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第193話 違う世界① ―R side―




「ソフィアが目覚めたって!?」


サンチェス国に巨大な龍が出現したと聞き、慌ててサンチェス国へ入国手続きをして2日後。

俺がサンチェス国に入国出来た時には全てが終わった後だった。

当たり前だ。

ソフィアが帰国してすぐに終息させたらしいから。

龍から契約者を引き剥がし、龍はソフィアの精霊が消し、呪いの装飾品を壊したそうだ。

ソフィアは契約者の首に掛かっていた装飾品に触れながら、気を失ったらしい。

契約者の女は絶命していたと聞いた。

女が命を落とした後に、自然と装飾品は粉々に砕けたと。

ソフィアはそのまま深い眠りについていた。

そして俺は何度もソフィアの部屋に足を運んだけれど、ソフィアは目覚めなかった。

そうこうしているうちに3日経った。

レオポルド殿と今後の話をしていると、王宮侍女が俺達を呼びに来た。

ソフィアが目覚めたと。

慌ててソフィアの部屋に行くと、上半身を起こしたソフィアと目が合う。


「………ラファエル様…」


ソフィアがかすれた声で俺を呼んだ。

俺は足早にソフィアに近づき、その身を抱きしめた。


「ソフィアのバカ。無事に帰ってくるって言ったくせに」

「………ごめんなさい…」


迷惑かけた、と思っているのかいつもより落ち込んでいるようで、か細い声で謝るソフィア。


「目が覚めて良かったよ」

「そろそろいいかな」

「レオポルド殿…」


割って入ってきたレオポルド殿を、思わず半目で見てしまう。


「ごめんね邪魔して。ソフィア、あとどれぐらいで回復しそう? 起きて早々悪いんだけど、回復したら王宮の裏の森の木々を精霊に言って直せないかなと思って」

「………分かりません……身体がまだ思うように動かなくて…」

「ううん。謝らなくていいよ。ソフィアの身体の方が大事だから。回復したら精霊にお願いして欲しいってだけ言っておこうと思ってね。早めに報告しろってランドルフ国からここに来る途中で言われたからねぇ」

「分かりました。やってみますね」

「うん。じゃあ俺は親父達にもソフィアが目覚めたと報告してくるから」

「はい」


ソフィアが頷き、レオポルド殿は出て行った。

その前に、俺とレオポルド殿はすれ違いざまに視線を交わした。


「ソフィアごめん。俺、レオポルド殿と打ち合わせ中だったんだ。また戻ってくるから、大人しく寝ているんだよ?」


俺がベッドから離れようとしたとき、ソフィアが俺の服の裾を握った。


「………行かないで…」

「………ごめん。いてあげたいんだけど、国に関することだから…」

「………早く帰ってきてくださいますか…?」

「出来るだけ早く帰ってくるよ」


そう言うと、ソフィアが俺の服から手を離した。


「じゃあ行ってくるね」

「はい」


ソフィアが頷いたのを見て、俺は部屋から立ち去った。

扉を閉めると、すぐ傍にソフィーが立っている。

俺は小声でソフィーに話しかけた。


「………アレは誰だ」

「………恐らく、元男爵令嬢かと」

「ソフィアは今何処にいる」

「元男爵令嬢の身体からはいしきが感じられませんでした。魂が入れ替わった形跡がないということです。ので、おそらく姫様自身の中に。元男爵令嬢に身体を乗っ取られていると思われます」

「チッ。俺のソフィアによくもっ」


部屋に入ってからの違和感。

話してみて感じた確信。

俺からソフィアを奪うとは。

許さない。


究極精霊おまえたちはアレに手を貸したりしないだろうな」

「ご安心ください。彼らもわたくしも、“姫様”と契約しております。いわば魂と契約しております故、姫様のお身体でも魂が違えば別人。手を貸す道理がございません」

「それならいい。ソフィアの中に入れるか?」

「やってみてはいますが、今のところは出来かねている状態です」

「分かった。引き続きやってみてくれ」

「はい」


ソフィーとすれ違おうとして、もう一度足を止める。


「それとアレから目を離すな」

「心得ております」


今度こそソフィーと別れた。


「ライト、カゲロウ」


スッと音もなく上から降りてきて人気のない廊下を共に歩く。


「………すまないが、また手を借りたい。ソフィアの影なのに俺が何度も命令して申し訳ないが…俺の影より遙かに優秀だから頼らせて欲しい」

「………どのような」

「アレの今までの行動を辿ってくれ。精霊に対しての呪いの装飾品ではなく、ソフィアにかけられた呪いの方を調べて欲しい」

「じゃあ俺行く。ライトは姫様守ってて」

「………珍しいですね。お前が頭を使う任務を受けるなど」

「侯爵の件で随分勉強したもん。それに、ライトの方が腕立つし姫様にまたなんかあったら困る」

「分かりました」


カゲロウが姿を消した。


「………お守りできず、不甲斐ないです」

「気にするな。俺の方が何も出来てない。………ソフィアを頼む」

「勿論です」


ライトも姿を消した。

ダンッと壁に拳をぶつける。


「………くそっ」


やはり、俺も強引にでも来るべきだった。

何が出来たかは分からない。

けれど、何か力になれたかもしれない。

ランドルフ国は大事だ。

だが、ソフィアも大事だ。

国以上に。

………こんな事言うと、ソフィアは怒るだろうな…

でも、大事なんだっ。

ソフィアはもう俺の生きる意味なんだ!

俺から奪うなど、許せるものか!

絶対に取り戻さなければっ!

俺はレオポルド殿と合流すべく、先を急いだ。


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