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第278話 お出かけ!⑦




一通り見終えた私達。

さすがにソフィーの堪忍袋の緒が切れる頃よね…

ヒューバートも怒ってるかも。


「ラファエル、そろそろ戻らないと」

「えー…」


何故心底嫌そうな顔をする…


「分かったよ…」


ラファエルは諦めたような顔をして私の手を握りなおした。

そして来た道を戻っていくと、数メートル先に怒った顔をした2人の姿が見えた。


「あ、怒ってる」

「………怒らないわけがないと思うよ…」


と言いつつも、私もラファエルを今まで諫めることをしなかったから、同罪なんだけれども…


「やぁ」

「呑気に挨拶しても、許しませんよ」

「ヒューバートこわっ」

「当たり前です!! ソフィア様といくら2人きりになりたかったからと言って、いきなり走り出す人がありますか!! 何のために我々がいると思ってるのですか!」


周りに聞こえないように小声だけれど、ヒューバートの怒りの声は低く、重たい。


「悪かったよ」


ラファエルも素直に謝る。

………けれど…

私とラファエルの視線は自然と下がった。

なんと、ソフィーとヒューバートが手を繋いでいるのだ。

………進展してる!!

うわぁ、その瞬間を見たかった!!


「ヒューバート殿、取りあえずここから離れませんか?」

「え? あ、うん」


ソフィーに対してヒューバートが敬語じゃない!!

ほんと、何があったの!?


「では、まいりますよお2方。また勝手な行動されますと、ルイス様の説教が入ります」

「げっ!!」


ラファエルが嫌そうな顔を見せた。

ルイスの説教、何度も受けてるラファエルだからね…

でも、今回のはルイスに叱られても仕方ないことをしちゃったよね私達。


「もう逃げたりしないよ」

「信用できませんね。ソフィア様に続いてラファエル様まで…そんなところを真似しなくていいんですよ」


………あ、れ~?

ヒューバートが遠回しに私までデスってくる…

それから小言を言われながら私達は最初に馬車を降りたところまで戻った。

待機してくれていた馬車に乗り込み、私達は王宮へと向かう。

来たときと同じく、馬車にはラファエルと2人きりだ。


「ヒューバートってあんなだったか?」

「………というか、遠慮しなくなったって感じかな?」

「成る程。ソフィアの影響か」

「どうしてみんな私のせいみたいなこと言うの!?」


心外だ!

ぷくぅっと頬を膨らませる。


「もぅ、そんな可愛い顔して…食べるよ?」

「食べちゃダメ!!」


ぶんぶんと首を横に振る。


「ふふっ。楽しかったな。ソフィアとのデート」


デートと言っても、殆ど仕事アイデア出しになってたけどね。

薬草の店を覗いたとき、色んな種類があったにも関わらず、医者が治療のために購入していくのみらしい。

勿体ない。

これが冒険者とかダンジョンとかがある世界なら、回復薬などが作れ、更に冒険者が利用したりして活気ある場所になっただろう。

あいにく、ダンジョンみたいな所はないのだけれど。

私は、薬草で美容関係は作れないのだろうか、と呟いた。

女性が使う化粧品は、白粉おしろいなどを、肌を整えている顔にではなく、直で塗りたくり、紅をさすだけのシンプルな物。

白粉と言っても肌の色に合わせているから、真っ白になったりはしないけれど。

化粧水とか下地とか作って欲しいわ。

肌が荒れる一方になる。

薬品を肌に塗って荒れている肌を治す。

ならば、薬品を化粧品として改良し、女性の味方となる美容関係を作って欲しい。

あと、アロマ関係。

そして手荒れを防ぐ防水用の手袋とか。

いつものようにペラペラ喋ってしまって、ラファエルが書き取っていた。

………うん、これデートじゃないな…

視察とアイデア出しだった…

こ、今度は温泉街にしよう、うん。

もうあそこの店に改良する商品はないはずだし!

純粋にデートを楽しめるだろう!

うん、それがいい!


「俺は楽しかったけどなぁ」

「………」


また、心の声が出ていたらしい。

くすくす笑われながら、私はラファエルに抱きしめられたのだった。


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