表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/740

第203話 今後の事の話し合いです




キュッと地図に線を引く。

現在は私の部屋に戻り、サンチェス国の最新地図を見ながら、回っておきたいところにチェックを入れる。

自分の店は勿論、どの店が閉まってどの店は健在で、植物や食物の畑の面積や数を知っておきたい。

ラファエルがあと5日こっちにいられるのなら、一緒に回ってもギリギリ大丈夫だ。

ランドルフ国の事は今ルイスに任せているらしく、何かあったら早馬で知らせてくれるとのこと。

何もなければいいんだけどね。

チップはあと2・3日で届きそうだと聞いた。

なら、ランドルフ国に戻るときはアマリリスも連れて帰れるだろう。


「ねぇソフィア」

「ん?」

「あの兵士に何を言われたの」


私は地図を見たまま少し考える。

言ったとしてもラファエルにどうこうできる問題ではないし、気分を害するだけだ。


「大したことじゃないよ」

「じゃあ言えるんじゃない?」

「じゃあ言い方変える。サンチェス国の兵士の事はお父様やお兄様の管轄であり、ラファエルが首を突っ込む問題ではない」

「うっ……」

「それに、私が気軽にあの場に居たことも問題だし。お兄様と離れていたら良かっただけのこと。気にしてないし、ラファエルも気にしなくていいよ」

「………分かったよ」


………全然納得してない顔で頷かれた。

申し訳ない…


「それよりテイラー国の人を雇えそう? ランドルフ国の店で」

「それはおそらく問題ないよ。ソフィアのアイデアを伝えたら多分引き抜ける」

「帰ったら温泉街の増築とかしなきゃね」


キュッと最後の線を引き終わる。

うん、この順番で回ればいいかな…

ペンをしまって地図を折りたたむ。


「ん。木精霊ジュリが手伝ってくれたら更に早いだろうし」

「分かってる。保管しているあの木々達も使えるね。一定の大きさに斬ってもらって」

「騎士も増えたし力仕事とか任せられるよね。訓練も兼ねて」

「………そういう事してもらうための騎士じゃないけどね…」

「でも結局俺とソフィアが温泉街に行くから護衛兼ねて。突っ立ってるのもどうかと思うし手伝わせる」


………お兄様が連れてきた人材を、もう手駒として使えるとは流石だ…


「あ、ラファエルのお忍び服をお兄様に頼まないと」

「レオポルド殿に?」

「お兄様も私ほどではないけど街に行って視察してるしね。お忍び服数点持ってる。サイズ合うか見てもらうようにしておくよ」

「ソフィアは?」

「私はいっぱい持ってるもの」

「………ぁぁ、そうだったね」


………なんでそんなに疲れた顔するかな!?

傷つくよ!?


「お父様とお母様も私達とほぼ同じタイミングでランドルフ国に行くだろうから、増築はお父様達が帰った後になると思う。お忍び服とか持っていってもいい?」

「ランドルフ国に? 寒くない?」

「重ね着するよ」

「ダメだよ。生地からして違うでしょ。あっちで作ったらいい」


………ぇ…

ラファエルが外出用の服を作ることに協力的だなんて!?


「………ソフィアが勝手にドレスで出て行かれるよりマシだし…」


あ、これ諦められた…

夜中に見られちゃったしね…


「ら、ランドルフ国で勝手にお忍びしに行ってないでしょ!?」

「でも実際問題、俺とのデートとか作業とか運動するために動きやすい服必要でしょ。あの服1点じゃ足りない」


………何故デートが一番最初に出てくるのだろうか…

そ、そりゃ、デートはしたいけど…


「………ぁ、そういえばなんであの夜起きてたの?」

「影に見張らせてたんだよ。ソフィアが起きたら教えろって。寝てても起こしてくれとね。あの女は落としたけど、もう一度目覚めたときソフィアだとは限らないでしょ」

「まぁ、確かに…」

「でもシーツ持ってバルコニーに出て行ったって聞いて、即ソフィアだって分かったけど」

「うっ…」


そ、それで判断される私もどうかと…


「もうね、ソフィアがバルコニーから出ていくのは直しようがないだろうから、俺がついて行くことにしたんだよ」

「………」


なんだろう。

許容されて喜ぶべきなんだろうけど、複雑だ。


「それがソフィアだしね」


そう言って微笑まれ、私は複雑だけれども笑みを返した。


「そういえばあの女は侍女として連れて行くの?」

「侍女見習い、かしらね。侍女にするには礼儀とかなってない。元男爵令嬢とは言っても、好き勝手やってたんだからいきなり他の――ソフィーとかフィーアと同等に扱うつもりはないし」

「そうか。ちょっと安心した」

「どうせチップを埋め込んだら逆らえないけど、やっぱり能力があっての評価だからね。今のアマリリスには評価が一切ない。むしろマイナスだからね」


同郷で助けたからと言って、能力が必要な職種に就ける為にはそれに見合った能力がなければならない。

これからも甘やかす必要はない。

最大限に甘やかした――命を救ったのだから、それで私の手助けはおしまい。

後はアマリリス次第だ。

真面目にやれば侍女見習いから侍女になる。

甘えて何もしなければそのまま私は見捨てる。

そういう事はちゃんとしますよ。

手を上げるとサッとソフィーがお茶のお代わりを煎れてくれる。

そのままお兄様を待ちながら、ラファエルと話していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ