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第186話 新たな守り




「………私の護衛?」

「そう。この中から選んで」


トーナメントが終わり、上位になった騎士を連れて私の所に来たラファエル。

そこには騎士2名と、兵士から騎士になるべく来た3名。

その中には…


「ラファエル様、ヒューバートが入ってるじゃないですか。ヒューバートはラファエル様の護衛でしょう?」


そこにヒューバートの姿を見て、私は困ったように笑う。


「それは一旦全て白紙にしたよ。ナルサスはアレのせいで俺から外せないけど、上位に入った騎士は元々ソフィアの護衛にするって決めてたんだよ。だって、俺より守られるべきなのはソフィアでしょ」

「それはそうですが…」


困ったな…

ヒューバートは知ってるから護衛にしやすいけど……ソフィーがねぇ…

仕事し辛くなるんじゃないかな…


「護衛増やせばイヴとダークも本来の仕事に戻れるでしょ?」

「………理屈は分かりますけど…」


逆に強制的に付けると言われた方が納得できるんだけど…


「………って、あら……アルバートとオーフェスとジェラルドじゃない」

「お久しぶりでございます。ソフィア様」


私は知っている顔に思わず目を見開いた。

彼らはよく私を王都で捜し回らせ――ごほんっ……接触する機会が多かった兵士達だ。

アルバートは短髪の赤毛で、筋肉質で大柄。

街の気のいいお兄さん(下手したらおっさん)って感じ。

オーフェスは藍の長い髪を首の後ろで1つに纏めている、長身だけど細身の中性的なイケメンお兄さん。

ジェラルドは橙色の短髪で、やんちゃ――元気な男性……の年齢なんだけど、男の子っていう感じが強い。


「なんで貴方達がここにいるわけ? 小隊隊長の地位を得ていたはずでしょう?」


知り合いと知ってすぐに口調が崩れてしまう。

けれど彼らに繕いは無用だ。

だってよく街で追いかけられ――げふんっ……ま、まぁ素で対応していた数少ない人達だ。


「いやぁソフィア様との鬼ごっこが出来なくて寂しくて」


へらっと笑うジェラルド。


「自分は5年間ずっとソフィア様専用連れ戻し係でしたので」


真顔で言うアルバート。


「………私はソフィア様とこの2人を監視しないとですので…」


疲れた風に言うオーフェス。


「失礼ね。私はもう街に勝手に行ったりしないわよ。サンチェス国でやってた行動はしないわ」


私がちょっと自慢げに胸を張ると、途端に3人が残念な子を見る目になった。


「その顔失礼すぎるでしょ!?」


私王女!!


「いやソフィア様。考えてみて。人は変わらないんだよ」

「変わるよ!? 何真剣な顔して諭してるの!?」

「いや、“あの”ソフィア様がまさかそんな変わるわけないです」

「あのって何!?」

「ほんとぉぉぉぉぉぉぉに変わられたのでしたら喜ばしいことですが、それはそれで寂しいです」

「なぜ溜めた!?」


彼らの言葉に全力で突っ込んでいると、クスクスとお兄様に笑われる。


「ちょっとお兄様が連れてきた兵士のせいでこんな事になってるのよ!?」

「だって分かってて連れてきたし」

「はぁ!?」

「彼らならソフィアの本当を知ってるでしょ? 接しやすいし、何よりソフィアも彼らの実力知ってるし、彼らはソフィアに好感持ってるし」

「持たれる意味が分からないんだけど!?」


散々勝手やってた私が言うことではないけれど、彼らを戦い以外で駆り出していた私を彼らが良いと思うわけがない。

なのに何故ここにいる!!


「そりゃ実力は知ってるし、申し分ないと思うけど! 彼らに伴侶も子もいないのも知ってるから動きやすいのも分かるけど!」

「じゃあ問題ないよね」

「いやあるでしょ!? 兵士の中で――サンチェス国の実力トップクラスに入る3人を連れてきてどうするの!?」


そう、彼らは小隊長クラスに留まっていたものの、剣術大会などで出れば常に優勝争いを繰り広げられるほどの腕の立つ者達だ。

イヴとライトと戦って勝つかどうかという。

そんな彼らが私を連れ戻し隊になっていたのは、お兄様に言われたからに他ならない。

だって私が行くならライトもいるから、邪魔されたら普通の人間では対応できないという理由だったし、私逃げ足には自信があるし!

令嬢の足で歩くのはすぐ疲れるのに、走ると速いって意味分からなかったけど!

火事場のバカ力ってやつだろうと勝手に納得してたけど!


「ソフィア様久々に鬼ごっこやろうよ~。ここ広いし~」

「したくてしてたわけじゃないし!! なんで“一緒に遊んでたでしょ?”みたいな風に言うの!?」

「え~…」


成人して随分経つくせに、未だに少年のような性格なんだからジェラルドは!!


「ジェラルドはソフィア様大好きだからな…」

「うん、いっぱい遊んでくれるし!」

「遊んでないよ!? こっちはあの時必死で逃げてたんだから! どこに自国の王女を剣とかロープ持って追いかけ回す兵士がいるの!!」

「え? だってレオポルド様が『多少傷つけてもお転婆には良い薬だから、本気で追いかけて良い』って」

「お兄様!!」


ジェラルドの言葉でお兄様を睨みつけるけど、腕を組んでうんうんと頷いているお兄様には効果がない。

ラファエルに助けを求めるために視線を向けるも、ラファエルは何か書類に記入している。

………ぇ、何してるの…


「ソフィアの護衛はヒューバートとアルバートとオーフェスとジェラルド……っと」

「何を書いてるの!?」

「え? ソフィアがこれ以上無茶しないようにするには、これぐらいの人がいいかなと。でも、流石にサンチェス国出身ばかりの護衛じゃマズいからヒューバート入れとくね。男ばっかりで不満だけど…」


何故最後は小声…

嫌なら止めてよ…

本当に私周り固められちゃって、今以上に自由に動けなくなる…

そして…何気にヒューバート入れられちゃってる…

ソフィーは無事に毎日過ごせるのかしら…


『………ご心配なく姫様……仕事と心情は別物です…』


早くも死にそうな声で心に話しかけてきてるよソフィー!?

ソフィーを見ると、顔色が悪かった。

………今後も波瀾万丈な予感です…


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