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第110話 ランドルフ国公爵令嬢②




公爵令嬢と共に庭へ出た。

マーガレットは微笑みながら庭を眺めている。

侍女がお茶を用意し、互いに一口飲んでから私は口を開いた。


「失礼ですが、ガルシア公爵令嬢はおいくつなのですか?」

「わたくしは、ソフィア様と同じ16でございます」


………いや、嘘でしょ?

私より美人で、落ち着いていて、胸もあって、私には20代前半にしか見えない!!

大人びていると言っていい。


「まぁ。では学園に通っているのですか?」

「いえ、今はランドルフ国の学園生は全員休学となっております」

「そうなのですか?」


ランドルフ国にも勿論学園はあるのだけれど。


「ラファエル様が学園のシステムを変える、と教師にご指示を出したそうで、教育内容など変更しているようです」


………ちょっとーー!!

ラファエルが知らないところで仕事増やしてるんですけど!!

後でちゃんと抗議しなきゃ!!


「そうだったのですね。ラファエル様はわたくしにお話してくださいませんので。教えてくださってありがとうございます」

「このぐらいいくらでも聞いてくださいませ。恐らくラファエル様はソフィア様に負担を掛けたくなくて仰らないのでしょう」

「負担など…わたくしはラファエル様の助けになるのでしたら、喜んでお手伝いしますのに…」


頬に手を当て、息を吐く。


「最近のランドルフ国はとても過ごしやすくなっておりますわ。わたくし、お父様にお願いしてソフィア様とお目にかかれるように取り計らって頂きましたの」

「わたくしにですか…?」

「はい。図々しいと百も承知で、ソフィア様にお願いがございまして」


………単刀直入すぎる。

遠回しな言い方は面倒だから、直球で言われた方がいいのだけれど…

完璧令嬢と聞いてたから、腹の探り合いとかしなきゃいけないのかと。


「お聞きしましょう」

「わたくしと是非親しくして頂きたいのです」

「………」


えーっと……?

これは、お友達になりましょう、と言われていると解釈しても??

貴族が王族に友達になって、とは言えないから、親しくって言ったのだろう。

確かに友人と話したいとは思っていたけれど…

素直に受け入れて良いものか……

………正直、近づいてくる女ってアマリリスやエミリーっていう……まぁ、迷惑な女しかいなかったから…

安易に許可したくないんだよね…

信用できる要素がないし…

でも、そう思っていても…


「まぁ…わたくしで宜しければ喜んで」


と言うしかない。


「本当ですか? 嬉しいですわ」


ふわりと微笑むマーガレットは悔しいぐらいに可愛らしい。

………ラファエルと並ぶと絵になるだろうな…


「ソフィア様、わたくしの事はマーガレットとお呼び頂けますか?」

「ええ。マーガレット嬢」

「嬉しいですわ。ラファエル様が溺愛なさっておられるソフィア様と、お近づきになったと友人に話したら、羨ましがるでしょうね」

「そんな。わたくしは皆様のお話に上がるような女ではございませんわ」

「何を仰っておられるのですか。今ソフィア様のお名前を聞かない日はありませんわ」


………え…

私はそんな大物じゃないから!!

どんな話されてるのか滅茶苦茶気になるんですけど!!


「ラファエル様とのご結婚の時にお披露目されるまで、わたくし待てませんでしたの。この国の生まれではないソフィア様がこの国のために、色々改国の案を出してくださっている。そして、この国は以前よりずっと潤い始めている。わたくし達が本来やらなければならないことを、ラファエル様とソフィア様だけに任せきり。わたくしは自分を恥じたのです。公爵という立場を頂いているのに、何もしておりません。国王を嗜めることも、人々を救う手立てを考えることも。ですからお父様に、今立ち上がらなくていつ立ち上がるんですかと、思わず怒鳴ってしまいましたの」


………この美女が自分の父親に怒ったのか…

想像できない…


「わたくし達が過ごす国ですもの。そしてわたくしもずっと民より国の為に働けますわ。ソフィア様、わたくしにご協力できることでしたら何でも仰って下さい。お役にたってみせます」


マーガレットの瞳に、強い意志を感じた。

まだマーガレットを信用してはいない。

けれど今のところ危険を感じる事はない。

純粋に国のために動きたいと思っているようにしか見えなかった。


「分かりましたわ。お手伝い頂きたいことがあれば、お願いするとお約束いたします」


私が言うと、マーガレットは嬉しそうに笑った。

少し冷えたお茶を飲んでいると、ラファエルと公爵がこちらに来ているのが見えた。

ラファエルの顔が少し強張っているように見えたので、私は微笑んだ。

今のところ警戒する必要がないことを示すために。

どんなに表面を取り繕うとも、不審な行為や雰囲気を出すと、即イヴとダークが動く。

その2人が動いていないのが、私の1つの判断材料だから。

私は自分の勘を全面的に信じていない。

だから私の手足の反応も考慮する。

私達3人が今のところ問題ないと判断したなら、まだ大丈夫だ。

私はラファエルが辿り着くのを、見つめていた。


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