表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
291/740

第291話 不意打ちは困ります




部屋へ戻る途中にラファエルはルイスに呼び止められ、私は私の護衛のヒューバートと共に部屋へと戻った。


「ソフィーお茶ちょうだい」

「はい」


ソファーに座って息を吐く。

レオナルドはサンチェス国籍であるが故に、私がメインで動いたけれど…

疲れるな…話の通じない人相手は…


「アマリリスはどうしてる?」

「ジェラルドに誘拐されたままです」

「………ん?」


あのままアマリリスはジェラルドにお持ち帰りされちゃったの…?

………ごめんアマリリス…

というか、相当ジェラルドはアマリリスを気に入ったんだ。

何処に惹かれたのかしら。

まさかお菓子につられたわけじゃないわよね…?

駄々をこねていたジェラルドを思い出し、何とも言えなくなってしまう。


「お待たせ致しました」

「ありがとうソフィー」

「いえ。それと姫様」

「ん?」

「フィーアが戻ってきています」

「そう」


フィーアは暫く留守にしていた。

精霊との対話のために。

フィーアも王族ではない以上、精霊との契約を解除する対象になっていた。

漸く話がついたようだ。

急がなくていいし、契約解除するまで暫く一緒にいても良いと言ったためだ。


「ただいま戻りました姫様」

「ん。おかえり」


久しぶりに見るフィーアは笑顔で頭を下げた。


「最後に時間をいただきありがとうございます」

「お礼を言われることじゃないよ」


仲がいい友を失わせたのはこっちだ。

けれど謝らない。


「私が留守にしている間に色々あったようですが、とりあえずアマリリスを呼び戻しますか?」

「いいよ。ジェラルドが離さないだろうし」


新しい玩具を得た子供のように、暫く離さないだろうし。


「それよりもまず、レオナルドの事よ。取りあえずサンチェス国には報告しに行かせている。フィーアには私の影と共に街へ行き、レオナルドが入手したという薬の出所と成分を分析して欲しい」


手を上げると、カゲロウ、イヴ、ダークが降りてきた。

ライトが待機らしい。


「ロペス家は確か薬に精通していたわよね。貴女もそれなりに知識があるはずよ」

「はい。一応ロペス家の者として一通りは」

「女の方が油断して薬を売ってくれるかもしれないし、男でなくてはいけないかもしれない。散らばって店を探して薬を入手してきて」

「「「はい」」」


影が一斉に消えた。


「畏まりました」


フィーアは頭を下げて部屋から出て行った。


「………大丈夫ですか? フィーアを行かせて。もしかしたら店の者がフィーアの顔を知っているかもしれません」

「だからって私かソフィーが行くわけにはいかないでしょ。フィーア以上に顔を知られている可能性が高いでしょ」

「………失礼致しました」


ソフィーが引き下がる。

私はお茶に口を付けた。


究極精霊みんなも協力してくれたら嬉しい』


心の中でそう願うと、何人かの気配が気付かれないように遠ざかって行った。

………一体、何の薬だったのだろう。

人に気付かれないようにする薬なら、精霊が関わっていそうだし。

でも、もう精霊は王族以外に契約しないよう究極精霊から言ってもらったから、命令に背くとは思えないけれど…

また面倒なことになりそうだと、私はため息をついた。


「そういえばローズは?」

「姫様達とお戻りになった直後、ローズ様を見つけたルイス様が引きずって行かれました」

「引きず……」


な、何故ルイスがローズを引きずっていくの…?

そんな親しい間柄だったっけ?

………考えてみるけれど、ルイスとローズが話しているところを見たことがない。

たいして接点ないよね?


「ルイス様もお怒りだったでしょう。学園から真っ直ぐ帰ってくるようにとローズ様に仰るとお聞きしていたので」

「そうなの? ルイスから言ってるとは思わなかったな…」


ラファエルがローズにも報告しておいた方がいいと言っていて、悩んだけれど最終的には同意した。

だって、会いたくないだろうからと思って。

先に言っておけばローズはついてこないだろうとも思っていたし。


「ルイス様も愛しい婚約者を危険に近づけることはしたくないでしょうし」

「そうだよね。婚約者だものね――」


………ん?


「仲慎ましくご一緒にいるところを見ると、お互いを想い合っているのがよく分かりますわよね」


………んん?


「ルイス様もラファエル様と同じくお仕事を真面目になさっておりますが、やはり婚約者は大事になさっているところを見ると、仕事人間だけとは思えませんわよね」


………ちょっ……ソフィーさん。

私、頭がついていかないんですけれども!?


「ちょっと待って!」

「………はい?」

「………誰が、誰の、婚約者……?」

「え……」


ソフィーがキョトンとして私を見る。

部屋の隅にいるヒューバートを見ると、こちらもキョトンとしてる。

………知らなかったのは私だけ…?


「………ローズの婚約者は、ルイス…なの?」

「はい…」


不思議そうにソフィーが頷く。

………嘘、でしょ……?

私は力なくソファーに身体を預けたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ