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第135話 楽しい昼食会、なはず




ずらりと机に並んだ豪華な食事。

………いや、食べられないから。

そう突っ込みたくも、ここはラファエルと2人きりになれる自室ではない。

学園の王族専用食堂だ。

マーガレット達を招いた手前、豪華な食事を質素な食事にしたいとは言えなかった。

ラファエルも合流し、4人で食事タイムとなった。


「「………」」


2人とも居心地悪そうに、食べ物を口に運んでいる。


「ソフィア」

「はい」

「どうして2人を呼んだの?」

「例の建物の件ですわよ?」

「それがどう繋がるの?」

「案を出してくれたのはお2人ですよ? どういう事をやりたいのか具体的にご意見頂くのが宜しいかと思いまして。詳しく教えて頂ければより頑丈な建物となりますでしょ?」

「成る程ね」


ラファエルと話していると、2人が不思議そうな顔をしているので、私は微笑んだ。


「精霊の力を使える場所ですわ。ラファエル様にお伝えしたところ作って頂けると」


ハッとして2人はラファエルを見た。


「君達は自分でソフィアに伝えたと聞いてるよ。精霊達の力が発散できる場所を作ろうと思う。でも、ただの壁では当然ダメだからね。どういう風な建物の素材が良いか考えててね。それでソフィアが君達の意見を聞きたいと思ったんだろう」

「どちらに作られるおつもりですか? 目立ったところには作れませんよね?」

「学園内と王宮の近くに。建物には3つの鍵がないと入れないようにする予定だから、中の状況は使用した者が口外しない限り漏れはしない」

「3つの鍵……ですか?」

「ソフィアのアイデアなんだけどね。最初はカードキー。次の扉は番号式。最後は指紋認証扉」


ラファエルが1本ずつ指を立てながら告げると、2人は目を見開く。


「指紋認証扉、とは今噂されている王宮内に設置されている新たな特殊扉の事でしょうか?」

「そうだよ。発案者はソフィアだよ」

「ちょっとした騒ぎになりましたからね」


私がクスリと笑うと、ラファエルが不快な顔になった。

あの時の事を思いだしてしまったのだろう。


「今思い出しても本当に不快だったよ。私の婚約者に相応しいのは自分だ、ソフィアは身を引け、なんてね」

「まぁ! そんな事がございましたのですかソフィア様!?」

「え、ええ……」


マーガレットが予想以上に食いついてきた。

どうしたの…


「ソフィア様はラファエル様に相応しい素敵な方ですのに! どなたなのですか!? ソフィア様にそんな無礼なことを仰った方は!」

「マーガレット嬢、落ち着いてくださいな。その件はもう終わっておりますもの」

「終わっていたとしても、わたくしは許せませんわ! わたくしがその方にお会いした時に、わたくしからも一言告げさせて頂きたいですわ!」


………机に料理が並んでなければ机を乗り越えてきそうな勢いに、私は若干引いてしまう。


「だ、大丈夫ですわ。お会いすることはございませんでしょう。処分を受け、平民になっておりますので」

「ソフィア暗殺まで企てたからね」

「あんさ…!?」


マーガレットが固まってしまった。

………なんだろう。

妙に胸がぽかぽかしてきた。

もしかして、私は嬉しいのだろうか?

他人事なのに、こんなに憤慨してくれるマーガレットの存在が。


「お怪我はございませんでしたか!?」

「ええ。わたくしが国から連れてきております護衛が守ってくれましたので」


私の言葉に、ホッと息をつくマーガレット。

………良い子なんだな…


「ですがお名前を一応お伺いしても宜しいでしょうか? 万が一にもお会いしてしまったときに、警戒対象となりますので」

「………エミリー・テイラーですわ。元テイラー国第二王女」

「………あの方でしたか。あまりいい噂は聞きませんわね」

「そうなのですか?」

「はい。少々我が儘が過ぎる、と」


マーガレットの言葉に、思わず頷いてしまうところだった。


「確かにラファエル様は素敵な方ですわ。魅力的に思う令嬢も沢山いらっしゃいます。ですが、婚約者がいらっしゃる殿方にお声をかけることは非常識にも程があります。ソフィア様やはり――」


私はマーガレットの言葉を途中で遮るように、視線を向けた。

ラファエルに朝の件を告げることはない。


「わたくしは気にしておりません。風が強く吹きましても、わたくしを折ることは出来ませんわ」

「………ソフィア、私に言ってないことある?」

「はい。ですが、ラファエル様には関わりがないことですので、秘めさせてくださいませ」

「ソフィアはすぐに隠したがるね」


ため息をつくラファエルに私は苦笑する。


「マーガレット嬢と女同士の秘め事ですわ。殿方が入っちゃダメですわよ」


私が人差し指を唇に当てて微笑むと、今度はラファエルが苦笑する。


「マーガレット嬢、私のソフィアとあまり仲良くしないで欲しいな。私が放って置かれるから」


肩をすくませるラファエルに、クスリと笑ってしまう。


「じゃあ話を戻していい? 君達の精霊の意見を聞きたい」


ラファエルの言葉に、2人は姿勢を正してラファエルの質問に答え始めた。


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