表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
272/740

第272話 お出かけ!①




「じゃ、行ってくるよ」


そう軽くラファエルが言い、私の腰に手を当てて2人揃って王宮から出た。

今日の私の服は、ラファエルが手配してくれた服。

お忍びのはずなんですがね…

爽やかさをアピールするかのように水色の布(勿論冬用の厚い生地)で作られているワンピース。

靴は歩きやすいように、同色のヒールが低いもの。

裾にはレースが付けられており、他の装飾はない。

首元にはラファエルの目の色の、赤いルビーがペンダントトップになっているネックレス。

紺色の上着を羽織って腕を隠す。

………これだけならまぁ貴族のお忍び失敗服みたいなんだけどね…

生地が良すぎるのよ!!

これ結構お金持ちの家の人…

ラファエルはうって変わって良く平民が着ているTシャツのようなもので、下も質素なパンツだ。

………この差!!

そしてさり気なく距離を取ってソフィーとヒューバートが私達の後ろを歩いている。

2人もちゃんと平民に見える格好だ。

何故に私だけ!!

………まぁ、もう気にしても仕方がない。

デートに集中しよう…


「今日はどこに行く?」

「え? 決めてないの?」

「うん。ソフィアの行きたいところに行こうかと思って」

「えー!? じゃあ先に言っておいて欲しかったよ!」

「ごめん」


素直に謝られ、私はそれ以上言えなかった。


「じゃあ、今日はガルシア公爵領の街を見てみたい。この間は馬車で道を確認しただけだもの。街でどんな店があるのか見てみたい」

「そうだね。じゃあ行こうか」


用意されていた馬車に乗り込み、馬車が走り出す。

馬車も平民が使う乗合馬車のように、外見は貧相に見えるようにされていた。

けれど中は王族の使用する馬車と変わりない。


「ガルシア公爵領の街では何が売ってるの?」

「メインは城下街と変わらず食物だよ。後は薬草とか衣類。そしてソフィアの好きな物」

「私の好きな…?」


首を傾げると、ラファエルは笑みを浮かべる。


「それは行ってのお楽しみ」

「………最近ラファエルその台詞にこだわってない?」

「ソフィアの喜ぶ顔が見たいから」


ぷぅっと頬を膨らませると、ラファエルは笑みを浮かべたまま私のほっぺをつつく。

それだけならまだしも、頬に口づけてきたりするから恥ずかしい。


「………そういえばユイカ」


ドキッとした。

久しく忘れていた呼び名を不意に呼ばれ、私はビクッと身体を震わせてしまう。

い、いくら2人きりだからって!!


「ユイカの世界って、どんなだったの?」

「………どんな?」

「ここに、似ている物ってある?」

「あるよ。機械とか本とか。食べ物も名前は違うけど似たようなものは結構あるし」


そんなに変わらない。

………急にどうしたんだろう?


「じゃあ、ない物は?」

「ない物………物ではないけど、まず精霊は見たことなかったし、魔法も当然ないよ」

「他にない物は? 物品とか移動手段とか」

「いっぱいあるけど……移動に使う乗り物とか、この間言った娯楽施設とか…防犯面とか…連絡手段とか」

「連絡手段?」


首を傾げるラファエル。

私は紙に固定電話と携帯電話の事を書き出す。


「へぇ。遠くにいてもすぐに連絡がつくのか」

「この世界には電波……見えない電気…雷…通信ってどう言えば分かるかな…」

「まぁ、声を届けられる物なんて開発できたら凄いよね」

「うん」


ラファエルは色々紙に書いて懐にしまった。


「急にどうしたの?」

「ん? この国がもっと便利になればいいなと思って」

「そうね…」


でも、充分今の改国状況はすごいと思う。


「ユイカの男の好みは?」

「私の好みか。そうね………………………………って、なんで!?」

「………ちっ」


………何故舌打ちをする……

知ってどうするつもりなの…

………でも、今の私はそんな事考える必要ないからな…

前はオタクだったから、それなりにこだわりはあったんだよね。

このゲームで言えばまさしく(完璧王子の)ラファエルだったのだけど。

他のゲームキャラの好きだった特徴を考えてみた。

………

………………

………………………

あ、マズい思考になってしまった。

やめよう…


「ユイカ何考えているの?」

「いや、前の私って結構イケメン…顔が格好いい人とか俺様系に弱かった………って…ぁ!!」


バッと自分の口を押さえたけれど、もう遅い。


「………へぇ?」


何やらニヤついたラファエルに見られていました。

あ、私ヤバいかも…

そっと身体を引いたけれど、腰を抱かれているから逃げられなかった。

………早く着いて!!

と願いながら、何とかラファエルから逃れようと必死だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ