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第213話 意外と簡単でもなく難しかったです




ソフィーもヒューバートも、双方共に固まってしまった状態で私達は暫く待っていた。

けれど、一向に2人が動く気配がなかった。

ヒューバートが偶然にもソフィーに間接的告白をした。

いや、本当に偶然なんだよ?

街に遊びに行って、宿に帰ってきたらソフィーが宿の入り口に近いところにいて、一緒に部屋に戻ろうと言って連れてきた。

そしたらなんかヒューバートが叫んでたから、“オーフェスとまさか喧嘩!?”って思って、まさか私の頼み事のせいで? と恐る恐るドアを開けた。

すると、なんということでしょう。

ヒューバートがソフィーに対しての愛をぶちまけていました。

タイミング良かったのか悪かったのか…


「………ぇぇっと……もしかして私、微妙な…空気読めないタイミングで戻って来た…?」

「むしろ良かったのではないですか? 話を聞いていて私は諦めかけておりました。こういう事でしか自分の気持ちを言えなかったでしょうし」

「そ、そう……?」


オーフェスの言葉に私は戸惑いながらも、まぁいいかと納得してしまう。


「………でも、2人とも固まっちゃってて、どうしよう…」


私の帰ってきたタイミングのせいで、双方共に心の準備が出来ていない状態での事だったものね…

直後は笑いを堪えられなかったのだけれど…

嬉しさで、なんだけど。

漸く2人がくっつくと思ったら、つい。

でも2人が固まったままずっと続けば、さすがに罪悪感が…

そんな時、息を飲む音がした。


「………?」

「そ、ソフィー殿!!」


突如大きな声が出され、ビクッとしてしまう。

思わずラファエルの腕を掴んでしまうほどに、ビックリした。


「俺と結婚してください!!」

「いきなり求婚!?」


私は驚き、


「おお、やるなぁ」


お兄様は面白がってニヤニヤし、


「清々しいほどの開き直りだな」

「当たって砕けろになっただけじゃないですかね…」


ラファエルとオーフェスは若干呆れていた。


「お、お断りします!!」

「ええ!?」


ソフィーの言葉に私はまた驚く。


「おお」


お兄様はまだニヤニヤしている。


「「………ん?」」


ラファエルとオーフェスは首を傾げる。


「ソフィー?」

「だだだだだって、まだ恋人にもなってないし婚約しているわけでもないしわたくし精霊だしいきなり結婚だなんて!!」


………あ、そういう…

混乱しすぎていつもの口調もできないようで…

ヒューバートはソフィーの最初の断りの言葉しか聞こえていないようで、放心していた。

え、これどうすんの!?


「おいこら」


ペシッとラファエルがヒューバートの後頭部を平手打ちした。


「いっ……ら、ラファエル様……?」

「呆けてないでソフィーの言葉をよく聞け」

「え…」


ラファエルに言われ、ヒューバートはソフィーを見た。

ソフィーはその場に蹲り、顔を真っ赤にしてブツブツ同じ事を繰り返し言っている。


「こ、交際前に結婚!? あ、あり得ない。で、でもでもこれはいわゆる両想い…? 結婚してくれって事はそういう……い、いや、ちがうわよね? わたくしは精霊だし、ヒューバートがわたくしを好きなわけが! で、でも求婚…そ、その前に精霊が結婚できるの…? わ、わたくしが許可取らなければならないのは誰!? やっぱり親は究極精霊…? そ、それなら究極精霊の契約者の姫様の許可も……はっ! わ、わたくしは交際していないわ! な、なのに交際前に結婚!?」


そしてまた最初に戻る…

………ぁ~…

いつものソフィーは一体何処へ…

ソフィーの言葉が漸く聞こえたらしいヒューバートは、先程より顔を真っ赤にする。

そしてゴクリと喉を鳴らし、意を決したように足を動かした。


「そ、ソフィー殿…」


ヒューバートがソフィーの前に膝をつく。


「お、俺と……結婚を前提にお付き合いしてくれませんか! で、出来れば婚約してください!!」

「っ…!?」


ソフィーが驚き、ヒューバートを凝視した。


「「「「おお…!」」」」


い、言った!!

ついに言ったよヒューバートが!!

あのヘタレなヒューバートが!!


「ソフィー殿が誰かのモノになるなど嫌なんです! 俺が嫌いじゃないなら、俺のモノになってください!!」


………あれ?

さっき両想いだってソフィーが呟いてなかったっけ?


「そ、それは……無理…です…」


ソフィーは恥ずかしそうにしながら、それでも否定する。

何故…

ヒューバートがまた固まってしまうじゃない。


「わ、わたくしは姫様のモノですので…」

「「「「「………」」」」」


そ、そっちかー!!

従者としてでしょそれ!!


「そ、ソフィー…それはあくまで仕事でだからね? 仕える主と恋人ではまた違うから…ヒューバートのモノになっていいんだよ…?」

「え?」

「え…」


心底ビックリした顔で見ないで…


「………いいんですか?」

「………いいよ…」


こっちもこっちでこういうことに融通きかなかったー!!

むしろ私より劣りますよねー!

物心つく前に命を1回落としてるしね!!


「で、では……よ、よろしく……おねがいします……?」


何故疑問系…

でも、ヒューバートはそれでも良かったらしい。

満面の笑みでホッとしていた。

私はドッと疲れ、ラファエルに寄りかかったのだった。


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