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第275話 お出かけ!④




「あ、見て!」


私は1つの店舗を指差した。


「可愛い!」

「本当ですね」


私が指差したのは装飾品の店。

駆け寄り品を見る。

すぐ後にソフィーも続いた。

装飾品と言っても、王族や貴族が使う高いものではない。

綺麗な色の貝殻やビーズみたいな安物のガラス玉で作られている、まさに庶民用の少しの贅沢品。


「これなんかソフィーに似合いそう!」

「いえ、姫様だと思います」

「私はこんな可愛らしいピンクのは似合わないよ」


私が手に取ったのはピンク色の貝殻を付けて作られた髪飾りだった。


「いいえ、姫様です」

「ソフィーだよ。ほら!」


強引にソフィーの髪に髪飾りを付ける。


「ね! 似合うのはソフィーだよね!」


笑顔でラファエルとヒューバートを見た。

ラファエルはコクンと1つ頷く。

ヒューバートは顔を真っ赤にして視線を彷徨わせている。

………ちょっとー!?

ヒューバートなんかソフィーに言いなさいよ!

そして買ってやるとか言えないの!?

私は呆れてポケットから財布を出した。


「え!? 姫様!?」

「似合っている物は買わないとね」


私は笑って店主に向き合おうとした。


「はぁい、ソフィア待った」

「え?」


肩を掴まれ、ラファエルを見上げる。

そして指で示され私はその方向を見た。

そこには固まっているヒューバートが。

………って、知ってるよ。

ヒューバートが固まって動けないぐらい。

そう思っていると、ハッとしたように動き出した。

そして私の手の中の財布を視界に入れ、真っ青になって自分の懐から財布を出した。


「そ、ソフィー殿!」

「は、はい!?」

「お、俺が、か、買います!」

「え!? い、いいです、よ! そんな…」

「買わせて、ください! お、俺、ソフィー殿に、お、贈り物、してません、し」

「で、でも…っ!」


揉めていたけれど、ヒューバートは言葉とは裏腹に、行動は素早かった。

店主にさっさとお金を渡してしまったのだ。


「あ、ありがとう、ございます…」


ソフィーは遠慮していたけれど、諦めて受け取った。


「ソフィアはこっちかな」

「え?」

「この赤いリボン」


ラファエルが手に取ったのは髪を束ねるリボンで、小さなガラス玉のような物がリボンの先に3粒程付けられている。


「あ、可愛い」

「ソフィアに似合うよ。これは貰ってくれるでしょ」

「………そう、だね…」


これなら平民の子供が買えるぐらいの値段だ。


「うん、買ってくれる?」

「もちろん」


私に言われたのが嬉しかったのか、ラファエルは満面の笑みでリボンを購入してくれる。

そして今、結われていない私の髪に触れ、先に口づけられる。


「結っていい?」

「結ってくれるの? やって」


私はラファエルに背を向ける。

そしてラファエルは手早く私の髪を結ってくれた。

ポニーテールになって動きやすくなった。


「ありがとうラファエル」

「どういたしまして」


お礼を言って、私はヒューバートとソフィーの方に顔を向ける。

さっきから話し声が聞こえない。

不思議に思ってみると、2人とも顔が真っ赤なまま……“いつも通りに”固まっていた。

………大丈夫かしらこの2人…

なんか、別行動するの怖くなってきたな…

何も進展しないまま王宮に戻りそうだ…


「じゃあ、この辺で別行動しようか」

「「「え!?」」」


ラファエルの言葉に私達は驚いた。

私はこんな状態の2人を放り出すのか、という驚き。

2人はどうしていいか分からないという反応だっただろう。


「ちょ……ラファエル…」

「じゃあヒューバート、ちゃんとソフィーをエスコートするんだよ」


ニッコリ笑ったラファエルは、私の手を取って走りだした。


「わっ!? ちょ、ラファエル!?」


つまずきそうになりながら、私はラファエルの走るペースに何とかついて行くのがやっとだった。


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