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第27話 お茶会は波瀾万丈です?




サンチェス国に帰ってきてからの翌日。

私、王妃、兄、ラファエル、ローズの5人でお茶会。

………深く考えなかったけど……これって豪華メンバーじゃない…?


「でね? あの時のレオポルドったら――」


王妃の話を熱心に聞いているのはローズのみ。

私の隣でラファエルと、王妃の隣のレオポルドがニコニコ笑っているだけで互いに目で語っていた。

それを見て私は冷や汗をかいて視線を反らしていた。

………怖い…

何故こんな事になったかというと……

昨日まで遡る。




レオポルドの言葉に思わず叫んでしまった私。


「ランドルフ国で恥をさらす前に解消した方が良くね?」

「ラファエル様はもう知ってるわよ!!」

「え? お前の猫かぶりもうばれてんの? やっぱお前には無理だったんだな」

「これが好きだって言ってくれてるもの!!」


………叫んで後悔した。

ハッと気づけばニヤニヤしているレオポルド。

………やってしまった……

私は真っ赤になった顔を両手で隠して、レオポルドは笑っていた。

そして、ラファエルがバンッと私の部屋のドアを開けて入ってきた時、


真っ赤になっている私。


ニコニコ笑っているレオポルド。


私の顔とレオポルドを見て、ムッとしてしまったのだ。


「あ、ラファエル様…お父様とのお話は…」

「………」

「ラファエル様?」

「ソフィア様はもう私の婚約者です。いくら兄君だからといえど、ソフィア様と二人きりで密室内にいるのはどうかと」

「ああ、これは失礼。そろそろおいとましますよ。………ですが、ラファエル様も“まだ”婚約者の身。愛しい妹と二人きりにはさせられませんね。私と一緒に部屋を出て頂きましょうか」

「………」

「………」


うわぁ……

こ、これは……ラファエルVSレオポルドに……


「恋人との逢瀬をお邪魔しないで頂きたい」

「手を付けられると困るんですよ。父も言っていた通り、妹は貴方と婚約者でいられる保証がありませんからね。借金を背負っている男に、大事な妹渡せませんし、清いままでいてもらわないと」

「私が大事なソフィア様を傷つけるわけないでしょう」

「意味が分からない風な返しは止めて頂けますかね? よもや、大事な妹の唇を既に奪っているとは申しませんよね? そこも清いままでいてもらわないと困りますからね? ソフィアと結婚する相手に礼を尽くさないといけませんから」

「はは。まさか。私は国でソフィア様を大切な女性として、指一本触れていませんよ」


………ラファエルさん…

良い笑顔でなに嘘ついてるの……

唇どころか、触られまくってますが……

………ふ、布団にも潜り込まれてるし……

そしてレオポルド……

完全にラファエルをからかおうとしてるよね……?

………さっきの私の態度見たから、尚更面白いんだね……

………どっちも腹黒王子……


「ふ、二人とも、もうその辺で……」

「ソフィアはちゃんと自分を守ってるよね? 清いままだよね? もし手を出されていたらお兄様にすぐに言うんだよ? お父様に報告しないといけないからね?」

「なんて事言うんですか!!」

「そうですよ。手さえエスコート以外には触れていないんですから。言いがかりはよして下さい」

「ラファエル様もお兄様の冗談真に受けないで下さいませ!」

「冗談じゃないよ」

「それはこちらの台詞です」


ニコニコ笑いながら互いに相手をしないで!!


「ろ、ローズにお茶会の招待状を送りたいので、二人とも出て行って下さいませ!!」

「ローズ嬢になら私から招待状を送るからソフィアは何もしなくて良いよ。疲れているでしょ? ゆっくり休んで。気のきかない婚約者殿は放っておいて」

「え……」

「失礼ですね。私もソフィア様の顔を見たらすぐ出るつもりでしたが、レオポルド様がソフィア様と密室で話しておいででしたので。レオポルド様が出て行くまで動きませんよ」

「ちょ……」




………こんな感じで昨日はドッと疲れた……

あれからもなんだかんだ言いながら長時間私の部屋に二人とも居座っていた。

………移動よりもあの二人の仲裁に疲れた……

そして現在……

あの時のように言い合いはしていない――声に出してない言い合いは二人の間でやっているみたいだけど……

………どうしてこうなった……


「そういえばソフィア」

「あ、はい」

「あの甘味はラファエル殿が作られたんですって?」

「あ、そうです! 美味しかったですか?」

「ええ。幸せな気分になったわ。あの人が即店を作らせるよう指示していたから、建物は早く出来るわ。今回職人も連れてきてくれてるし、希望も聞けて良いわよね。出来たら毎日買うからね?」

「ありがとうございます! 嬉しいですわね、ラファエル様!」

「ええ」


漸くラファエルがレオポルドから視線を外し、こちらを見た。

………はぁ……怖かった…


「そんなに美味しい甘味だったんですか? 私も食べたかったです…」


あ……そっか。

ローズには送ってなかったわ…


「ご、ごめんなさいローズ嬢」

「あ、いえ。責めたのではございませんわ。お店が出来たらすぐに買いますわね」

「ありがとう」


ローズと二人で笑い合う。

ああ、やっぱりローズは綺麗。

ストレートの真紅の髪がより美人な顔を引き立てる。

………う~ん…

私の黒髪どうにかならないだろうか……

本当にどうして私だけ王の遺伝子を強く引き継いだのだろうか…

………日本人だったから黒髪には慣れてるけど……

生まれ変わるなら金髪美女とかになりたかった……

転生なんだからちょっと融通してくれたって……

神様恨んでも仕方ないけど……

ら、ラファエルとはお揃いなんだけどね…

黒髪ってとこだけ……


「男性が甘味作りとは、手先が器用ですね(ナヨナヨした優男みたいな趣味だよな)」

「昔よく母と作りましたから(特技が色々ある男の方がソフィアに惚れ直してもらえるだろうが)」

「へぇ。凄いね。ソフィアは不器用だけど(お転婆姫の相手に相応しくないんじゃないか?)」

「そこも可愛いところですよ(俺以外にソフィアに相応しい男がいるかよ)」


………どうしてだろう…

なんだか副音声が聞こえてくるような……

き、気のせいだよね!?

ふふっと爽やかイケメン同士が笑い合っているんだけどね?

目が笑ってないのよ二人とも!!

ラファエルはともかくレオポルドもなの!?

シスコンなの!?

だから設定通りにしてくれないかな!?

私、心臓持たないから!!

ハラハラドキドキはいらないから!!

イケメントップ2の2人なんだから、イメージ壊さない方がファンに対して良いと思うよ!?

お茶会ってイメージ的にはのんびり出来ると思ってたんだけど!

こんな波瀾万丈なお茶会いりませんから!!

………そんな事を叫ぶわけにはいかず……

私は引きつらないように笑顔で皆の様子を見ているしかなかった。


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