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第164話 いざ、現地へ




王宮の門の前でマーガレットとスティーヴンを待っている私達。

いくら地面からの熱で暖かくなったとはいえ、夜中は冷える。

はぁっと手に息を吹きかけていると、頭の中に声が響く。


『主。どうやら暴走している精霊は複数で、そのうち2名が特大らしい』

『特大!?』


今、火精霊ホムラが現地に飛んで行っており、上空から様子を伺って私に報告してくれる。

鳥って便利だね。

人を乗せたりしてない分、かなり早く現地へ行けたらしい。


『………念の為に聞くけど、火精霊ホムラに鎮圧してもらうことは出来ない?』

『我では無理ですね』

『何故?』

『我は火属性。暴走している精霊達も火属性が多い。水精霊イズミ氷精霊ヒョウでないと無理だろう。それに説明したとおり、主がこちらにいてくれないと力が出せない』


契約精霊は契約した人間の傍でしか力を出してはいけない。

これが契約のルールの1つ。

契約してなかったらそのまま鎮圧してもらえたのだろうけど…

私と契約する前は、皆が勝手に鎮圧してくれていたらしい。

契約しているのに離れた場所で力を使えば、暗殺し放題になるからと、このルールが後々付け足されたらしい。

………完全犯罪されたらどうしようもないもんね…

その為に契約した時点で、契約者と離れれば離れるほどに力が弱まっていく力が働くらしい。

………それは、どんなシステムなのかは分からない…

魔法陣とかないもんね。

だからこの場合、私が行かなきゃ皆力を使えないということで…


『力をこれ以上広範囲に及ばないようにするのも、私が行かないと無理なんだよね…?』

『すまない』

『………ん。了解。被害状況が変わったらまた連絡ちょうだい』

『御意』


声が聞こえなくなって、私は前を向くとジッとラファエルとルイスに見られていた。


「え……な、何?」

「話しかけても反応しなかったから。どうしたの?」

「あ、うん。現地に飛んで行ってもらっている火精霊ホムラからの報告聞いてた」

「「………は?」」


2人に怪訝な顔を向けられ、私はたじろぐ。


「え?」

「………精霊飛ばしたの……?」

「え……と、飛ばしたというか、自分で行ってくれたというか…」

「精霊と離れていても会話が出来るんですか……?」

「え……で、出来ないの……?」

「「それはやったことないから分からないけど(ですが)…」」


そ、そうなんだ…


「精霊が契約者と離れるなんて聞いたことないけど…」

「そ、それは……力の強さにもよるんじゃない……?」

「私は今でも信じられませんがね…ソフィア様が究極精霊と契約なさっていたとは…」

「あ、はは……」


成り行きです。

とは言えず、私は笑って誤魔化した。

ルイスには私も何故行くのかと、ここに来てから聞かれ、実は契約してましたと伝えた。

その時のルイスの顔は言い表せなかった。

そんなこんなしていると、パタパタと足音が2人分聞こえてきた。

視線を向けると、マーガレットとスティーヴンが走ってきていた。

2人は険しい顔をしている。

ちゃんと私の影は仕事をしてくれたらしい。


「ソフィア!」


ラファエルが2人の姿を捉え、近くに寄ってきて2人が走る速度を落とした時に、私を呼んだ。


「はい! 氷精霊ヒョウ!」

『承知』


私が隣に伏せていた氷精霊ヒョウの名を呼ぶと、氷精霊ヒョウは先程私の部屋で初めに姿を現した時より一回りも大きく姿を変えた。


「「「え!?」」」


ルイス、マーガレット、スティーヴンが驚いているが、時間が惜しいので無視する。


風精霊フウ!」

『はい!』


風精霊フウの名を呼ぶと5人の身体を風で浮かせ、氷精霊ヒョウの背に乗せてくれる。


「ライトとカゲロウは一緒に来て!」

「「了解!」」


2人が氷精霊ヒョウの身体に暗闇の中から飛び乗ってくる。

彼らはマーガレットとスティーヴンを呼びに行かせてたから顔はもう知られているし、私を守る盾として長年仕えてくれてるから尤も適している2人だ。

盾扱いしたくないし、精霊相手に何処まで通じるか分からないんだけど、ね…

それに逆に連れて行かなかったら文句が出そうだし。

イヴとダークは待機ね。

と声を出さずに暗闇に視線を送ると、2人分の気配が消えた。


風精霊フウはそのまま私達の身体を氷精霊ヒョウに固定して!」

『はい!』


風が渦を巻き、氷精霊ヒョウの身体に伏せた状態で固定してくれる。


氷精霊ヒョウ! 最速でお願い! 私達の安全より国の安全が最優先よ!」

『承知した!』


言った瞬間息が出来ないほどの高速で氷精霊ヒョウが走り出した。


「「うわぁぁあ!?」」

「きゃぁあ!!」

「我慢しろ! 舌噛むぞ!!」


あ、ごめん…

私も相当焦っていたみたいで、皆に一声かけるの忘れてた…


風精霊フウ、皆が窒息しないように顔の周りの空気の流れを調整できる?』

『可能ですわ』


先程まで息苦しかったのが、通常の時のように息がしやすくなっていく。


『さすが』

『いえ、主の命が的確なおかげです。私達は人間の感覚とは別ですから、こういったことには気がつきませんから』

『そうなんだ』


こういう事も私が言わないといけないんだ。

1つ勉強になった。

そのまま氷精霊ヒョウは私達を現地まで最速で運んでくれた。


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