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日常にありふれた狂気 短編  作者: ぽんぽんた
1/1

幼なじみ

 私には仲の良い遊び友達がいたの。


 小さい頃からずっと一緒。


 彼女とばっかり遊んでた。


 何をするのも一緒だった。


 幼稚園、小学校、中学も。


 彼女はとてもかっこよくて、自分のスタイルのある人。

 でも、彼女の親はちょっとおっかない。

 良く二人で押し入れに隠れてやり過ごしてた。


 勉強は私の方が得意だったわ。


 中学で、受験勉強が始まったわ。


 私は急に音楽にはまったことにしたの。


 私はバンドを始めた。実際に、のめり込んだわ。


 当然、成績は下がった。それで、高校も一緒。その時、私は流石に彼女に執着しすぎかなって少し思った。


 でも、始めたバンドで彼氏が出来たの。ベースの人。


 彼女もすぐに彼氏を作ったって。これもまた、一緒だねって笑いあったわ。


 でも、なかなか紹介してくれないの。恥ずかしいっていつも逃げるのよ。そのうち別れたって言って結局会えずじまい。


 同じくらいに、私もベースの彼とは別れたわ。大学受験で忙しくて、すれ違うようになってたし。それに何だか最後の方、彼、少し変だったの。


 やけに疲れていたみたいで。


 隈も凄かった。後何か変なこと言うの。君は誰だって。


 大学で哲学の学部を狙っていたみたいだから勉強のし過ぎだったのかしらね。


 私は大学を出て、すぐに結婚したわ。彼女ももちろん同じ時期にね。


 幸せだった。でも、その頃は、彼女とはなかなか会えなかったの。


 でもまた最近、女の子の赤ちゃんができて、良く会うようになったの。


 子供の話を良くするの。話せる相手がいるのはやっぱりいいわ。子育ては孤独だもの。


 最近、娘が喋り始めて。なかなか良く話すのよ。言葉が早いかもって、親バカかしら。


 でも、子供って不思議なことを言うのよ。


「ママは二人いるの?」って。不思議でしょ。


 それにね、彼女が来ると、彼女のこともママって呼ぶのよ。


 それを旦那に話したら、あの人変な顔して、一緒に病院に行こうって。

 何でそうなるのかしら。子供の言うことでしょ。

 しかもあの人のスマホの履歴をみたら精神病院を調べているの。

 おかしいでしょ。


 ああ、やっぱりわたしの味方は彼女だけだわ。

 ずっと一緒だった彼女だけ。

 これまでも、これからも、彼女だけはずっと一緒。


 今は私は真っ白な部屋のなか。旦那に押し込まれた病院の一室。


 でも大丈夫。ここにも彼女は居てくれる。私の一番の、彼女が。




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