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第127話 精霊達の場所




「精霊の力発散の場所か…」


学園の授業が終わるまでにラファエルは戻ってこなかった。

私は学園から戻って、ラファエルが部屋に来るまで待った。

そしてラファエルが漸く仕事を終えて帰ってきたところに、マーガレットの提案を話した。


「学園と、国の何処かにそんな場所があったらって」

「あまり大がかりにすると、他人に知られる恐れがあるから、賛成しかねるな…」

「学園に作る建物と国の何処かに作る建物、2カ所にはコレを使ってしか入れないようにする」


私は学園で貰ったカードを見せた。


「………成る程」

「同じカードではなく、新たに作って貰うようにして、更にナンバー入力式の扉も作ってもらって、指紋認証もつけて、3つの鍵を持つ者しか入室できないようにするってことにすれば、中で何が行われているか他人に知られる可能性はないと思うけど」

「3重の鍵ね…」

「まずはカードで鍵を開ける。中に入ったら次の扉はナンバー入力式。そして最後の扉は指紋認証。これでかなり安全のはずよ。建物の壁は精霊の力に耐えられる……というか吸収できるような物にしたいわね…」


結界みたいな。

そういうこと出来るのかな?


「吸収か。そうだなぁ……」


考え込むラファエルの頭は今、素材の事でいっぱいなんだろうな。


「そうだ、それとラファエル」

「ん?」

「マーガレット嬢にお茶会に誘われたの。今週末――」

「ダメ」

「………ぇ?」

「今週末も仕事詰まってるから」


………要するに、俺のいないところに行くな、ってことね。


「分かった。断っておくね」

「え……」

「………ん?」


唖然とラファエルが見てくるので、私は首を傾げた。


「………ソフィアだけ行くって言わないんだ…」

「どうして?」

「どうしてって……これは俺の我が儘だよ?」

「我が儘じゃないでしょ。互いに思っている当たり前のことは我が儘じゃない」

「………へ?」


瞬きを何度もして、何を言われているのか分からないって顔をしているラファエルは可愛い。


「私も出掛けるならラファエルと一緒がいいって思ってる……から……」


………ぁれ?

………今私サラッと恥ずかしいこと言ったような!?

チラッとラファエルを見ると、満面の笑みを向けられてました。

………ぁぁぁ……

最近こんな事なかったから、すっかり私も慣れてしまったようだ…

ぅぅ……恥ずかしい…

ソッと手で顔を覆った。


「嬉しいよ。ソフィアも俺と一緒がいいって思ってくれてて」

「………ぅ……」

「失礼いたします。ラファエル様、姫様、お茶をお持ちしました」


ソフィーがスッとお茶を出してきた。

ナイスタイミング!!

恥ずかしくて気まずくなりそうだったから!


「ソフィーは何かこうしたらっていうアイデアあるかな?」

「アイデア、ですか……そうですね……花が、欲しいです」

「花?」

「はい。サンチェス国で姫様の部屋から見える庭園は、色とりどりの花で溢れていました。少しでも姫様の癒やしになればと」

「そうだね。手配するけど、ランドルフ国の土がサンチェス国の花に合うかは分からないけれど」

「それでしたら、わたくしが花を選んでも宜しいでしょうか?」

「いいよ。予算は気にしなくていいから、ソフィアの為に揃えて」

「畏まりました」


2人の間で話が進んでしまった。


「こ、こじんまりとしたものでいいよ!?」


そんなにラファエルにお金を使わせたくないし、私のためじゃなく、国のために使って欲しいし。


「ソフィア」

「………はい…」

「王族が遠慮してちゃ、下の者にどういう目で見られるか分かってるよね」

「………ごもっともです……」


何でもかんでも質素にすれば、逆に不信感を抱かれる。

私は口を噤むしかなかった。


「週末、お茶会断らせてしまうけど、ソフィアにはちゃんと仕事があるからね」

「何の!?」


私は思わず身を乗り出してしまった。

ハッとして、ススッと元の位置に座り直した。

ラファエルに仕事を振られることは滅多にないから思わず…

彼は苦笑して私に書類を渡してきた。


「温泉街に置く商品の選定。試作品が完成したから見て欲しいと技術者が。俺の菓子はもうちょっとかかるけど」

「出来たんだ! 楽しみ」


思わず微笑むと、ラファエルも笑う。

2人して笑っている所を邪魔する人はいない。

ナルサスとダークは壁際に立ち視線を反らしているし、ソフィーは私と距離を取り、少しうつむき加減で待機している。


「ちゃんとラファエルの甘味は、私が1番最初の味見役だからね?」

「約束したからね」


ラファエルが私の隣に移動してきて、ソッと口づけられる。


「………ソフィア」

「何?」

「聞きたいことがあるんだけど、いい?」

「うん」


私が頷くと、ラファエルの目が鋭くなった。


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