第124話 再会したら色々変わってました
くすくす
うふふ
耳元で笑い声が聞こえた。
人が眠っている近くで。
………一応私王女のハズでしょ。
そんな立場の人間の近くでクスクス笑い出来る人など限られている。
ましてや私は事実上このランドルフ国内で、第2位の立場のはず。
私に遠慮無く出来るのは、ラファエルだけだ。
だから近くで笑っている人物は私に敬意を払い、眠っている近くで無礼な行いをしてはいけないはずだ。
………どこのどいつよ!
安眠妨害よ!
一言文句言ってやろうと、パッと目を開くと――
「………は?」
「あ、気がついたのね唯華さん」
………クスクス笑っていた犯人はソフィアでした。
………
………………なんで!?
ガバッと起き上がると、私の身体はあの真っ白な空間にいた。
「………私、死んだ?」
「何縁起の悪いことを仰ってますの!?」
いや、ソフィアとまた会えるなんて思ってなかったし…
この白い空間って、前に死にかけたときにいた空間だし…
「………じゃあ、なんで…」
「あのですね、わたくしに唯華さんの精霊さんが力をくれて、新たに現実で精霊として唯華さんと同じ時間だけわたくしも生きられることとなりましたの」
手を合わせてニッコリと笑うソフィアは、相変わらず可愛い――
………って、ちょっと待てい!!!!
「まず私の精霊って何!? 力って何!? 現実で生きられるって何!?」
「まぁ。唯華さんったら、そんなに一度には答えられませんわ」
ニッコリ呑気にしてらっしゃいますがね!?
私にとっては何が何だかさっぱりなんですけど!?
「まず唯華さんの精霊さん達はこちらの方々ですわ」
ソフィアが手で示した方には、赤・青・緑・黄・茶・紺・金・黒の衣を纏った美男美女が揃い踏みでした。
………
………………
………………………ぇぇ~……
思いっきり嫌な顔をしてしまった。
これはあれじゃないかなぁ……
間違いなくあれだよねぇ…
「拒否していいですか!!」
「もう唯華さんと契約結んじゃったんですもの。破棄は出来ませんわ」
「本人の意思無視!? 契約って相互確認必須だよね!?」
「ごめんなさい」
「………」
ちょっと待て。
何故ソフィアがあやま――
「私現実世界ではソフィア・サンチェスだ!!」
ひぃっと両頬に手を当てると、ソフィアが申し訳なさそうな顔になる。
「はい」
「代理で契約結んじゃダメ!! こういう事は後々問題になるし!! これが国政だったら問題どころの騒ぎじゃないから!!」
「すみません…」
シュンとするソフィアと、崩れ落ちて両手両膝を地面につけている私。
傍目には実にシュールな状態だろう。
「………ああもう! やってしまったことには仕方が無い!! まずはソフィア! 貴女は何属性!?」
「わ、わたくしは、皆様の力を少しずつもらいましたので、一応全属性になりますわ…ただ、能力は中くらいだと……」
「よし! ソフィアは許容範囲内! 次! 貴方達、自己紹介!!」
「………ぁ、それは唯華さんに名前をつけて欲しいと……」
「………契約の概念が可笑しい!!」
精霊に名前をつけて初めて契約成立でしょうが!!
そう習ったよ!?
「ぁ、正確には半分契約が成されている状態なのです。わたくしと精霊さん達が繋がっていますから、唯華さんとわたくしも繋がっていますし…」
「………簡単に言うと、ソフィアと私が主従の関係になっており、従と精霊達が繋がっちゃったから私にも繋がってる、と……?」
「さすが唯華さんですわ!」
………さすが、じゃないよ!!
半分でも繋がっちゃったらマズいんだって!!
チートの階段、危険人物の階段一気に上り詰めちゃってるからーー!!
「………はぁ……じゃあ…」
火精霊究極→ホムラ 性別:男
水精霊究極→イズミ 性別:女
風精霊究極→フウ 性別:女
雷精霊究極→ライ 性別:男
土精霊究極→ジン 性別:男
氷精霊究極→ヒョウ 性別:女
光精霊究極→コウ 性別:男
闇精霊究極→ダーク 性別:男
と名付けた。
………突っ込まなくていいから!!
8人分も名前付けろと言われていい名前なんて浮かばないから!!
何より覚えられない!!
悔しいのは光精霊にライトってつけられないことだよ!!
闇がダークなら光はライトでしょ!!
悔しいわ!!
影のライトの名前変えてやろうかしら!?
ダークもだけどね!!
闇は他に思い付かなかったのよ!!
はっ!!
ブラックで良かった!?
失敗した…
名前って変えられる!?
「………唯華さん、それは割とどうでもいいかと…」
「突っ込まなくていいって言ったよ!?」
心の中だけど、ソフィアには伝わってるでしょ!?
「ぁ~もぉ……で? これからどうしたらいいの? ってか、私は寝ているだけだよね?」
「はい。その夢の中の唯華さんにわたくしたちが会いに来ていると思って頂ければ」
「………そう。で、本題なんだけど、何故私と契約しようと思ったのかしら? 究極精霊達」
私が8人に視線を向けると、皆ニッコリと笑った。




