豚美の悪戦苦闘
山田豚美は太り過ぎた。
つい一ヶ月前までは45キロだったのに。
彼氏に振られて暴飲暴食がたたってか、
千と千尋の神隠しに出てくる豚になった両親の様…。
また大阪の御堂筋のフグの看板みたくなってしまっていた。
…こんなに私の部屋って狭かったかしらん?
部屋の6畳の部屋の3分の一は豚美の身体で埋まっていた。
…まぁいいか。
豚美はさらに食べ続けた。
そんな時、奇跡の電話がなったのだ。
「プルルルルルんるんるんる。プルルルルルんるんるんる。」
携帯電話の着信音。
それに反応して、豚美がなんとか家を出ると…
いや、訂正、豚美がなんとか電話に出ると、
一ヶ月ぶりの懐かしい声が。
浩志「もしもし…豚美?」
豚美「ひ、浩志!!?」
浩志「あの時は悪かった!…反省してる。ついカッとしてお前と別れるだなんて言っちまって。」
豚美「ううん!いいのよ!私の方こそ6時間もデート待たしたんだもん!
あの時は本当にごめんなさい!!」
豚美がそう言うと、浩志は驚いて、
浩志「豚美?あの豚美が反省してるの!?
…い、いや、悪かった。
いつもどんなに豚美が悪かったとしても誤るのって俺の役だったから…。
でも誤ってくれてありがとうな。」
豚美「ごめんなさい。いつも私ったらモテてたから調子に乗っていたのね…。
振られるだなんて思わなかった。でも、今回のことで反省したわ…。」
浩志「…はは、良かった!俺も今回のことは身にこりごりさ!
じゃあさ!さっそく今から会わないか?」
豚美「いいわよ、あ、ダメ!いや、あれれ!?待って!!あの、その!!
一週間後にしない!?その今すぐに会いたいんだけどさ!…え〜と!その!
今私ニューヨークなの!そ、そうね!すぐにダイエットじゃなくてジャンボジェットの
手配が出来なくて!ま、またかけ直すね!さぁ〜今からすぐに帰国準備だ!
大変だな〜!!あはは」
浩志「そうなのか!?わかった。帰り待っているよ。じゃあ。」
豚美は電話を切って悲鳴をあげた!
まさか!浩志から寄りを戻す電話があるなんて!
いや、それ以上にこんなに太っているなんて!!
豚美はさっそくダイエットを開始した!
豚美「今日から一週間水だけしか呑まないんだから!!」
豚美はさっそく、運動をするために乗馬マシーンのあるリビングへ向かおうとした。
が、入り口に引っかかって外に出られない!
豚美「ぐぎぎ!な、なんでこんなところで行き詰っているのよぉ〜!!ぐぎぎ!!」
ポンと音がしてなんとか入り口を通過!
そして、鉄アレイ30キロを片方ずつ持ち、
乗馬マシーンに乗る事12時間。
豚美「はぁはぁ!さて、体重計に乗って…な、なんであんまり変わっていないのよ〜!!
214キロからたったの16キロしか減っていないじゃない!」
まさに死に物狂いだった。
しかし、時間は待ってくれない。
あと、6日と半日で、もとの45キロになるためには169キロやせないといけない!
豚美はすぐに、やせる方法をネットで調べつくした!
豚美「そうか!血の流れをよくしないとダメなのね!特に背中の血の流れと…」
それから身体をやらかくする為にタコになること14時間。
豚美の身体はほとんどぐにゃぐにゃに!
豚美「はぁはぁ!!どうよ!!これで、どんどんやせるはずよ!!」
身体を柔らかくすることに集中したとはいえ、かなりの運動量である。
体重計に乗ると針が揺れて、…………2…………1……………1。 180キロ!
なんと34キロもやせているではないか!
豚美「…なんで、まだ18キロもあるのよ〜!!ぐた!」
豚身は力尽きてそのまま眠りについた。
目が覚めると、信じられないことになっていた。
体中が筋肉痛で、まったく動けない!!
トイレに行きたいが、それも出来ない!
豚美は絶対絶命のピンチに寝かされた!!
…やばいよぉ〜!ここで漏らしたりしたら一生お嫁に行けない!!!
豚身は必死にあらゆるものを掴みながら少しずつトイレに向かった。
そして、脅威の階段!
…階段の下にはすぐにトイレがあるのに…おりれるかな…落ちた方が早いかな…やばい!もれそう!!!
豚美は覚悟を決めた!!そして階段を落ちた!!
ドンドンドン!ドドドドドドドドドドドドドド!!
豚美「い、痛いよ〜〜!!身体も心も痛いよ〜〜!!」
そして豚美はなんとかトイレについた。そして便座につこうとしたその時!!
豚美「ま、まにあわなかったよぉ〜…」
豚美はともかく泣いた。
豚美「そうだ。お、お風呂に入って汗を流さなきゃ…。
肥ッ苦!肥ッ苦!(ヒック、ヒックと泣いている。肥満の苦しみ。)」
その時、さらに追い討ちをかけるように、浩志から電話が!
豚美は早くお風呂に向かいたかった。そしてなにより着替えたかった。
しかしそれよりもなによりも浩志からの電話が嬉しくて、つい電話に出てしまう。
そして、浩志の声が受話器の向こうから聞こえてくると、
浩志「豚美!お前嘘をついたな!!ある人から聞いたぞ!!
ニューヨークなんかに行ってないって!!」
豚身は心の底からある人を恨んだ。
そして、さんざんな気持ちになってとうとうウワ〜ンと泣き出した。
豚美「そうよ!ニューヨークどころか入浴にも行ってないわよ!!うわ〜ん!」
浩志「どうした豚美!!?泣いているのか!?」
浩志の問いにも答えられずに豚美は泣き続けた。
浩志「…豚美!?大丈夫か!?今からすぐにそっちに行く!!」
豚美「ダメ!!!絶対に来ないで!!!!」
そうして豚美はなくなく電話を切ると、すぐに電源も切った。
電話を切られて、浩志はふいにこう思った。
やっぱり、豚美はよりを戻したくなくて来ないでと言ってるのだろうか…。
唯一の安らぎと思えた着信が、悲しくも二人をさらに引き裂こうとしていた。
そして、数時間が立つ。
豚美はあれから数メートルくらいしか進んでいなかった。
お風呂場までは遠い道のり。
携帯電話はあの後すぐにその場において、もう離れた位置にある。
どれだけ泣いたかわからない。
そして、すこし、また少しと風呂場へと向かっていく。
豚美は心の底から助けてほしいと願った。
救いの手はすぐにやってきた。玄関のチャイムがなる。
豚美は誰でもいいから助けてもらおうとした。もう恥じも外聞もない。
豚美「留守じゃないです!!
私!今動けなくて!!
太ってて動けなくて!!やせれなくて!!!
どなたか知りませんが助けてください!!
動けないのよぉ!!
階段から落ちて怪我もしているの!!!助けて!!!」
豚美は大声で助けを求めた。しかし、鍵がかかっていて入って来れるわけもない。
そして、豚美の存在に気付いてくれたのか、
玄関の外から声がする。
浩志「大丈夫か豚美!?」
豚美は青ざめた。よりもよってなんで浩志が!!
豚美「あう!!?な、なんであんたが!!!?
か、帰ってよ!!お願いだから!!!」
しかし、浩志は帰らなかった。しかも持っていた合鍵を使い、
いともかんたんに扉をあけたのだった。
豚美は扉が開く音がして、もう凍りついた。
そして、豚美はさらに悲しくなり、
怖くなってもう目を閉じたまま声を殺して泣いた。
浩志は…すぐにタオルを持ってきて、豚美を姿を隠してやった。
浩志「僕を少しは信用しろ!ほら、これで、涙を拭いて。僕が運んでやる!一緒に進もうな!」
豚美はその信じられない言葉に閉じた目を開けた。
浩志「お風呂に入ったら身も心もすっきりだ!!あとは僕がベットに連れてってやる!!
…ほら!それも僕のいつもの役目だろ?」
浩志はいつもと変わらない浩志だった。
いや、いつもの数千倍かっこいいかもしれない。
豚美はその臭すぎる台詞にあっけにとられて、
そして笑った。そして、優しさがしみてきて、泣いた。
豚美「浩志…ゴメンね。」
浩志「辛い思いさせた僕の方が悪い。豚美は気にするな。」
そうして、豚美は一番恥ずかしく、嬉しい体験をしたのだ。
よく、動き、よく泣き、よく汗を掻いて、よく悩んだ為か、
豚美は数ヶ月後にまた45キロの体重に戻ったのだった。
完
読んでいただきほんとうにありがとうございます。
これからもずっと執筆していきます。




