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第295話 間抜けにも程がありました…




周りの花に癒されながら、ラファエルとのんびりお茶を飲んでいた。

いいね、こういう時間は大切だとつくづく思う。

のんびりした時間を過ごしていると、最近ちょっと事件多すぎない? としんみりしてしまう。

まだ全部解決したわけじゃないんだけどね…


「あ、そうだ。ソフィア」

「ん?」


アマリリスが作ったプリンを、パクッと食べていたときにラファエルに声をかけられ、首を傾げる。


「え、なにそれ可愛い…」

「………ぇ…」


スプーンを口にくわえたままの、間抜けな体勢を可愛いと言われましても…

どうしたらいいのか一瞬分からなくなった……

取りあえずコクンとプリンを飲み込み、何事もなかったようにスプーンを戻した。


「………な、何…?」

「………ソフィアが可愛すぎて、何を言おうとしたのか忘れた…」


ジッと見つめられていたと思えば、そう言って項垂れるラファエルを困った顔で見ることしか出来ない…

そして分かったことが1つ。

一拍おけば、ラファエルの可愛い発言に冷静に対応できることが分かった。

………慣れる気はしないのだけれど…

取りあえず対処法が1つ出来ただけマシかも?

分かったところで多分、毎回狼狽えてしまうのはどうしようもないのだろうけれど…


「あ、そうだ。ローズ嬢のことなんだけど…」

「………ローズ?」

「うん。あの時、ローズ嬢の婚約者のこと言えなかったから…」


………ひょんな事から知っちゃいましたけど…


「………ルイスでしょ?」

「え!?」


プリンをまたつつきながら言うと、ラファエルが目を見開いた。


「私以外みんな知ってたみたいだし」

「う……ごめん…」

「………別に構わないよ。ローズが言いたくなくて隠していたわけじゃないみたいだし」


周りに仲睦まじいところを見られている。

それを私が目にする機会がなかっただけだ。

ツンツンとつつけばぷるんと揺れるプリンに癒される。

見た目は美味しそうだし、実際口にしたら美味しかった。

けれど、もう食欲は少し失せていた。

それにあの時って言っても、もう4日は経ってるよ。


「レオナルドが使用したとされる薬の出所はまだ分からないの?」

「うん、ごめん。何人かの騎士も私服で街を彷徨かせてはいるんだけど」

「………そう」


私の方も何も報告はない。


「お兄様が来ても、いい報告は出来そうにないわね…」


レオナルドだけでも確保できたことが幸いかもしれない…

でも、スラスラとレオナルドが答えた件に関しての進歩がない…

一体店も薬も何処に消えてしまったのだろうか…


「そうだね…サンチェス国王にも………ってソフィア…」

「何?」

「………レオナルドは、“国境近くの店”、と言っただけだった、よね…?」

「うん。それ、が……」


2人で顔を見合わせて、あ…と固まった。


「………ランドルフ国の国境近くとは限らなくない…?」

「………ですよねー…」


しまった…

つい、お兄様の報告でサンチェス国から国境を抜けて、ランドルフ国で購入したものだと思い込んでいた。

レオナルドが姿を消して、どういう経路でランドルフ国に来たのかは不明だ。

サンチェス国側の店だったかもしれないし、テイラー国側の国境かもしれない。

ランドルフ国側で、サンチェス国との国境付近ばかり探していた。


『………究極精霊みんなごめん…サンチェス国とテイラー国も探ってください…』


心の中で精霊達に願うと、了承した声が聞こえてきた。


「俺の精霊達も探してもらうように伝えるよ」

「………お願いします…」


ションボリすると、ラファエルに頭を撫でられる。

それに少し元気を取り戻した私は、残りのプリンに手を付ける。


「俺も気付いてなかったし、自分を責めないでね」

「ん。ありがとう」

「それに、ローズ嬢の件もね」

「………」


急に話を戻され、ラファエルを見る。

その話は止めて欲しいんだけど…

だから話変えたのに…


「それは私の関与することじゃないし、知らされてなくても関係ないよ」

「ソフィア…」


………ぁ…

言って後悔した。

今のは嫌な言い方だ…


「ごめん、今のは忘れて」


私は残りのプリンを食べ終わり、席を立った。


「ソフィア!?」

「何処にも行かないよ。花を近くで見たいだけ」

「じゃあ、一緒に見る」


ラファエルも席を立った。

………ぁれ?

もう仕事に行く頃だと思うのだけど…


「まだ時間あるの?」

「ルイスが呼びに来るまでね」

「じゃあ、それまで一緒にいられるね」


笑顔でラファエルに手を差し出すと、ラファエルも嬉しそうに手を握ってきた。

そのままルイスが呼びに来るまで、ラファエルと共に過ごした。


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