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第214話 久々にゆっくりと…できません!!




ソフィーとヒューバートの一件が取りあえず終わり、解散になった。

そして駄々をこねたラファエルと今日は寝ることになった。

最後までお兄様は反対してたんだけど、これ以上止めるなら同盟止める、などと冗談として笑い飛ばせないくらい真剣な顔で言い出し渋々お兄様が折れた。

………同盟止める事と同等に扱われるレベルなの…?


「ソフィア」


満面の笑みでラファエルがベッドに入って手招きする。

音符マークが語尾に付きそうな程ご機嫌だ。

私はそんなラファエルを見て固まってしまう。

思ったことはただ1つ。

久々すぎてどうしたらいいのか分からない!!

しかもいつもならラファエルが強引にベッドに引きずり込むか、いつの間にか潜り込んでいたのどちらかだし!

私から行くのは躊躇してしまう。


「早く」

「ひゃぁ!?」


待ちくたびれたラファエルに容赦なく腕を取られ、ベッドの中に引きずり込まれた。


「び、ビックリするでしょ!?」

「だって遅いんだもん」


ラファエルの吐息が顔に当たる…!!

ち、近いっ!!


「ソフィア顔真っ赤」

「っ!?」


ラファエルに指摘され、私は反射的にラファエルの胸元に顔を埋めた。

ギュッとラファエルの夜着を掴んで。


「え、なにこの可愛い子」


ラファエルの言葉に、私の顔は更に真っ赤になった。


「ど、何処でそんな言葉覚えてくるのよっ!!」

「え? この間王宮でレオポルド殿が奥方に言ってた」

「………お兄様がお義姉様に…?」

「うん。奥方が倒れそうになって、レオポルド殿が笑いながらからかって、奥方がレオポルド殿を殴ってた時」

「なぐ……」

「何処に可愛い要素があったのか全く分からなかったんだけど」


スリッとラファエルが私の頭に頬をすり寄せる。


「今のソフィア見てたらポロッと。まぁ、それがなくてもソフィアはいつも可愛いけどね」

「な、何言ってるの!?」


また顔の熱上がっちゃうでしょっ!!

悔しくて、ラファエルの胸元にグリグリとおでこで攻撃してみる。


「だからそういうのも可愛いんだって」


くすくす笑うラファエル。

………攻撃は不発に終わりました……


「仲良いね。レオポルド殿と奥方」


………殴ってたのを見たんじゃなかったの…?

お義姉様はどちらかというと、貴族令嬢より私寄りなんだけど…

………いや、本気でお兄様を攻撃することもあるから私より更に…

な、仲が悪いということではないんだよ!?

でも、恋愛関係からなったのではなく、完全に本人の意思を無視した政略結婚だったから…ね…

昔から知っている幼馴染み故の気さくさというかなんというか…

………お友達の延長…と言った方が良いかもしれない…

今はどうか知らないけど、私がランドルフ国に行く前までは関係に変わりはなかった。


「俺もああいう風に遠慮ない関係になりたいなぁ」

「………」


多分返事は必要としてない言葉。

私は言葉を返さなかった。

いや、返せなかった。

………ああいう風に…


『ちょっとレオポルド! ちゃんと服着なさいって言ってるでしょ!?』

『だって窮屈だし』

『王太子が何我が儘言ってるの!!』


『久々に顔出したならちょっとは手伝ったら!?』

『いや、俺仕事から帰ったばっかりで自分のことしたいし。お前はお前で今まで遊んでたんだろ』

『茶会の何処が遊びなのよ!! こっちは振りまかなくていい愛想を振りまいてて疲れてるのよ!』

『俺も民のことで仕事してきて疲れてるし』


『………気持ち悪い…』

『なんか変なモノ食べたか』

『確定のように言わないでよ! 妊婦を気遣うことを覚えれば!?』


………お義姉様、いつもキレてるイメージしかない…

あ、私やローズには優しいんだよ?

でもお兄様相手にはいつもキレてた。

ツンデレなのかなと思ってたけれど、ツンばっかりでデレを見たことないのよ…

お兄様はお兄様で冷静にお義姉様に言うから、更にお義姉様が怒る。

………まぁ、お兄様がお義姉様に可愛いと言っていたなら、嫌ってはないのだろうけど。

って、それは置いておいて…

………ラファエル、お義姉様のあの態度を見てないからだろうけど……私ずっとキレてるのは嫌だなぁ…

ラファエルに嫌われたくないし…

思わず苦笑してしまう。


「どうかした?」

「………ん~ん。私はお義姉様みたいにはなれないからね。先に言っておくけど」

「何で?」

「………何でって…」

「俺はソフィアに奥方みたいになれなんて一言も言ってないよ。あんな風に仲良い夫婦になれればいいなって」

「………」


仲良いかは置いておいて……

私はラファエルの言葉にノックアウト寸前ですから…

ちょっと言葉の自重してラファエル…


「ソフィア」

「………何?」


私はこのまま寝るまでラファエルの胸元から顔を上げられませんよ。

ラファエルが少し身を離す様な動きをしても、ギュッとラファエルの夜着を掴んで離しません。


「………」

「………」

「………ちょっと離れられない?」

「………無理…」


ラファエルが苦笑する気配がするけど、絶対に顔は見せられません。


「………仕方ないなぁ…」


そう呟いたと思えば、ソッと頭の上に唇を落とされた。


「おやすみ」


………あ、しんだ…

私の眠気が強くなっていっているのも気付いていて、ラファエルは話を終わらせようとしたのだろうけれど…

今のラファエルの…柔らかな優しい声で言われた言葉は、私をノックアウトした。

私はまるで気絶するかのように、意識を夢の中へと持って行かれてしまったのだった。


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