表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/740

第151話 癒しの場所 ―S side―




両手を伸ばして水が出るように意識を向ける。

すると両手の平からドッと水が出た。

上に向けていたため、小雨のような水が地面に向かって落ちていく。


「………こんなものかしら…」


目の前に広がる景色に、わたくしは微笑んだ。

やっとだわ。

やっと、作ることが出来た。


「やぁ、ソフィー」

「! ラファエル様。おはようございます」


前を譲り、石で出来た道の端に立って礼をする。


「出来たんだね。ソフィアの箱庭」


フッとラファエル様が微笑んでわたくしが作った庭園を眺めている。


「はい。やっと全てのお花を揃えることが出来ました」


以前、姫様の為に花を植えたいと言ったら採用してくださった。

お金は存分に使って良いと言うことだったので、各国の自慢の花で更に肌寒くても咲いてくれる花を選び抜いた。

それを姫様の部屋から見える庭をメインに、いつも姫様がティータイムをとられている場所まで、石の道以外の土で出来たところに植えた。

色が偏らないように、そして姫様――唯華さんの世界の花に似たような物を探した。

ほぼ同じ物はないこの世界。

唯華さんの心の癒やしになれば良いのですけれど……


「凄いね。君はソフィアの心が読めるから、何でも分かってそうだね」

「………いえ、必要なとき以外はなるべく流れ込んでくることないようにしていますから」

「そうか」


ラファエル様の横顔は穏やかで、ラファエル様の目には、花の中に居る唯華さんが見えているのかもしれない。

………羨ましい……


『精霊だから、恋愛できないの?』


………唯華さんの言葉が頭の中でよみがえった。


「………あのっ…!」

「ん?」


ラファエル様に見つめられ、言葉が出てこなくなってしまった。

問われたわけでもないのに、口を開いてしまった。

なんという失態なのだろう。

そもそも、こんな事ラファエル様に聞けるわけが……

誤魔化しの言葉を探したけれど、何も思い浮かばない…


「………あいつは君には難しいと思うけど?」


ラファエル様の言葉にビクッとしてしまった。

一言……たった一言言われただけ。

それだけで分かってしまった。

ラファエル様は、わたくしが好いてしまった相手を知っている、と……

そんなにわたくしは分かりやすいのかしら…

唯華さんも分かっていましたし…

ラファエル様は唯華さんだけでなく、わたくしの言いたいことも察してしまう能力でもあるのかしら…


「人の恋に口を出すのは野暮だと思っているし、うまくいっている俺が言うのも可笑しいけど。………あいつは絶対に――例え好いてくれたとしても、うまくいかないと思うよ」

「そう、ですよね…」


分かってる…

分かっているの…

だって……あの人は、私の目を真っ直ぐ見てくれないから…

それに…


「ソフィアは?」

「ぇ…」

「ソフィアは知ってるの?」

「ぁ……はい…」

「それでソフィアはなんて?」

「………わたくしは姫様と同じだけしか生きられませんから……自由にしたらいいと……思うようにして、幸せになりなさい、と……」

「そう」


フッとラファエル様が表情を和らげる。

その表情は、わたくしをドキリとさせた。

………純粋に、唯華さんが羨ましい。


「俺は止めた方が良いと思うけど、それは男の俺から見たら、だからね。ソフィアが許してるなら大丈夫なんだろ」

「………ラファエル様……姫様が言うこういうことは聞くんですね…」

「男から見るのと女から見るのとじゃ違って当然だし、俺はこっち方面疎いから。基準はソフィアで始まってソフィアで終わってる」

「………姫様もだと思いますが…」

「そうだね。ホント、俺は恵まれてるよね。初恋の人と一緒になれるのだから」


そう言って笑ったラファエル様はとても幸せそうだった。


「否定的なこと言ってしまったけど、ソフィアの言うとおりソフィーの人生だ。だから、自分の思ったとおりに行動してみたらいいよ。……昔の君の立場だったのなら絶対に出来なかったことだ。応援するよ」


ハッとラファエル様を見ると、穏やかな顔で頷いてくれた。


「まぁ、あいつが相手じゃ、更に身分違いの恋になるかもな。そもそもソフィーは精霊だから尚更」

「………ふふっ……そうですね」


もう少し頑張ってみようと思った。

自分なりのアピールの仕方で。

彼に、まずは目を合わせてもらえるように。

接点をもう少し増やせるように。


「さて、そろそろソフィアの所に戻るよ。起きる時間だと思うし」

「あ、ご一緒します」

「あれ? もう水やりは良いの?」

「はい。終わったところにラファエル様がいらっしゃいましたので」

「そっか。ソフィアが見たら驚くかな」

「喜んで頂けたら嬉しく思います」

「喜ぶよ。君が作ったんだから」


ラファエル様が微笑みながら前を歩き出す。

わたくしは数歩開けてついていった。

………唯華さん、わたくし諦めずに頑張っていこうと思います。

けれど……唯華さんもわたくしの好きな人ですから、もし彼に好いてもらえたとしても一生共にいますからね。


初、ソフィーsideです。

………あまりソフィアの言葉と変わらない……?

ソフィーside難しいですね……

やっと花を出せました。

ソフィーの好きな人……って誰だ←


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ