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第274話 お出かけ!③




「うわぁ…」


街に入って私は目が輝くのが自分で分かった。

街の道もある程度整備されており、石の道が綺麗。

街並みも綺麗で、統一感を出すためか、同じ高さの建物が視界に映る。

壁の色は様々だけれど、清潔感がありゴミ1つ落ちていない。

店の前には商品が見本として出されており、日本の商店街のようだ。


「城下街より綺麗だな」


ラファエルが苦笑しながら言う。

城下街が国の顔になるんだけれどねぇ…


「本当にガルシア公爵は優秀だな」

「ガルシア公爵みたいな人がもっと見つかればいいね。ラファエルの負担が減る」

「ゆっくりやるよ。ソフィアのおかげでこの国は凄く変わってきている。民が飢えることがなくなった。これからもっと過ごしやすいようにしていければいい。国政は徐々に変える。いきなり全てを変えるわけにはいかないしね」


やり方を変えるには時間が必要だしね。

それに、信ずる臣下が圧倒的にまだ少ない。

こればかりは一朝一夕にはいかないよね。


「あ、見えてきたよ」

「え?」


ラファエルが指差した先を見た私は、思わず満面の笑みになった。


「古本屋!!」


店の前に並べられている古書を見て、私は走り出そうとしてラファエルに止められる。


「危ないよ。本は逃げないから歩いてね」

「………はぁい」


むぅっと頬を膨らませながら、私はラファエルに連れられて古本屋へと向かった。


「古書の事をソフィアはフルホンヤと言うんだね」

「古い本と書いて古本屋。色んな物があるね! 王宮にある本も読み切れてないし、私は一生読み切れない本にワクワクするんだろうなぁ」

「子が産まれてその子が跡を継いだら、ゆっくり、それこそ1日中読書をして過ごせるよ」


ふふっとラファエルが笑いながら言う。

それに条件反射のように頷いてしまいそうになり、理解した瞬間顔を赤らめしまう。

き、気が早すぎるよラファエル…!!


「いくつか買ってく?」

「う、ううん。ここにあるっていうのが知れただけで満足! 王宮の本を先に読みたい!」

「分かった」


後ろからまるで抱きしめられるんじゃないかというくらいに近い距離で囁かれ、内心慌てながら普通に見えるように装い、返した。

ホント、不意打ちで心臓に悪いよ!!


「読みたい本があれば言ってくれれば探すからね」

「ありがとう」


一通り眺めた私は満足し、ラファエルを見上げた。

気付いたラファエルは、私の腰を抱きその場を後にする。


「あそこからは各国の衣類が販売してるし、薬草や薬販売、街の中心にはそれぞれ食物。野菜や魚、肉など。雑貨とかもあるけど、温泉街の店の方がいいものがあるよ」

「他国衣類なんて売れるの?」

「道楽貴族が収集するために買ってるよ。向かって左側の筋が行商人が日付を決めて借りられる貸店舗」

「じゃあ右側の筋はガルシア領民が常時販売している店舗なんだ」

「そ。貸している所は店先に何日までいるかの表示を出していなければ、見回りの騎士に店を追い出される」


なるほど…

しっかりしている制度のようだ。


「ちなみに申請は何処に?」

「王宮の外交担当」

「………」

「うん、何も言わなくていいよ」


無言になる私の気持ちを、ラファエルは察したらしい。

苦笑している。

王宮の各職はラファエルとルイスが全て決定している。

王が決めた役職の臣下は信用ならないと。

不正されてはいけないと。

この役職の臣下だけはラファエルの権限で全て解任となっている。

理由は人事一新のため。

再びその役に就きたければ、ラファエルの試験に合格する必要がある。

ラファエルが仕切ることになり、実力を見たいから1度全て白紙にし、新たに実力を見せてくれと問題なく全員を納得させて解任したらしい。

そしてこの試験に合格した者は現在1人もいない。

だから結果的にラファエルが仕事を振れる臣下がいないということ。

けれどそのせいで、申請が来る度に2人の負担が増えていくという…

悪循環…


「色んな店があって賑やかでいいね」

「城下もここみたいに色んなものが並べばいいんだけどね」

「ダメなの?」

「城下は確かに俺の管轄にはなるけれど、その領地は南に当たり、南の公爵であるアンドリュー公爵と一部の土地は共有。あまりにも俺の管理地と公爵の管理地が違っていれば、違和感がありすぎてダメだ。国の顔となる王宮と城下が滅茶苦茶になると困るからね。それにアンドリュー公爵は旧国派だからね。自分の懐が潤うためだけに動く。利害が一致しなければ大規模な改装や品一新は無理だよ」

「そっか…」

「目新しければ民も立ち寄る頻度が高くなるけど、継続的に来させるにはやっぱり良い物を置かなきゃだしね」


ラファエルの言葉に頷きながら、私達は街の店を覗いていった。


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