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闘技場

 


 私とプラダは闘技場にやってきた。


 優秀な戦闘に特化した兵隊を求めて、ここにやってきた訳であるのだが、いまいち、私は闘技場に来たことが無いので売買のやり方についてもよくわかって無い。


 ここも、多分プラダにお願いすることになりそうだな。


 剣闘士と呼ばれる奴隷の戦士が毎日のように殺し合いを繰り広げ、時には猛獣と戦ったり、モンスターと戦闘をしたりするのがこの闘技場。


 また、その間には美しい芸を披露する奴隷の女や男達がおり、この街の娯楽を詰め込んだこの場所には連日、人で溢れ返る事で有名だ。


 私達はそんなコロッセオの見渡しが良い観覧席を案内して貰った。


 まあ、プラダの事だからまた上手くやったんだろうけどな。



「さて、ではこれからコロッセオが始まりますが、気に入りました奴隷が居りましたらそこの者にお話しくださいませ」

「あぁ、そうするよ」

「ではごゆっくり」



 私は片手にブランデーを呑みながら、プラダと一緒に奴隷達の戦いを見守る事にする。


 こんな席にわざわざする必要もなかったんだけどな、どうやら本腰入れて私達と取引きしたい商人がどうにも優遇してくれたらしい。


 私の名前はこの街でもある程度知られているようで、ある意味少しばかり驚いたけどな。



「始まるみたいよ、ロホ」

「戦うのは?」

「えーとね…キザ・ノーデンとイビサ・カルロスという剣闘士みたいね」



 対戦相手の名前を読み上げるプラダ。


 体格差からして、銀髪の短い髪をしたノーデンというのが小柄な男らしい、しかしながら扱っている武器が槍ってのはなかなか面白いな。


 私は静かにその試合を観戦する。ぶっちゃけた話をすると私が直接相手した方が力量が見えるのでそうしたいとこではあるんだがプラダから止められるだろうからな。


 試合は終始、ノーデンという男が圧倒していた。


 正直、体格差的にはカルロスという男が勝っているし、勝敗もイビサに上がりそうだなと思ってたんだが。



「おら、デカブツ! 息が上がってんぞ!」

「ガハッ! ぐ、ぐぅ…!」



 それの体格差を槍のリーチを上手く活かしてノーデンがカバーしている。


 イビサが間合いを詰めればノーデンはそれに合わせて後退し、すかさず突きをお見舞いする。


 体格がデカいだけあって的がデカいからな、あれは完全にノーデンの機転を利かせた攻撃だ。



「あいつ、やるな」

「体格差がある相手にあの立ち回り方は凄いわね」



 私達二人は感心したようにそう話しながら戦いを見守る。


 あれくらいの腕前なら、貴重な戦力として数えても良いくらいだろう。身のこなしを見れば、死線を潜り抜けた場数をどれくらい踏んでいるかわかる。


 とりあえず、ノーデンは買いだな、貴重な槍使いであるし戦い方も気に入った。



「異論は無いわ」

「なら、まず一人は決まりだな」



 私は隣にいるプラダに笑みを浮かべながらそう告げる。


 コロッセオから出ていきなり戦争要員ってのもなかなか可愛そうではあるが、私達としてはそれが目的だからな、正直、申し訳ないとは思う。


 そうこうしているうちに、ノーデンは対戦相手を穴だらけにしてしまい、勝敗の決着がついてしまった。


 さて、一人はこれで決まったわけだが、あと二人だな。


 次に私が目を引いたのは、なんと、蒼髪の弓使い、リギンド・アルスという男だ。


 男らしいが、一見すると、中性的な顔つきをしてるので女にも見えるんだがな。


 対戦相手は五匹の猛獣だったが、脳天に向けて綺麗に五発の弓を的確に当てて、あっという間に仕留めてしまった。


 フリントロック式の銃がそれなりに出回りつつある中で、今時、弓を使うのも珍しい。


 こいつに潜入なんてさせるのも面白いかもしれないなと思いつつ、その男を買うことに決めた。



「弓使いなら矢で狩りもできるから、食費も弾薬も浮くしな」

「うん、良いんじゃないかしら?」



 そう話しながら、プラダはメンバーリストに名前を書いていく。


 そして、最後に私達が選んだのはヤタガラス連合国から流れ着いて、剣闘士として闘っていると言う肩まで掛かる黒髪をした少女だった。名前をクサノ・シュノという。


 忍び装束のような格好はやたらと目を引いたが、それ以上に技が凄いの一言に尽きる。


 闘技場にあるものをあるだけ使い、相手を追い詰めて、その命を刃で刈り取る。その動きには無駄がなく、よく訓練されているのが見てわかった。



「あいつだな」

「あの娘? …わかったわ、それじゃ書いておくわね」



 そう言いながら、リストに名前を載せるプラダ。


 潜入させてもよし、敵を迎え撃つのもよし、敵を制圧しに行くのも良い。


 どれをとっても良い結果を残せそうな人間を集められたとに思う。これならば、例え、『デプレダドル』と戦争になったとしても問題なく対処できるだろう。


 この先、まだまだ人を増やしたいところだが、できるなら力があり信用できる人間を増やしていきたいものだ。



「じゃあ、ロホ、私が話しつけてくるわね、先に馬車に戻っててくれる?」

「あぁ、頼むよ」



 そう言いながら、一足先に観覧席から離れて行くプラダ。


 私はタバコを一服し終えると、ゆっくりと席を立ち、プラダの後を追うように賑やかに湧くコロッセオを後にした。


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