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サクラ、悶える。

ちょっとした閑話?

若干えちぃかも。


サクラ。

サクラ・ナハト。


宵闇を意味する名を持つ由緒正しき淫魔の家系に生まれた彼女は正しくサラブレッドだ。

魔王の血族の夜伽を勤め、その魅力を余す事なく捧げるのが彼女の役目である。


ーーしかし。

彼女は未だに生娘である。

本来捧げる魔王様はすでに高齢で彼女に手を出そうとかそんな意思もなく、気づいたらそば付きのメイドでしかない立ち位置。


「……ゆゆしき事態です。」


本来、彼女の体の全ては魔王に捧げるべきもの。

しかし。

その魔王の命を救い、その上彼女の身体に触れた者がいる。


犬塚信乃。

お嬢様が召喚したと言う異世界人。


決して強くはない。

凛々しいわけでもない。


だが……賢くはある。

我々が知らぬ事を知り、無知な我々の過ちを未然に防いだ。


「………ゆゆしき事態です………。」


サクラ・ナハト。

彼女は、サキュバスでありながら未だに性というものを知らない。


技術としては知っているが、実体験は無い。

耳年増と言えば良いのか判断に困るが、そうなのだ。


「シノ…シノ・イヌヅカ…。」


ほぅ、と。

熱い吐息を吐き出すサクラ。

その豊満な胸の前で組んだ手はどこか所在無さげに組んだり解いたりを繰り返し。

何かを思い出す様に反芻し、息を吸っては吐き、吸っては吐き…頬は段々上気し薄紅に染まる。

落ち着きなく動く脚はモジモジ、ソワソワ、と無意識に内腿を擦り合わせている。


「サクラ、入るわよ?」


と、そんな思案をするサクラの部屋にノックもなしにドアを開ける乱入者が。


「ヒゥ!?」


「……な、何よ変な声出さないでよ。」


勝気な瞳、栗毛色の髪。

紅いドレスを翻し、片脚を惜しげもなく晒してドアを蹴り開けたのは主人たる魔王の孫娘。


「…エ、エリザベートお嬢様…せめてノックはして下さいまし…サクラは驚きのあまり…あ、いえなんでもありません。」


「…変なサクラね、まあいいわ…お爺様の事だけどね、あの介護士とやらに任せてみようかと思って。」


「正気ですか、お嬢様?」


確かに、あの男には戦力的な価値はない…そして窒息死しかけたヴラド様を救い出した手際は認める。

だからと言って。


「あの様な得体の知れぬモノをヴラド様のお側に置くおつもりですか?大体、私がいるのだからお世話係は間に合ーー」


「…お爺様、死にかけたわよね?」


「………………。」


それを言われてしまうと私としては黙るよりない。

痛恨の失態だったと言わざるを得ない。


「沈黙は了承と受けとるわよ?」


「……仕方ありません、ですが相応しくないと思えば即座に首を刎ねます。」


「…せめて蹴りだすくらいにしてあげなさいよ、仮にもお爺様の恩人よ?」


「…善処しましょう。」


「じゃ、決まりね!」


嬉しそうに笑ってエリザベートは部屋を出て小走りに今来た道を戻っていく。


「……嵐の様ですね。」


ふふ、と微苦笑したあと扉を閉め、今度は施錠する。


「……は、ふ。」


動機の治らない胸を鷲掴みにし、苦しげに身体を折り曲げ、ベッドに顎を投げ出す様に首から上を沈めた。


高級な羽毛を詰めた布団は深々と顔を覆い、彼女の表情を隠した。


やがて、月明かりが美しい夜。

悩ましげな吐息と、木材が軋む音が暫くの間メイド長であり、魔王の夜伽番であるサクラの居室内に響きわたった。


「……!……!」


声にならぬ声が闇に消える。

夜は、まだ…長い。


翌朝。

シノ・イヌヅカの名は城内の使用人、兵士、全てに知れ渡る事となる。


魔王付きの世話係見習い。

それがどんなに畏れ多い地位であるか、当の本人はまるでわからないままに。


「シノ・イヌヅカ…ァ…!」


ひときわ甲高い声は確かに信乃の名を呼んだ。

それに、どんな意味があるかは声に出したサクラ本人にすらわからない。


今は、まだーー。



…うん、話を進める前に何を書いてるのかとか。

次回は多分、お嬢様のお話し?(予定は未定

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