは違うような…


「おはようソフィア」

「………ぇ…」


頭上から声がして、ハッと顔を上げる。

すると、目の前にラファエルが。

………ラファエル?


「え!? ラファエル、いつサンチェス国に来たの!?」

「逆」

「………逆?」

「ソフィアがランドルフ国に戻ってきて、寝ている俺の上に乗って寝てたの」

「………」


え……うそ……

キョロキョロと部屋を見渡す。

見覚えない部屋。

扉は私の部屋の物と大きさは変わらない。

白で統一された壁。

大きなバルコニーに出るためのガラスドアが奥にあり、そしてその手前に机と椅子。

その右隣に簡易ベッドがあって、多分仮眠用(でも豪華)

扉とバルコニーまでにある片側の壁には、天井まで伸びる本棚と、本棚にぎっしり詰まっている本。

もう片側には見覚えある扉。

多分私達の寝室。

部屋の中心に机とソファーがあって、そのソファーに私とラファエルが寝そべって…


「………え!? ここ、ラファエルの部屋!?」

「そう」

「え……わ、私、ここに忍び込んできてたの!?」

「だね」

「ら、ラファエル、もうちょっと危機管理を!」

「してるんだけどね? 扉は指紋認証だし、窓もちゃんと鍵かけてたんだけど」

「え……」


な、なんてことだろう…

私、どうやってここまで帰ってきて、どうやってラファエルの部屋に不法侵入をしたのだろうか……

って、そうじゃない!

それどころじゃないでしょ!?


「ご、ごめんなさい!!」

「いいよ。俺はソフィアに会えて嬉しいし」

「う……」


ニッコリ笑って許さないで欲しい…

叱ろうよラファエル…

私を甘やかすな…


「………でも、どうやって入ってきたんだろ…私……」

「覚えてないの?」


ラファエルが私の腰を抱き、私ごと起き上がった。


「わぁ!?」


い、いきなり動かないでよ!?

慌ててラファエルの首にしがみついた。

びっくりしたぁ…

ドキドキしながらラファエルから離れようとしたけれど、腰を抱かれたままで離れられない。


「俺も分からないな。気付いたらソフィアが俺にしがみついて寝てたから」

「………それもどうなの…」


ラファエルも誰かが部屋に入った時点で気付かないとヤバいのでは…


「俺もヤバいと思ったけど、気付かなかったら気付かなかったで、俺の精霊がどうにかしてくれるかなぁって」

「楽観的すぎるよ!?」


私よりもラファエルが心配なんですけど!!


「それよりもソフィア、ご飯食べようか」

「へ…!?」


な、なんでいきなりご飯…?

私サンチェス国で重い物ばっかり食べてたから、あんまり食欲ないし…いらないかな…

と思っていたけれど、いつの間にか机に食事が並べられていた。

………さっき、見渡したときなかったと思うんだけど…

と思っていると鋭い視線が向けられている気配がして、ハッと顔を向ける。

そこにはまるで般若の面を付けているかのように、怖い顔をした私の護衛とソフィーがずらりと…

あ、あれぇ…?

き、君達もさっきいなかったよね…?

ソフィーはともかく、どっから出てきたの…

隣にいるアマリリスが怯えてるよ…


「はい、あーん」

「って、ラファエル、ちゃんと自分で食べられ……あれ…」


ラファエルが持っているスプーンに乗っている物を見て、既視感を覚えた。

慌てて机を改めてみれば、そこにある料理に目を見開く。


「………アマリリス、これって…」

「はい。軽い食事をと言われましたので不思議に思い、理由をお聞きしました。胃が凭れているようなら、定番の粥かと。けれど粥だけでは栄養が取れないので、雑炊にしてみました」


野菜をふんだんに使い、コッコの卵も入れられて、食欲をそそるいい匂いが漂ってくる。

こ、これよ!

私が求めていたのは!!

まさかこの世界で雑炊が食べられるなんて!!


「ありがとうアマリリス」

「いえ」

「………アマリリスに嫉妬」

「………ラファエル、耳元でボソッと言わないで…」


ラファエルが拗ねてしまった。

機嫌を直してもらう為に、私は大きく口を開けてラファエルが持つスプーンを受け入れたのだった。


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