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第305話 意外にドライでした




私は内心ゲッソリし、けれど笑顔は絶やさず今の状況に耐えていた。


「ソフィア様! 周りに異常はありません!」

「そう、ありがとう」


「ソフィア様! 休憩になさいますか!」

「そうね、お茶を用意してもらおうかしら」


「ソフィア様! お身体に障りますので、お戻りください!」

「分かったわ」


………私の精神は最早擦り切れそうだった…

あれからあの彼は、お兄様に直談判に行ったらしく…

午後になって彼が私の部屋へとやってきて、役に立つべく! といった感じで、張り切って私の周りをウロウロしている。

お兄様め……


「………お兄様を呼んできて下さる?」

「畏まりました!!」


彼が出て行き、扉が閉まった瞬間にグッタリとソファーにもたれ掛かった。


「姫様、はしたないですよ」


実は私と一緒に来ていたソフィーと護衛4人。

彼らは私の謹慎が明けるまで私に近づかないようにお兄様に言われていた。

漸く彼らが私の元へ来られたと同時に、彼に来られたためにソフィー達と話も出来なかったのよね…


「………あれ、まだ付きまとってくるのかしら…あの元気についていけないんだけれど…」

「姫様にとっては良い薬かもしれませんね。ソフィーやアルバート達が甘やかしますから」

「オーフェスとヒューバートでお腹いっぱいよ! これ以上増やさないでよ!」


オーフェスが真顔で言ってくるものだから、速攻で拒否する。

これ以上真面目君を揃えられたら、私はいつ息抜きするのよ!


「ラファエル様も基本姫様を甘やかしますからね」

「別に気取らなくていいじゃねぇか」

「姫様遊ぼー」

「………ジェラルドはブレないわね…」

「早く帰ってアマリリスと遊びたいけどぉ…暇だしぃ」

「仕事しろジェラルド」


ジェラルドがオーフェスに注意されてる。

………そうだ。


「ジェラルド、実家に行ってきたら?」

「なんでぇ?」

つがい候補出来たって報告してきた方が良いんじゃない?」

「ん~…でもぉ、アマリリスは俺がタイプじゃないでしょ? 勝手に決めちゃぁマズくない?」

「「「「「え……」」」」」


思わず全員がジェラルドを凝視してしまう。

当の本人は後頭部に両手を当て、何事もなかったようにしているけれど…


「あくまでも今はあの使えない侍女達からアマリリス守るための契約だしぃ。ああ、あと元バカ王子の魔の手から守ることぉ」

「………あんな公の場で口づけしておいて何を言うの…」

「ああでもしないとバカ王子の視線をアマリリスから俺に移せなかったでしょぉ?」

「………でもあの後部屋に連れ込んだでしょ…」

「部屋では一切手を出してないよ? 部屋についてからは一定の距離保ってたしぃ」


ジェラルドの言葉にソフィーとヒューバートを見ると、2人とも頷いた。

間違いない、と。


「そうなんです。部屋に入ったらソファーに座ったアマリリスと、壁に立ってボーッとしているジェラルドがいて………その…甘い雰囲気はどこにも…」


………マジですか…

あの執着のジェラルドが…


「女の子は大事に扱えって母さん言ってたしぃ、部屋につくまでアマリリスの肩震えてたから、俺に恐怖心抱いてたと思うよぉ。見せつけるのは対象人物の前だけでいいでしょう?」


アマリリスが震えていたのは、恐怖心じゃなく羞恥心だと思う…


「はぁ……ジェラルド、アマリリスの唇奪ったのだから、責任は取りなさい。ちゃんとした形にしないと許さないよ」

「責任?」

「アマリリスに結婚する相手がいないなら、自分がもらうとアマリリスに言いなさい」

「姫様、俺がアマリリスをもらっていいの?」


首を傾げながら聞いてくるので頷く。


「双方がいいならね。第一、アマリリスは侍女になった時、何処かの貴族の家に養子に入らなきゃいけないのよ」

「あ、そっか! じゃあ俺本当にもらう」


アマリリスを気に入っているのは間違いないようで、ジェラルドはあっさり頷いた。


「じゃあ、家行ってくる」

「え…」


アマリリスにフラれることは一切考えていない足取りで、ジェラルドは意気揚々と出て行った。

………一旦ランドルフ国に帰ってアマリリスに聞くとか、しないところがジェラルドらしいのだけれど…


「………ソフィー、一旦ランドルフ国に戻って、一部始終アマリリスに伝えてくれる…?」

「わたくしは姫様の世話がありますので」

「………帰っていきなりはマズいでしょ…」


ジェラルドと結婚しろといきなり言われたら、アマリリスもいい感情を持たないでしょ。


「アマリリスも姫様の命令に従いますよ。結婚しろと命令すれば断れません」

「………いや、アマリリスの気持ちは……」

「嫌なら嫌とハッキリ言うアマリリスが、未だにジェラルドの件を姫様に言ってこないのは、アマリリスも望んでいるということですよ」


そ、そうかなぁ…?

でも、もうジェラルドは止まらないだろう。

アマリリスが全力で断れば、その時はジェラルドに引いてもらおう。

………引くかなぁ…

私は苦笑し、部屋に入ってきたお兄様の顔を見て顔を引き締めた。


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