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第250話 逆鱗に触れた、かな?




「………ふぅん」


静かな、低い、それでいて部屋の中のものが全て凍り付くかのような、冷たいヒヤリとした空気に一瞬で変わった。

この部屋には、現在ラファエル、ルイス、ソフィー、そして私の騎士4名とお兄様、最後に私。

ライト達も天井の上で待機しているだろう。

当然、事態を説明した私の言葉を聞き終わった最初の一言を発したのはラファエルだ。


「………よりにもよって? 俺に毒を持ったのはともかく」


いや、それが最重要案件なんですが。


「俺のソフィアを妾に?」


………ラファエルにとっての逆鱗は、やっぱり私のようで…

え?

今更何を言ってるんだ、って…?

だ、だって他人事って思ってないと、顔が赤くなっちゃいそうなことだもの!!

ら、ラファエルに愛されてるのは凄く嬉しいんだよ!?

でも、それを自分で言っちゃうと恥ずかしいし!!


「公爵家風情が王家を軽んじるとは」


………おおっと…

ルイスから黒い言葉も出てきちゃったよぉ…

公爵、だけれども、公爵本人がやってるわけじゃないからね!?

甘やかされたお坊ちゃまの方だから!!

2人は公爵の人となりを知っているでしょうが、私は知らないからね!?

その人となりを私に教えてくれないかな!?

一気に公爵家お取り潰しになったら、ラファエルにシワ寄せ来ちゃうからぁ!!

私のささやかな楽しみ奪いかねないから!!

ラファエルとの外出が遠のくのは御免被る!!

普通の庶民的デートがしたいからぁ!!


「と、取りあえず精霊の報告は以上だよ。動きがあって、もしまた毒を盛ろうとした瞬間があれば拘束するようにお願いしたから」


人1人簡単に、それも一瞬で殺してきそうな感じの2人に私は慌てて声をかける。

私的な事で王族が人を殺しちゃダメだから!!


「………まったく、この国の貴族ってろくなのいないな」

「お兄様、口にファスナー付けましょうか」

「物騒なことを言うな」


お兄様こそラファエル達を煽るな!!


「その公爵家はどこのどいつなんだ?」


お兄様の言葉に全員の視線が私に集まった。

………ぁ…

精霊から映像を見せられたのは私だけ。

顔を知っているのも私だけ。

………何故私は名前も家名も聞かなかったんだー!!


「ご、ごめ――」

『ランドルフ国、西の土地を与えられているエイデン公爵家。良からぬ事を企んでいたのは、三男・アダムです』

「………アダム・エイデン、らしいわ」


グッジョブ風精霊フウ!!


「ああ……ベンジャミン・エイデンの所の……」

「………ぁぁ、アレですか……」


………アダム・エイデンの評価が聞かなくても分かってしまう!!

うんざりしたような2人の顔で…

言っちゃぁなんだけど、精霊もっと契約者選べ!!


『………申し訳ございません…』


あ、ごめん…

風精霊フウに謝らせてしまった。

でもこれでだいぶ精霊と契約していた者が分かってくるなぁ…

ラファエル・ランドルフ

ルイス・ランドルフ

マーガレット・ガルシア

スティーヴン・クラーク

元侯爵の長女―フィーリア

元侯爵の次女―フィーア

子爵家の令嬢

アダム・エイデン

これで8名。

両手分の人数いないと言っていたから、これで出そろったのかな…?

………ふむ…

こうして改めてみると、性格悪――げふん……良からぬ事を企んでいた精霊契約者は3人で、あとはまともなのか…

………うん、ごめん精霊…


「あの自分の知識を無理矢理周囲に聞かせて回り、自分が常に賢いと自画自賛している男か。女に振られたぐらいで盲目になるのも頷ける」

「ラファエル様がそれを言えないです」

「………何だって?」

「ソフィア様に愛されていないと散々ネガティブになって仕事に逃げた人間に、言われたくはないでしょうね」

「ルイス! てめぇ!!」


ラファエルが顔を赤くしてルイスに喰ってかかる。

ブラックラファエルさんの口調になってるよ…

………ん?

ルイスの言葉の意味が分からなくて、私は首を傾げる。

私が誤解を与えたことによって、愛されていないとラファエルが考えていたことは知っている。

………あの時、ネガティブになっていたことも、まぁ、後からあの時のラファエルを思い返したら分かる気がする。

………で……


「………仕事に逃げた……?」


私がポツリと零した言葉は、ラファエルの耳に届いたようで、ビクッとラファエルの肩が反応した。

………つまり?

………私は放置されていた、ということ……?


「あ、の……ソフィア…」

「………あ、うん。大丈夫…」


それ程までに私はラファエルを傷つけたということだろう。

顔を見たくないと思わせてしまうほどに。

私が文句を言っていいことじゃない。

自分のせいなのだから。

ラファエルはこんな事を考えていなかっただろうけれど…

これ、押して駄目なら引いてみろ…的な事になってない…?

私もラファエルも、意図せず駆け引きをやって、やられてたという事だろうか…


「あ、いや…」

「はい、痴話喧嘩は後でね」


ラファエルが何か言いかけ、それをお兄様が割って入った。


「人物も知れたし俺の影も出すから、まずは実行犯として影を捕まえよう。そしてその影が何処の者の手なのか、それは精霊の証言を元に書類を作る。で、言い逃れできないようにしてから、王宮にエイデン公爵と共に呼び出す。そこで影と毒の証拠を出す。それでいいね」


お兄様が綺麗に方針を纏めてくれ、私達は異議もなく、一斉に頷くことしか出来なかったのだった。


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