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「なあ、やっぱり俺も居なくちゃダメ? 」


母ちゃんから " 結婚する " と告げられて2週間、結婚相手の家族を紹介するからと母ちゃんに連れられて街の中にある市民公園にやって来た。


「当たり前でしょ、アンタに会わせるのが目的なんだから」


別にどんな奴が相手でも反対なんかしませんよ、俺は俺、母ちゃん(アンタ)母ちゃん(アンタ)なんだから。 俺ももう大人だよ、と何事にも熱くなったりせず誰にも干渉しないことが格好いいんだと思っていた。


「母ちゃん、今まで育ててくれてサンキュー、これからはアンタの好きなように生きなよ、俺は俺で好きな…… 」


「バウッワウワウワウワウッ」


「うわっ! なっ!? やめっ! ふげぇ、た、助けてぇ」


せっかく俺がどこまでもクールに母ちゃんを祝福してやろうと思っていた所にいきなりデカイ犬が飛びついて来やがった。


ペロペロペロペロペロッ


「ちょ…… ちょ…… タンマ…… 待っ…… 」


「リョウ! やめろ」


飼い主と思しき少年が制止したがそのバカ犬は全く聞く耳を持たずに倒れた俺の顔を舐め回している。


「大丈夫よ達哉、リョウちゃんは咬んだりしないから」


どうやら母ちゃんとこのバカ犬は知合いらしい、ん? 『リョウ』? もしかして結婚相手の子供ってこのバカデカ犬のことなのか?


「リョウ! そんな汚ないモノいつまでも舐めてたら病気になるぞ」


少年は普段の俺よりももっと冷めきった声でバカ犬に話し掛ける。


「誰が汚ないんだよ! おいガキ! お前飼い主なんだろ!? さっさとなんとかしろ! 」


「ナオミさん、お待たせ」


バカ犬と少年から遅れてやって来て " ナオミ " という俺の母ちゃんの名前を呼んだのは、車椅子の婆さんを後ろで介助するヒョロガリで黒縁メガネのいかにも頼りなさそうな男だった。


「こんにちわミツヒコさん、お義母さん」


「こんにちわナオミさん、天気が良くて嬉しいわ、久々よ、こうやって日光浴をするのも」


「ホント、でもこれからは好きな時にいつでも出来るわよ、お義母さん」


「ナオミさん、あなたはやりたいことをやってればいいのよ、私の介護をする為に結婚する訳じゃないんだから」


「いいの! これからは本当の娘になるんだから遠慮なんてしないで! 」


「じゃあお昼を済ませてから新しいウチを見に行きましょうか? 」


「そうね、じゃあ行きましょう」


「おいっ! 俺のこと忘れてんじゃねえよ! おいっガキ! 早くこのバカ犬なんとかしろってば! 」


「バーカ、行くぞリョウ」



※※※※※



「紹介します、これがウチの達哉です。今、高校2年生」


「達哉、この人が私が結婚することになった上杉光彦さん、それからお義母さんの富江さんと、あなたの妹になる(リョウ)ちゃん中学1年生よ、あとあの子もリョウちゃん」


母ちゃんは俺たちが入ったファミレスの外に繋がれたさっきのバカ犬を指して言った。


「へ? リョウ? こっちもリョウ? 」


「別に難しく考えなくていいの、そうよ、凌ちゃんとリョウちゃん」


「へ? 妹!? おん…… 痛っ! 」


テーブルの下で俺のスネを蹴る奴がいた。角度からして正面に座るこのショートカットの日焼けしたクソガキだ、確かに女の子だと言われて見るとそう見えるけど、しかし態度といい足癖といい、口の悪さといい女と呼べるところなんてあるのか? っていうかこいつが俺の妹になるって言うのか? 思ってたのと全然違うじゃねえかよーっ!

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