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「なあ、瀬野」
塾に通うヒロトとは別に上田とチャリで並んで話しながら帰っていた時、いきなり上田が話を変えてきた。
「うん? 」
「前から一度聞こうと思ってたんだけどさ、お前芽衣ちゃんのことどう思ってるわけ? 」
「はあ? 芽衣? そんな、ただの幼馴染としか考えたことねえよ」
「そうか? 俺もヒロトもお前たちと付き合い長いけど正直小学校からずっと見ててお前と芽衣ちゃんにはなんか入り込めない様な、壊しちゃいけない関係っていうかそんなのを感じんだけどな」
「それはお前やヒロトと仲良くなったのは小5の時だし、芽衣とは保育園からずっと一緒ってのがあるからなんじゃね? 」
「う~ん、なんかちょっと違うんだよなそういうのとは、じゃあ例えば俺が“芽衣ちゃんの事が好きだ”ってなってお前に相談したらどう思う? 」
「そ、そりゃ友達として協力するし応援するよ」
「じゃあ例えばこの前お前が川澄さんにした告白、あの事まだ芽衣ちゃん知らないけど“教える”って言ったらどうする? 」
言葉が詰まった。
「まああの件に関しては川澄さんがもう無かったことにしてって言ってるからそんなことは言わねえけどよ」
「そ、そうだよ。 俺は別に構わねえけど川澄が嫌がってんだからそんなことする必要ねえよ」
「お前なあ、 川澄さんがどうして“言うな”って言ってるかっていったら芽衣ちゃんの事を気にしてるからに決まってるだろ? それくらい考えたら分かるだろ。 つまり川澄さんから見ても芽衣ちゃんとお前の間には入れないわけよ」
「ん? 待てよ、てことは俺が川澄にフラれたのは芽衣に遠慮してってことで本当は俺のことが好きなんじゃね? 」
「バカかお前は、端からお前なんか眼中に無えんだよ、忘れろ。それよりもホント芽衣ちゃんの前で暴走してギクシャクするようなことだけは絶対すんなよな」
もうその話題に返事をすることは無かったけど、上田には言ってないけどキスしたんだよなぁ、川澄と。しかも川澄の方から。
もしあの時俺の部屋に凌が入って来なかったらそのままベッドでってことになっていたかも知れないし、俺のことが好きじゃなかったらそんなこと出来ないよなぁ。
まあ上田が言うように芽衣の前では素振りは見せないにしても川澄のことは簡単に諦められるわけもねえんだよなぁ。 でも上田が言うように俺と芽衣がいい仲になるなんてことも全く想像したことも無かったもんなぁ。 けどアイツだって俺のことは幼馴染としてしか見てないだろうしな、やっぱり無えよそんなこと。けど芽衣ともキスしたんだよなぁ、ガキの頃だけど。




