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第133話 私の従者は相変わらずです




「姫の突飛な発想には慣れているつもりでしたがね」

「全く…姫様って予想の斜め上行くよね」

「令嬢という言葉は無くとも可笑しくないですね」

「………」


ソフィーを見て、何だか嬉しくなっていた心が一気に冷めた。


「私主!!」

「でしたら主らしい発想をして頂きたいものです」

「姫様の中の王女がいなくなったのなら、最早お転婆姫様しか残らないし」

「やはり王女としてはソフィーにして頂いた方が良いのではないですか?」

「………」

「ホントにあんたたちは私の従者なの!?」

「「「はい(うん)、そうですけど(だけど)?」」」

「………」


こ、こいつら…!!

全く敬意が感じられない従者って!!


「だ、大体、ちょっとは驚くとか引くとかしなさいよ! なんでいつも通りなのよ!!」

「………いえ、かなり昔から別人だと思っていましたし」

「………へ?」

「そうだよね。王女だった姫様が、急に平民みたいな行動取りだしたし」

「………ぇ……」


うそ…

わ、私小さいときは結構頑張って王女様してたよ…?

だって前世の記憶なかったし。


「ですから、先程事情を知って納得しました」

「婚約者様が姫様を別の名前で呼んだりしてたし」


………ぁ…やっぱり聞いてたのね…

でも複雑!!


「独り言で結構よく分からない言葉を呟いていましたし。姫様、と呼ぶのが違和感ありました」


………だからライトは姫に様をつけなくなったのか!!


「まぁ、でも俺が守る人に変わりないから、俺はずっと姫様だよぉ」


………カゲロウはただ単に呼び分けられないだけでしょうが!!


「私はレオポルド様の命令で姫様を守るために来ましたので、誰であろうとも、“レオポルド様の妹君”を守るだけです」


………ぁ、そ……


「………」


ダークは何か言いなさいよ!!

………って…


「だ、だったらイヴとダークはソフィーを守らなきゃじゃない」


ちょっと複雑だけど…

ソフィア・サンチェスの身体は元々ソフィーのだし。

レオポルドの妹はソフィーで…


「またレオポルドに護衛をくれるよう頼まなきゃ…って、その者達もソフィーの為に来るから、逆に要らないか……だったらやっぱりランドルフ国の騎士を私の護衛に引き抜き――」

「また姫が斜め上の思考を始めましたよ師匠」

「………鋭いんだか鈍いのか分からない人だな…」


なんかまた貶されているみたいだけど、もう気にしない!!

王女じゃ無いとバレたんだから、私が令嬢みたいにする必要なし!!

少なくとも影の前では!

もう姫らしくしろって言われないだろうし!

私やり放題!!


「あ! いっそナルサスを私の護衛に!」

「却下!」

「へっ?」


良いアイデアだと思って、パッとラファエルを見ると、即切り捨てられた。


「なんで!?」

「危ないからに決まってるでしょ。一度ソフィアを殺しかけたんだよ? 逆に何故ソフィアがナルサスが安全だと思っているのかが不思議なんだけど?」

「ラファエル大好き人間だからに決まってるでしょ」

「いや、気持ち悪いから」


うえっと吐きそうな顔をするラファエル。

………そんなに嫌だったのか…


「でも、そんなナルサスだからこそ、もう私を殺そうとはしないでしょ。ラファエルを怒らせると分かってるんだから」

「………チップ埋め込んだって言ったでしょ。俺がいなければ近寄ったら即死ぬよ」

「命令を書き換えたら済むことでしょ?」

「そんな簡単に書き換えられたら服従チップの意味ないでしょ!」

「むぅ…」


頑固だな…

ナルサスがダメとなると…


「あ! 公爵家の騎士ならどう!?」

「却下!!」

「何で!!」

「何でじゃないよ! ナルサスといい、ヒューバートといい、なんで男ばっかり選ぶの!?」

「あ、ヒューバート・ガルシアっていうのね」

「そんな話してないよ!?」


ラファエルに肩を掴まれて言われる。


「だって、護衛と言えば男性と決まってるでしょ? どうやっても女性は男性に敵わないし」

「だからって! これ以上男増やさないで欲しいんだけど!?」

「むしろ減るでしょ。イヴとダークがソフィーにつくから、私の護衛はライトとカゲロウだけになるし。4から2になってプラス1で3だよ」


私が言った瞬間、パンッと話の腰を折るような音がした。

ラファエルと共に顔を向けると、何やら頬がヒクついているイヴが両手を合わせていた。

先程の音はイヴが出したらしい。


「どうしたのイヴ」

「………『どうしたのイヴ』ではありません。姫様は何故私とダークを外す方向で話を進めているのですか!」

「………え? だってイヴとダークは“レオポルドの妹”を守るんでしょ? レオポルドの妹はソフィーだもの」


私が言うと、ヒクッとまた頬を引きつらせ、手で顔を覆って思いっきりため息をついた。

失礼すぎでしょ!?


「………姫……1人………ソフィア・サンチェス…だけ……俺守る……姫…だけ……」


クイッと服の裾を引かれ、ダークに言われた。

………ぇ…

何この可愛い子。

いつもの無表情ではあるものの、ダークは20代にして身長は私より低い。

よって上目遣いになるということで…

しかも少し視線を外しては私を見、また視線を外して私を見る。

それの繰り返し。

………ぇ、何この可愛い子。

思わず2回思ってしまった。


「………」

「ぁ、うん…ごめん…」


ダークの視線に思わず謝ってしまう。

普段喋らないくせに、反則じゃ無い!?


「………ちっ……ソフィアから男減らせなかったか…」


そしてラファエルは舌打ちして悔しがってる!?

イヴの言葉の意味を分かってて、ワザと私の思考に乗っかってきていたのか!!

知ってたんなら私に話を合わせずに止めてくれない!?

なんか恥ずかしいから!!

私の頬は赤くなっていると思う。

むぅっとラファエルを睨むと、微笑みで誤魔化された。


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