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第159話 ラファエルVSローズになりました




「………ローズ・サンチェス?」

「はい。めでたくソフィアの姉になりましたので、宜しくお願いしますわ」

「………それで?」


あ……ラファエルの目が鋭くなった…

王太子モードになったってことね…


「私はローズ嬢が来国することも――」


一度ラファエルは言葉を切り、ローズの全身を見る。


「ランドルフ学園に編入してくることも聞いていないが?」

「勿論そうでしょうね。わたくしはルイス様を通して手続きしましたもの」

「………ルイス?」

「ええ。ラファエル様のお耳に入らないようお願いしました」

「………何故?」


ラファエルの目が更に鋭くなった。


「ラファエル様に知られてしまいますと、サプライズしたいわたくしの事がソフィアに知られてしまう可能性もありますでしょう?」

「………」

「それに…」


チラッとローズに見られ、私は首を傾げた。


「嫉妬深いラファエル様はわたくしをソフィアに会わせないかもしれませんでしょう?」


ニッコリ笑うローズに、ラファエルがヒクッと頬を引きつらせた。


「ご納得してくださいました?」

「………はぁ。まぁ、もう済んでいることを覆したら同盟にヒビが入るかもしれないからな……だが、今回は許しても次はないと心得て頂こう。ここにいる以上は、私の命令には従ってもらう。ここは、ランドルフ国だということを肝に銘じていて欲しいものだ。それに王家に入ろうとも、元公爵令嬢。王家の血が入っていない君は、王族と同等の権力を持っているなどと思い上がらないように。公の場では王族として扱うこともあるだろうが、勘違いしないように」

「心得ております」

「………そう。ならいいよ……」


ラファエルはため息をついて、諦めたように言った。

………まぁ、編入手続きまで済んでるしね……


「わたくしは王族となりました。そんなわたくしを街宿に泊まらせるなんて事は、お優しいラファエル様はしませんでしょう? ルイス様には話をしておりますが、やはり王宮に身を寄せるとなるとラファエル様の許可が必要ですわ。許可、してくださいますよね?」


………ローズ強い…


「………君は、さっきの私の言葉を心得ていると言わなかったか…」


ラファエルが手で顔を覆う。


「心得てはおりますが、サンチェスの名を名乗っている以上、それ相応の場所が提供されるのは当然でありますでしょう?」

「………勝手に来ておいて図々しいとは思わないのか…」

「思いますが、公の場でわたくしが街宿から通っていると、ポロッとこぼしてしまってもよろしいのかしら?」

「………脅す気か」

「とんでもございません」


ニコニコと笑うローズと、そのローズを睨みつけるラファエル。


「………ソフィアの部屋と近くには出来ないよ。それは分かっているね」


あ……ラファエルが折れた…


「はい。王太子と王太子妃の部屋の近くになど、部屋を設けられないことは常識です。サンチェス国でも同じでございますし」

「………そこは引くのか…」


疲れた感じでラファエルが椅子に座った。


「まぁ! ラファエル様、こちらの国の非常識な令嬢とわたくしを一緒にしないでくださる?」


え……ローズはこの国の令嬢のことを知っているの……?

何処でそんな事を知ったのだろうか…

………ローズの影……?

でもそれなら探っていることを私の影達が気づかないわけないよね…?

………じゃあ、誰が……


「………充分非常識な行動でここにいるって事に自覚ないのかな君は……」

「ソフィアにサプライズするためですわ!」

「………何よりソフィアを優先して大胆な行動が出来る君を、ある意味尊敬するよ…」

「ありがとうございます」

「………褒めてないよ…」


ローズを相手するのはもうやめたのか、ラファエルが私を手招きした。


「?」


首を傾げながらも、私はラファエルに近づく。


「………ま、ローズ嬢に感謝はするよ」

「え……」


流れるような動きでラファエルが私の腰を抱き、顔を覗き込んでくる。


「顔色良くなったねソフィア」


………!?

ラファエルもローズと同じで、私の顔色が悪いことに気づいていたの……?

私自身が気づいていない事を、ラファエルもローズも何で気づくのだろう…

そっと目元を親指でなぞられる。

………ぁ、泣いちゃったから腫れてるかもしれない…

今更だけど思った。


「ところでローズ嬢は同じ学年だね。何処のクラスかな」

「Sクラスです」

「………ソフィア、ちゃんと俺といてね…」


あ、ラファエルがいつもの一人称に戻ってる。


「あら。ラファエル様はソフィアを1人にしていましたでしょう? そう言う権利がおありですか?」

「あるよ! ソフィアの婚約者は俺だ!」

「婚約者ならちゃんとソフィアを守ってくださいませ。身体だけじゃなく心もですわよ?」

「ぐっ……」

「でないとわたくし心配で目が離せませんわ。ソフィアがちゃんと幸せになるまで結婚できません」


………ん?


「え!? ローズ、婚約者が出来たの!?」

「あら? 報告してなかったかしら?」

「聞いてないわ! いつ!?」


私がローズに詰め寄ろうとするけれど、ラファエルに抱きしめられていて無理だった。


「ソフィアが1度サンチェス国に帰ってきて、そしてランドルフ国に帰って行ってから、わりとすぐだったと思うわ」

「もう結構経ってるじゃないの!! ………って、そんな時にこっちに来ちゃって大丈夫なの!?」

「大丈夫ですわ。彼も快く頷いてくれたもの。というか、こっちにいた方が都合がいいのよ」

「え……?」


都合がいいって……どういう事だろうか…

ローズを見るけれど、それ以上は教えてもらえないみたいだ。

ニッコリ笑っているから。

………気になる、けど……

そのうち分かるかな…

それにしても、ラファエルとローズは一緒にいたら大変かも…

なんだか波乱な事になりそうかもという考えに陥りそうで、思考を停止した。


今年も最後の一日となりました。

この小説は7月末頃から連載し、今日で約4ヶ月経ちました。

感想を頂いた方や、ブックマークして頂いている方、評価をして下さった方、感謝しております!

制作意欲につながり、ここまで続けられていると思っております。

ありがとうございます!

来年も、お付き合いいただけたら幸いです。

では皆さま、よいお年を。

連載用の小説は、元旦からも掲載予定にはしております。

1日1話でも、日を空けずに掲載し続けられればと思っておりますので、読んでいただけたら幸いです。

(ただすみませんが、年末~年始もずっと仕事ですので、掲載予約にて0時UPにさせていただきます)

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