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第134話 学生の定番はこうでなければ




週明け、学園に私は1人で登校した。

ラファエルは私の出した精霊マスコット作りで技術者に細かな指示するために、遅れてくるらしい。

学園恋愛これじゃあ楽しめないね。

クスリと私は笑う。

そりゃ学生恋愛は憧れていたけれど、私の今しなければいけないことは勉強だ。

精霊のことを出来るだけ学ばなければ。

ラファエルがいるとどうしても私は脱線してしまうし…

勿論嫌じゃ無いけれど、私の契約精霊達の事を先に何とかしなければ、私は心からラファエルとの時間を楽しめない。

門から教室へと向かう。

すると途中で話し声が聞こえ、その話に思わず足を止めた。


「今日ラファエル様来られるのかしら? 先週は結局休みまで来られなかったわね」

「お忙しい方ですからね。あのお姿を一目でも見られれば一日幸せな気分でいられますのに」

「ですが、あの王女は邪魔ですわね」

「そうですわね。優秀な方だと噂になっておりましたけれど、あのお姿は……ねぇ?」

「くすっ。それを言ってはダメですわよ。ご本人が気にされていれば可哀想ですわ」


クスクスと笑いながら人を貶す貴族の娘達。

う~ん。

ここの学生も同じか。

サンチェス国と何も変わりはしない。

陰で私の顔のことを言いたい放題。

でも直接言ってくることはない。

………まぁエミリー・テイラーで懲りてるから良いけど。

話が通じないのは余計疲れるから。

ただ、マーガレットから私の話を聞かない日はないって、この事だったらヘコむわよ?

マーガレットが私の悪口を言っているとは思っていないけれど、こういう話で皆盛り上がっているという事ならば、私の交友関係は築きにくくなるわ。

………ああいう人達とは関わり合いたくもないしね。


「もしかして、釣り合ってないことにお気づきになられていないのかもしれませんわ」

「まぁ…それはある意味可哀想な御方ですわね」


………言いたい放題だなぁ…

でも、私自身釣り合ってないことぐらい分かっているし、相応しい人がいることも知っている。

けれど、陰でコソコソして嘲笑っている貴族令嬢に対してなど、何も感情が湧いてこない。

ナルサスに真っ正面から言われた時はヘコんだけど。

直接私に言ってくれば、感情が動くだろうけれど。


「ソフィア様」


背後から小声で声をかけられ振り向く。

そこにはマーガレットとスティーヴンが立っていた。

マーガレットの眉間にシワが寄っている。

………どうしたの…


「………あの者達、自分たちの立場もわきまえず…注意してきますわ」


………ああ。

私の代わりにマーガレットが腹をたてているのか。

っていうか聞いてたんだ。

私は首を横に振った。


「何故です? ソフィア様のおかげでこの国が過ごしやすくなっているのですわよ。その恩も忘れ誹謗中傷する者達の為に、ソフィア様が我慢する必要ありませんわ」


小声で喋っているのに、怒気の気配が凄いわ…

マーガレットってホント義理堅い令嬢だったんだな。

今まで王に対して我慢していた分、感情が出やすくなっているのだろうか?


「わたくし、直接言ってこない相手を構う時間は持ち合わせておりませんの」


ニコッと笑うと、一瞬にして2人の顔が凍った。

………失礼な…

ちゃんと笑ったのに……酷くない?


「雑草が風に揺れて音を立てているだけですわ。マーガレット嬢もスティーヴン殿も空耳が聞こえたのですね。お気にされない方が宜しいですわ」

「「………は、はい……」」


………何でだろう。

さっきより顔色悪くなっているわ…

可笑しな事言ったかな…?

ああいう手合いは相手にしないのが1番なんだ。

こっちが気にしていると知ったら、更につけあがるから。


「そんなことより、お2人はお昼にご予定はございますか?」

「え…」


急に話が変わって、2人は戸惑い、互いに顔を見合わせた。

さっさと辛気くさい話はそらさないとね。

私の事で2人に関係のない怒りを感じさせてはいけないし。


「特に予定は入っておりませんが…」

「でしたら、一緒に御昼食を取りませんか? ご相談…というか、ご意見をお伺いたいことがありますの」

「ソフィア様がわたくし達に、ですか?」


………ぁれ?

心なしかまた顔色が悪くなった……?

べ、別に悪い話じゃないよ?


「ええ。王家専用の食堂でお話ししましょ。わたくしと共にでしたら入室できますので」

「で、ですがわたくし達が入っても宜しいものなのでしょうか…?」

「ラファエル様の許可が必要なのでは…」

「わたくしの許可があれば問題ございませんわ。ですので、予定は入れないでくださいませね?」


私が少し首を傾げて言うと、2人の顔色が更に悪くなり……

………

………………って!!

酷くない!?

私はちゃんと笑ったのに!!

私の首傾げは相手を頷かせるどころか、怯えさせる必殺技にでもなったの!?

私は内心傷つきながら、2人と共に教室へ向かったのだった。

………もぅ、首傾げおねだり封印した方が良いのだろうか……

と、思いながら…


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