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第153話 友人≠従者




ザワついている校内。

私は約一週間ぶりに学園に登校した。

チラチラ見られてるけど、私から話しかけない限り、声をかけられることがないから楽。

コミュ障かって言われるぐらいに、学園で友人を作ろうとしない私は、王女としてはダメだと思う。

でもねぇ……

何故か廊下に所々いる女生徒が、ラファエルを囲っていた時に見た顔ばっかりだし。

話しかけたくないんだよね…

………っと…あれは…

前方に見えた女生徒に、私は頬を緩めた。


「おはようございますフィーア嬢」

「おはようございますソフィア様」


前方、廊下の真ん中でフィーアが頭を下げながら私を待っていた。

あの日以降、私の部屋でソフィーと共に侍女見習いとして働いていたフィーア。

私と同じくフィーアも学園に来るのはあれ以来。

先に行ってとフィーアを送り出して、今合流。

フィーアが私と話していたと噂を流してくれなければ困る。

最終的には侯爵の耳に入ってもらわなければならないから。

ひそっと令嬢達がこっちを見ながらコソコソ話している。

うん、でもそれは失礼だから。

堂々と王族のいる場で、王族見ながらヒソヒソ話するのは可笑しいでしょ。


「久しぶりの学園はいかがですか?」

「変わっておらず、過ごすのに問題ないと思います。……ただ、少し授業についていけないところがあると思います。お恥ずかしいですが」

「それはわたくしも同じですわ。けれど、わたくしは学園が少し変わったと思いますわ」

「え……」

「学園をお休みする前は廊下でわたくしを見ながらヒソヒソする方はいらっしゃいませんでしたもの」


頬に手を当ててニッコリと笑いながら言うと、ピタッと話し声が止んだ。

………露骨すぎるな…


「フィーア嬢はラファエル様からの課題はなかったですわね。今日が期限だと伺っておりますが」

「は、はい。私は対象となっておりませんので…」

「そうですか。どれだけの優秀な方がいらっしゃるのか楽しみですわね」


あの課題が出来たとしても、優秀とは言えないけれど。

共通規約もまともに覚えられていない令嬢だからね。


「そういえばフィーア嬢のクラスはどちらですか?」

「あ、私はBクラスです…」

「そうですか。お昼はどうします? ご一緒しませんか?」

「い、良いのですか!?」

「誘っているのですから良いに決まってますでしょ?」


クスクス笑って私はフィーアを促して、歩みを再開する。


「授業が終わり次第、わたくしのクラスに足を運んで頂いても宜しいかしら?」

「は、はい! 大丈夫です!」


フィーアの顔に陰りはなく、嬉しそうだった。

………うん、やっぱりフィーアは素直なんだな。

人の言うことに嫌と言えないだけで、何処にでもいる普通の子だ。

それは侍女として教育している最中に分かった。

………それだけに残念だった。

普通に友達になれなかったことが。

彼女はもう私の従者。

友人などにはなれない。

第一、ラファエルが許すわけがない。

事情はどうあれ、私に攻撃をしたのだから。


「ソフィア様」


背後から声をかけられ、振り返るとマーガレットがいた。

久しぶりに見るマーガレットは相変わらず綺麗だった…

ホントに毎回思ってしまうけど羨ましいわ。


「マーガレット嬢。おはようございます」

「おはようございます」

「? どうかされました?」


少し表情が硬いことに首を傾げる。


「失礼ですが、御昼食のお話が聞こえましたので、恥ずかしながらわたくしもご一緒させて頂きたく…」

「勿論構いませんわ。どうせならスティーヴン殿もご一緒に」

「宜しいのですか?」

「ええ。マーガレット嬢と一緒にいるだけで羨ましそうに見られますもの。仲が良くて羨ましいですわ」


私が言うと、マーガレットの頬に少し赤みが出た気がした。


「何を仰ってるのですか。ラファエル様とソフィア様には負けますわ。ラファエル様は本当にソフィア様を大切にされてらっしゃいますし、ソフィア様もラファエル様と並んでいらっしゃる時は嬉しそうですわ」


おっと。

からかいの言葉を返されてしまった。


「そうですか? …ラファエル様はお優しいですからわたくしを優先してくださるのですよ。お体が心配です」

「そうですわね。お忙しい方ですから…ソフィア様、そろそろ授業が始まりますわ」

「もうそんな時間ですの? 少し急ぎましょうか。ではフィーア嬢、また後でお会いしましょう」

「はい。失礼いたします」


フィーアが頭を下げて去って行く。

マーガレットと共に教室へ向かうべく、私は歩みを再開する。


「………あの者はロペス侯爵家の者ですわね。ご友人になられたのですか?」

「………ええ。マーガレット嬢に続いて、わたくしのランドルフ国での2人目の友人ですわ」

「っ!」


私の言葉に、何故かマーガレットが言葉に詰まっていた。

………どうしたんだろうか?

不思議そうな私の顔を見て、マーガレットはコホンと咳払いをした。

本当にどうしたのだろう…


「そうですか。あの者とはお話した事がございませんので、どのようなご令嬢かわたくしは存じてませんが、ソフィア様がご友人にするほどに気に入られたのですか?」

「………気に入る、というのとは違いますわね。成り行きで、としか言い様がありませんが、素直な子です」

「成り行きですか。ソフィア様がよろしければわたくしは何も言えませんけれど……先日の件もございますから、油断なさらないように」

「分かってますわ」


マーガレットと話ながら教室に入った。

今日もラファエルは遅れてくる予定。

私は空席であるラファエルの机をソッとなぞりながら歩き、自分の席に座った。

昼までに来てくれれば良いなと思いながら、机から教科書とノートを出したのだった。


次は接触します。

シリアスになり過ぎないように頑張ります。

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