第257話 娯楽を作ってみましょう
食事が終わり、ラファエルを強制的に私のベッドへ運んでもらった。
勿論ラファエルの騎士に。
寝室の中の護衛は私の騎士で固める。
流石に私の部屋の寝室だからね…
ラファエルの騎士にいさせるのは抵抗がある。
今更感は否めないけど…
「ソフィア」
「………ん?」
流石に寝込む必要はないとのことで、ベッドにクッションを立てて、ラファエルはそこを背もたれにしている。
「暇だからさ、この間のホットケーキとかヨーグルトの製造過程教えて欲しいんだけど」
「………」
ラファエルに言われ、私は固まった。
嫌だからとかではなく、製造過程と言われても答えづらかったから。
私はホットケーキを作るときにはホットケーキミックスで作ってたし、ヨーグルトなんて買う物だったし。
チラッとソフィーを見ると苦笑され、近寄ってきてソフィーからラファエルに告げられることとなった。
ヨーグルトは流石にアマリリスに聞いて欲しいと前置きがあった。
やっぱりアマリリスじゃないと分からないよね…
ホットケーキは一緒に作ってたからか、ソフィーは知っていた。
1回見ただけで覚えるとはさすがだ。
「………ん。ありがとうソフィー」
ラファエルはメモし終え、ソフィーは頭を下げて元の位置に戻った。
「それにしても5日か……外出していいならこの機会にソフィアとデート出来るのに」
「ダメ」
「………はぁ。暇すぎる…」
ラファエルが天井を見上げる。
「………ん~…そうだね。娯楽が何もないものね。部屋での暇つぶしの定番って、トランプとかUNOとかオセロとか…ボードゲーム系ないし。将棋とかチェスがあっても私ルール知らないし。ゲームなんてあるわけないしね…テレビもないし。外での娯楽施設って温泉街しかないし、温泉ってリラックスするもので毒には効かないだろうし……遊園地とか動物園とか水族館とか植物園とかあっても行けないし、ボーリングとかカラオケとかゲームセンターとかあっても勿論行けないし」
「………ソフィア」
「ん?」
「全部ここに書いて」
「………え!?」
何で全部!?
私なんかマズいこと言った…?
チラッとソフィーを見ると何故か呆れられてる!?
「………そ、ソフィー…」
「トランプ、UNO、オセロなどはすぐに作れるのではないですか?」
「え……」
つまり暇つぶしの道具を作れ、と…
ラファエルを見ると笑顔だった。
私はため息をついてラファエルからメモとペンを受け取った。
「えっと……」
私は自分の言った物を書き、その用途 (ルールとか)も書き出していく。
遊園地などは遊具とかも。
………ぁぁ、懐かしいなぁ…
もし実現できたら遊園地で遊びたいと思う。
車もないところだから実現するとは思えないけどね…
内心苦笑しながらラファエルに手渡した。
「へぇ……トランプって、すぐ出来るの?」
ラファエルは先程ソフィーが言っていたので、ソフィーを見る。
「出来ると思いますよ。同じ丈夫な紙…折り曲がったりしない厚紙で同じ大きさであれば、模様と数字を書けば良いだけですし」
「ふぅん」
ラファエルは少し考え、暫くしたら頷いた。
「………?」
1人満足げにしているラファエルを首を傾げながら見ていると、暫くしてラファエルの精霊が紙を持ってきた。
………精霊に持ってこさせたんだ…
これは今から工作の時間になるぞ…
「ありがとう」
ラファエルが受け取ると精霊は消えた。
ちなみにカラーペンも持ってきたらしい。
「さ、ソフィア。始めようか」
ニッコリ笑って言われました。
この不器用な私に何をさせようというのか…
取りあえず受け取るものの……不安だ…
「ソフィアは数字書いてくれる? で、ソフィーはマーク書いて。俺は適当な大きさに切っていくから」
「はい」
「わ、分かった」
数字か。
なら大丈夫だ。
………ソフィーは絵が上手いのだろうか?
ラファエルが切った紙にまずソフィーがマークを書いていく。
ソフィーが書き終えれば私の方へ渡してくる。
マークは問題なく綺麗に書けていた。
それにご丁寧に本物のトランプの柄を再現していた。
1は真ん中に大きく1つのマーク。
2は2つのマーク、と。
クスリと笑い、私も同じように数字を書いていった。




