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第188話 兄妹の語らい




「怖いもの知らずだな」


朝食が終わった後、打ち合わせがあるからとラファエルとお兄様が部屋から出て行って暫く経った後。

呑気にお茶を飲んでいたらノックもなしにお兄様が私の部屋に入ってきた。

………いや、お兄様もね。

と言いたいけど、言葉を飲み込んだ。

後ろからラファエルも入ってくる。


「………何事?」

「私的面会者」

「………ぁぁ」


お兄様の一言だけで私は察した。

マーガレットとスティーヴンが面会申請してきたらしい。


「で? お優しいソフィアは会うの?」

「お兄様が止めない時点で、大事な件なんでしょ」


おそらく精霊の契約解除の件で来たのだろう。


王家ラファエルの決定でしょ? 私に面会する意味あるの? 普通ならラファエルに面会希望じゃない?」

「そうなんだけど、ソフィアも同席して欲しいらしいよ」

「………それ、私の意思必要?」


ラファエルが決めることだと思うけど…


「一応聞いておこうと思って」


苦笑するラファエルに、私は考える。


「………拒否できるなら拒否したい」

「どうして? ソフィアなら会うって言うと思ってたけど」

「お兄様に怒られたばっかりだし、何よりランドルフ国王家の決定に関してなら私は部外者。出席できる道理がないと思うけど? 結婚してるならともかく私はまだサンチェス国の人間だし」

「おお、ソフィアが成長した」

「………お兄様……馬鹿にしてるでしょ……」


私は隠すことなくため息をついた。


「ま、彼らに関してはソフィアも知ってるし、同席してもらっても問題ないんだけどね。じゃあ俺だけが会ってくるよ。レオポルド殿は私的って言ってるけど、精霊の件なら公式だしね。俺がソフィアに頼んで精霊を介して法改正でって伝えてもらったから」


ラファエルの言葉に私は頷き、ラファエルは出ていった。

お兄様は留まったまま。


「………お兄様が私的面会者って言ったのは前回のがあるからでしょ」

「だって名前知らないし」


………嘘つけ…

私がジト目で見るけれど、お兄様は笑ったまま向かいのソファーに座る。

素早くソフィーがお兄様にお茶を出す。


「ありがとソフィー」

「いえ」


お兄様は礼を言ってお茶に口をつける。


「ここにいるのは知ってるのかな?」


現在私の部屋にいるのは、ソフィーにヒューバートにイヴ。

私はコクンと頷く。

ヒューバートに関しては何処まで知られているのか分からないけど、私の護衛になった以上はいずれ知ることになるだろうし、早いか遅いかだけだ。


「じゃ、改めて聞こうか」

「………何を?」


「“お前”は“いつ”入れ替わった」


鋭い視線で見られた。

それを私は静かに見返す。

空気が張りつめる。


「レオポルド様!」


ソフィーが割って入ろうとしたが私はお兄様から視線を外さず、ソフィーに手を上げて制す。


「ソフィーが物心つくかつかない頃」

「正確には」

「不明。でもソフィーが転んで頭打ったときだって言ってた」

「………4つ5つかになるかどうかの時か。じゃあ俺の知ってるソフィアは今のソフィアって事か」


ふむっとお兄様は頷いて視線を外した。

さっきまでのピリッとした空気はなくなる。


「正確な情報が欲しかっただけだ。ソフィアが平民のような自由奔放さが出てきたのが途中からなら違和感があると思ったんだが、何処で入れ替わったのか分からなかったからな」

「小さな時から私だったらしいのだけど、記憶を取り戻したのは丁度レオナルドがバカやったときだったから、それを元にするならつい最近だけど」

「へぇ。じゃあ昔からの行動は無意識か」

「そうなるね」

「ったく……イヴからソフィアがソフィーをソフィアと呼んでいたなんて報告受けたときは、ついにソフィアが可笑しくなったと思ったぞ」

「ついにって何!?」


失礼な!!

私はまとも――だよね!?


「じゃあアイデアは前世の記憶のか?」

「………ズルをしていると言いたいでしょうね」

「いや?」


即答され、私は怪訝な顔を向けてしまう。


「ズルも何も、それを言ったらこの世界にある物でも他国が編み出したアイデアを改良することもズルしていることになるだろ。サンチェス国の産業のノウハウをランドルフ国に合わせてラファエル殿が変えることもズルになってしまうぞ」

「………ぁ…」


………そう言われればそうよね…


「筆記具にしたってそうだろう? 他国が生み出したペンを元にどんどん自国の者が使いやすいようにしてるし、温泉街に置いていた色とりどりの筆記具も改良だろ。それをズルというか?」

「………言わない…」

「だったら気にするな。そもそもソフィアが知ってる物って、この世界にないだろ。気にして出し惜しみされてこの世界が発展しないことの方が俺は嫌だがな」

「お兄様…」


私は感激した。

お兄様に言われ、私の中でいまだ燻っていたものがなくなっていくのを感じていた。


「俺が言いたいのは何でサンチェス国にいたときに出さなかったんだって事だ。利益が全部ランドルフ国のものじゃないか!」


………そこ!?

まさかソフィーと入れ替わり時期を聞いたのは、それを言いたかったから!?

私の感動を返せ!!


「農業の国だから難しいのは分かるが! くそぉ! これからどんどんランドルフ国に先行かれるぞ! 俺が王になる前にやるなよ!! いや、サンチェス国に居るときに俺にアイデア渡しとけよ!! そしたらサンチェス国が先に出せてサンチェス国の利益に出来たじゃないか!」

「………」


お兄様の言葉に私は勿論、ソフィーも呆れた顔をしてしまった。

完全に八つ当たりだったようだ…


「サンチェス国ね…」


私はん~っと考える。

農業でしょ…?

私農業系の知識ないしなぁ…


「………ぁ」

「なんだ!?」


暫く考え込んで頭に思い描かれた食べ物に、思わず声を出した。

それに過敏に反応するお兄様。

………え…

まさかずっと見つめられてたのだろうか…


「お兄様、新しいお菓子作ってみます?」

「菓子?」


私はソフィーに紙とペンを取ってもらい、書いていく。


「ジャーガとシーオ?」


ジャーガとはジャガイモに似た野菜。

シーオは塩の事。

似たような食べ物はなかったかと考えていた際、ポテトチップスが思い浮かんだ。

………この世界は同じ名前のようで違う。

何故名前をもじっているのだろうか…

一致させることが困難だよ…


「手っ取り早くジャーガを薄く切って油で揚げてシーオかけるだけ」

「………だけ!?」

「うん。多分美味しいよ」

「多分!?」


だってチャレンジして作ったことないし。

多分同じ様な食感と味だからいけると思うよ。

チョコも考えたんだけどね……カカオが存在してないし、牛がいないから乳製品が手に入らない。

これは精霊にこんなの作って、って頼まないと出来ないだろうね。


「………まぁ、作ってみるか」


お兄様が影を呼んでジャーガとシーオを使って作って持ってこいと命令してた。

私は苦笑してお茶に口をつけた。


旅行から只今戻りました…

28日夕方のはずが…飛行機着陸出来ず、本日帰宅です…

皆さま強風とか雨とか雪とか大丈夫でしたかね…

皆さまが無事なのを祈りつつ…本日よりまた小説途切れさせないように頑張ります!

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