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新たな拠点

 


 プラダのおかげで無事にそれなりに大きな物件を買うことが出来た。


 私の稼いだお金とプラダの稼いだお金を合わせた金額で購入したそれなりに広い物件は買い切りという形で完全に私達の所有物である。


 街から少しばかり離れたここなら、拠点にするにはもってこいだろう。



「おー…中はかなり広めだな」

「部屋も申し分なか、よか家ば買うたのう」



 家の中を見渡す私と、すぐに部屋を見て回る半次郎。


 他のメンバーもすぐに集まり、各自の部屋を見て回る。物件的には少し古めだが、手を加えれば申し分ないだろうし、何より、家の周りが広いので自分達で必要な建物は建てられそうだ。


 私はすぐにラネラの方へ振り返ると、外を親指で指差しながらこう告げる。



「工房は外でも構わねーだろ? スペース空いてるしな」

「応、今チラッと見てきたが、あれくらい広ければ上等じゃ」



 私の言葉に力強く頷くラネラ。


 エルフであるカリファや元貴族であるマーレイ、半獣のフルシュも満足しているようだ。


 プラダの取引に付き添ったスーナと先程まで部屋を見ていた半次郎は言うまでもないだろう。


 プラダに関してもこの物件は非常に良かったと思ったらしく、納得しているようだ。


 まずは、このオベッハプエブロに拠点が無事にできた事は非常に喜ばしい。


 さて、やる事はまだたくさんあるが、まずは、組織としての方針を決めた方が良いだろうな。


 私は家の真ん中にあるソファにドカリと座ると目の前にある大きな机に足を置き、懐から煙草を取り出して火をつける。



「さてと、じゃあ、今後について話そうか? 諸君」



 煙を吐きながらそう告げる私に笑みを浮かべる一同。


 やっと動き出す事ができるのかと、その顔には期待が満ち溢れているようだった。


 私達は何者にも縛られず、自由に好きなように動く事ができる。


 他のメンバーを代表するようにプラダが前に出ると私に首を傾げたまま、こう告げてきた。



「あらボス? 煙草なんて吸ってたの?」

「ずっと前からな」



 私はプラダの言葉に笑みを浮かべながら答えると、煙を吐き一息つく。


 そして、皆が周りに集まり、大きな机を囲うようにしてそれぞれ椅子に座った。


 さて、これでようやく腰を落ち着けて今後の計画を練る事が出来るわけなんだが。



「次の目標はエスケレトプエルトに拠点を作ることだ、あそこが今後、私らの重要な稼ぎの拠点になる」

「なるほど、確かに海があるしな」

「稼ぐにはもってこいの場所だ」



 私の言葉にラネラとスーナは納得したように頷く。


 そう、エスケレトプエルトに拠点を作ること自体は正直な話をすると、さほど難しくはないのだ。


 だが、今のメンバーを連れて行くとなると少しばかり、気がかりがある。


 プラダ、ラネラ、スーナ、半次郎は自衛がある程度出来るしあの治安が悪い街でもなんとでもなるだろうとは思う。


 だが、残りの三人、フルシュ、カリファ、マーレイは話が別だ。あの治安が悪いやばい連中がウヨウヨいる街に連れて行こうものなら下手すりゃ死体になりかねない。


 あの街はそういう街だ。だからこそ、この三人にはこの街でやれる仕事をこなしてほしいという事から今回、この拠点を作るに至ったのである。



「てなわけだが、…生憎、エスケレトプエルトは自分の力だけで生きてくような街だ。だから、フルシュ、カリファ、マーレイの三人にはこの街でマーレイを中心に仕事をして欲しいと思ってる」

「私が…ですか?」

「あぁ、そうだ」



 私は煙草の煙を吐き出しながら静かに頷く。


 主な仕事としては、プラダの店の店番、密造酒の陸路の確保、密売品の製造、などが中心となってくるだろう。


 人手が足りないというなら、経費の一部をマーレイに預ける腹づもりでいる。元貴族で学があるやつを入れたのはこういう部分を任せるためだ。



「できそうか?」

「……。はい! がんばります」



 マーレイは暫し間を開けて考えたが、すぐに私の言葉に頷き力強くそう応えてくれた。


 まあ、この家の横にもラネラの工房を作らなきゃならないし、暫くは私達はこの街に滞在せざる得ないのが現状なんだけどな。


 だけど、とりあえずはこの三人を中心に上手くオベッハプエブロの商売が回ればとは思っている。とはいえ、交渉の面なんかは彼女達はプラダに色々と教えてもらわなきゃならないだろうけども。


 さて、続いては俺たちの話になるわけだが。



「船を買う金が要る、しばらくギルドで仕事を請け負わなきゃならん」

「…ほう…、報酬か…冒険者としてか?」

「金が入るんなら傭兵だろうが殺し屋だろうが構いやしねぇよ」



 私はそう言いながら肩を竦める。


 金になる依頼があれば、それをやるだけ、ギルドを通さなくても良いし、ウチの組織で請負っても良い。


 だけど、補償金が出ることを考えればギルドを通して仕事は受けた方が良いんだろう。私としては殺しの依頼が来れば万々歳なんだが。


 残念ながらオベッハプエブロはエスケレトプエルトよりも治安が良く、殺しの依頼は無いことはないがあまりにも少ない。


 しかも、殺しの対象は大体、エスケレトプエルトにいることが多いからな。



「まあ、ここのギルドの依頼をいくつかこなせばまとまった金は入るだろ」

「そうだな、ではしばらくは私は半次郎とボスと組んで依頼をこなして行くという方向だな」

「おいおい…別にソロでも良いんだぞ…」



 私は肩を竦めながらプラダに視線を向けるが彼女は苦笑いを浮かべる。


 プラダは商売のイロハを三人娘に教えなきゃいけないし、ラネラは工房を作らなきゃいけない。


 よって動けるのは私とスーナと半次郎の三人という結果になるわけだが、私が言うようにソロでそれぞれ依頼をこなせば非常に効率の面では良いだろう。



「…なんにしても、とりあえずギルドに行ってみるか、プラダ、家のこと頼んだ」

「任せといて」



 こうやって話しているより、行動で動いた方が良いだろう。


 私はスーナと半次郎の二人を連れてとりあえず、オベッハプエブロのギルドに向かうことにした。


 これから更に金が必要になるしな、戦闘に特化した二人には頑張ってもらわなくてはならないだろう。



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