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第251話 これは、どういう事でしょう…?




アレから2日。

ラファエルに


「ソフィア、ちょっと付き合ってくれない?」


と言われて、何故かソフィー達侍女にポインと浴室に放り込まれ、全身磨かれた。

そして、豪華なドレスに身を包まれ…(豪華と言っても見た目は質素で、素材が高級品)

髪は飾り付けられ、正装に身を包んだラファエルの前に、これまたポインと放り出された。

そして満足気なラファエルに手を取られ、連れて行かれたのは――


「ただいまより、今月の定例会議を行わせて頂きます」


ルイスの司会により、謁見室の隣の会議室にて定例会議が始まった。

………

………………

………………………ちょっと待って!?

ここに私いちゃいけないでしょ!?

集まっている貴族からの視線が痛いんですけど!?

そして何故ランドルフ国の定例会議にサンチェス国王とサンチェス国王太子が混ざってるのー!?

入り口から1番遠い上座の中心に金で出来た1番豪華な椅子にラファエルが座り、その左隣(私から見て)の椅子に私。

右隣にルイスが立ち、更にその向こう側にお父様とお兄様が、臨時に設けられただろう椅子に座っている。

そして私から見て半円形の机(U字の反対向き)に、左端にガルシア公爵、その隣に3人の男が座っている。

多分、公爵家の人達。

そしてその公爵家の後方に、これまた半円形の机に公爵家の人数の倍の7名。

更にその後ろに16名。

その後ろに16名とその後ろに16名(計32名)

公爵家が座っている以降の机はきっちり真ん中で分断されている。

通りやすくするためだろう。

おそらく手前から公爵家(4家)・侯爵家(8家)・子爵家(16家)・男爵家(32家)の並びになっている。

侯爵だろう席が1つ埋められていないことから、断罪されたあの侯爵が座っていただろう席と推測。

ランドルフ国は、貴族階級の数が決まっていると習った。

公爵家がそれぞれ2家の侯爵家を管理。

 …4家×2家で侯爵家が8家。

侯爵家がそれぞれ2家の子爵家を管理。

 …8家×2家で子爵家が16家。

子爵家がそれぞれ2家の男爵家を管理。

 …16家×2家で男爵家が32家。

それぞれ上の階級の貴族が王家に自分の管理する家の者を決め、階級を与える許可を国に申請し、受理されればその家の者は貴族階級を得るという。

………この階級制度もどうにかすればいいと思う。

王もホイホイ許可出していたのだろう。

顔を見ただけで、仕事が出来るかどうか判断できるような当主に任せてはいけないよ…


「各地の問題点があれば、挙手で合図を」


チラホラ手が上がる。

ルイスが指し、問題点を上げていく貴族達。

ラファエルはそれを無表情で見ているだけだった。

対処する、そちらでどうにかしろ、的な言葉はルイスから発せられるだけで、ラファエルは何も言わない。

………会議ってそういうものなのかな…?

私には分からないから当然、っていうか場違いだし、口を開くことはないのだけれど。


「次」

「はい」

「どうぞ」

「何故ここにサンチェス国の王女がいらっしゃるのでしょう」


………あ、それ私も聞きたかった。

………でもさ…

それ、今の議題に関係ないよね…?


「………それは、お前の所の問題点に関係あるのか。お前の所で王女が何かしでかしたのか?」


ラファエルの低い声が部屋に響いた。

ゾクッと背筋に悪寒が走った。

………って失礼な!!

私何もやらかしてないよ!!


「い、いえ……」


バカなことを言った貴族は大人しくなった。


「他にはいらっしゃいませんね。次の議題に移ります」


次の議題は、先月に出された問題点についての進捗状況らしく、ルイスが書類を見ながら皆に聞かせていた。

道の補強やら温泉街の出来具合や、各領地の事などなど。

ふむふむと心の中で頷きながら、私は聞いていた。

だって、ランドルフ国のことだしね。

ラファエルが私をここに連れてきて聞かせているということは、私にも知っておいて欲しいことだろうし。


「続いて、王家からの案についてご報告致します。ラファエル様」

「新事業について新たな議案だ。まず実験として、ガルシア公爵家に行かせている使用人達に生き物の飼育を頼む」


ラファエルの言葉に少しざわつきが起こった。


「ミルンクとコッコ。この2種の飼育し、手に入る食品を新たに使い、温泉街と甘味の新商品を作り出す」


スッとガルシア公爵が手を上げた。


「なんだ」

「ミルンクとコッコからはどのような食品が手に入るのでしょうか?」

「これだ」


ラファエルはルイスに合図し、ルイスが何かを持ってきた。

それは瓶に入った牛乳と、ザルの上に乗せられた卵だった。


「これは?」

「瓶に入っているのがギュウニュウと呼ばれ、毎日コップに1杯、飲むと身体にいいらしい。そしてザルに乗っているのはタマゴと言うらしく、これが甘味にいい膨らみや、味に深みを与え、更に栄養を摂取できるようになるらしい」

「なるほど。素晴らしい。これはまたソフィア様のご提案ですか?」


うっ……

ガルシア公爵に何故か暖かい眼差しを向けられました。

止めて!

見ないで!!


「そうだ。毎度良い提案をくれるソフィアを蚊帳の外にし続けるのはどうかと思って今日は連れてきたのだ。この国が良くなってきているのはソフィアのおかげだ。………それに、1人にしておくと色々危ないのでね」


………ちょっとラファエル!?

それを言ったら私が何かやらかすみたいに聞こえるんだけど!?


「ミルンクとコッコを育てるにあたり、サンチェス国から新たな契約食材が増える。更に同盟国同士なのだから、会議に出席してもらうのに支障はないだろうから、同席をお願いした」

「そうでございましたか。恐れ入りますが、契約食材をわたくしにもお教え願えますでしょうか? 事前にソフィア様からも飼育の注意点などもお聞きできればよいのですが…」

「当然そのつもりでいる。ので、会議の後はガルシア公爵に残ってもらいたい」

「畏まりました」


ガルシア公爵が頭を下げた。

その時、ガルシア公爵の隣に座っていた威厳ある顔で、少し年を取っている男が手を上げた。


「なんだ。エイデン公爵」


………エイデン!?

私は過剰に反応しないように手に力を入れ、自分を抑える。

顔だけ見れば怖いけれど、あの精霊が見せてくれた息子とは比べ物にならない。

いかにも仕事人って感じで、その点に関しては悪印象はなかった。


「恐れながら。何故ガルシア公爵家のみなのでしょうか? 我が領地では出来ない理由でも?」

「当然の指摘だな。説明しよう」

「お願い致します」

「ガルシア公爵家の使用人は現在、溢れるぐらいの人数になっている」


ハッと何人かの貴族が反応した。


「ガルシア公爵家で再教育を施した使用人は振り分け先が現在ない。それゆえ仕事もなしに放り出す事になってしまうのでな。それならば新事業の実験をガルシア公爵家の領地の一角で行い、その仕事に振り分けようということになった」

「では、我が領地で行い、来させても良いのでは?」

「使用人がサボり、逃げ出せば全てエイデン公爵の責任になるぞ」

「それはガルシア公爵も同じでしょう。条件が同じであれば、是非我が領地でもお願いしたいのですが」


一歩も引かないエイデン公爵と、ラファエルは睨み合うこととなった。

私はハラハラしながら(顔には決して出せないけれど…)2人を交互に見ていたのだった。


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