第302話 なんかゲッソリしてるぞ… ―Re side―
翌日、ソフィア謹慎3日目。
親父に指定された3日目になり、ソフィアももういつも通りになっているだろう。
アイデアも出したし、肩の荷も下りているだろうし。
そう思ってソフィアの部屋に朝食を持って来た。
部屋に入って声をかけようとして、足が止まった。
ずぅんとなんだか陰気な空気を纏っているソフィアが……
………何故だ。
「………あ、お兄様……おはようございます……」
心なしか頬が痩けたソフィアが俺に気付いて挨拶してくる。
「あ、ああ……おはよう……」
反射的に返したが……いや、どうした…
俺は朝食を机に置いて、ソフィアの額に手を当てた。
「………熱はないな…どうした?」
「………何でもありませんよ?」
そぉっと視線を外される。
「いやいやいや。なら、お前その顔どうした…」
「………生まれつきです……」
ソフィアの目が半目になる。
いや、顔色のことであって、顔そのものじゃないよ。
「そうじゃなくて! お前、ゲッソリしすぎだろ! 何があった!?」
「………ぁぁ、そちらですか…」
フッとソフィアが遠い目になった。
「………お兄様、将来お気を付けて……」
「不吉だね!? 何を気をつけるの!?」
思わずソフィアの肩を掴んで揺さぶる。
「いやぁ……あはは……私、あれとは上手く付き合えないかぁ……」
「どういう事!?」
「ぁぁでも…お兄様なら、上手くいくかもしれません。多分……そう……きっと……なんとかなる……なるかなぁ……きっとなるよ……」
「話には主語を入れて!?」
「私には関係ない……関係ない……」
俺はなんだか嫌な予感がする。
ここで聞いておかなければならないのではないか!?
「ソフィア! 何が俺と上手くいくの!?」
「………ぁ、お兄様…おはようございます」
「さっき言ったよ!!」
「え……あ、わたくし、一体何を…」
キョロキョロと周りを見渡すソフィア。
え……今の今まで意識飛んでたの!?
「何があったの。俺と誰が上手くいくかもしれないの!?」
「な、何のことですか…?」
「俺に将来気をつけて、私はあれとは上手く付き合えない、俺なら上手くいくって言ってたよ!」
「………ぁぁ…」
また遠い目をする!!
「何のこと!?」
「………まぁ……その……精霊が、現れてですね……」
「精霊? どんな?」
「………お父様の…」
「親父の!? 会ったのか!? 親父の精霊に!!」
「はい……その……わたくしには……接しし難い御方だなぁと…」
………ソフィアの接し難い相手って何だ!?
どういう精霊だったんだ!?
それに、直接ソフィアに親父の精霊が会いに行ったのか!?
これは俺の想定通りになったって事でいいだろう。
ソフィアに先に知られるのは想定外だったけれど。
滅茶苦茶気になる!!
………が、このソフィアのゲッソリ具合を見たら、それ以上聞けなかった…
「そ、そうか……それで、精霊は何て?」
「あ、わたくしが提案した食物を作って下さるそうで、記憶を見に来られたそうです」
「へぇ。そんな事出来るのか」
やっぱり、考えていたとおりだった。
精霊はソフィアの記憶にある食物を実現できる。
どうやっているのかは分からないが。
………精霊って、神か何かなのだろうか?
神ならば何でも作れそうだしな。
「出来るのはどれぐらいだろうな?」
「この国の食物は出来るまでに最長3月ですよね? 遅くてもそれぐらいではないですか?」
「そうか…それから加工に入り……最短で半年後ぐらいかな」
「ですね」
これは思ったより早く実現できるかもしれない。
「あっと……飯冷めるぞ」
「あ、そうですね」
すっかり元に戻ったソフィアと朝食にする。
新しい食物もそうだが、ソフィアの言った娯楽の屋台とかも気になる。
早く実現したいと思いながら、食事を続けた。




